駆逐艦
くちくかん
軍艦の一種。艦隊のワークホース。
駆逐艦(destroyer)とは、比較的小型(現代の駆逐艦は比較的大型)の船体で航洋性を持ち、非装甲・高速・汎用性が高いといった特徴を持つ軍艦の一種である。
概要
もともとは「水雷艇駆逐艦」と呼び、19世紀末に出現した艦種で、小型の艦砲で水雷艇を駆逐する艦種であった。
しかし、小型で高速と言う性格は水雷艇と同じで、水雷艇よりも大型で航洋性があり使いやすい駆逐艦は、水雷艇という艦種そのものを「駆逐」してしまった。
第一次世界大戦頃から第二次世界大戦までは駆逐艦が水雷艇に代わって魚雷戦の中心となり、魚雷を主兵装とした艦種を指した。駆逐艦隊は軽巡洋艦 によって率いられ、別名水雷戦隊と呼ばれていた。
1922年のワシントン軍縮条約により戦艦などの主力艦が規制され、各国海軍は駆逐艦にさまざまな役割を負わせるようになった。条約後の駆逐艦は高射砲や対潜爆雷などを備え、対空・対潜能力を兼ね備えた汎用的な艦種として活躍するようになる。
第二次世界大戦後、軍用機の発達に伴い交戦距離は大幅に増し、敵船に肉薄し魚雷攻撃を仕掛けるという従来の駆逐艦の戦術は時代遅れとなり、駆逐艦はしだいに大型化しながら汎用水上戦闘艦としての性格を強めて行くことになる。
戦艦が消え、艦砲と違って火力が排水量に依存しない誘導兵器の登場も相まって、巡洋艦も(重航空巡洋艦のような特殊例をのぞき)事実上「大きな駆逐艦」と化した現在、定義は不明確ながら、駆逐艦は5,000~10,000t程度と、艦隊の中でも大型(フリゲートより大きい)で、対空・対潜・対艦全てをこなし航洋性も備えた主力艦となっている。実質、現代の駆逐艦はかつての巡洋艦の地位についていると言ってよい。