社会主義〈しゃかいしゅぎ、英語:Socialism〉
社会主義とは、個人の財産権を制限し、産業や富を共有管理することによって資本主義社会の諸問題を解決しようとする思想。特に生産手段の共有によって搾取のない社会を目指す思想は共産主義とも言う。
歴史
着想そのものはかなり古くからあり、たとえばイエス・キリストを社会主義の先駆者と位置づけることもあるが、一般的には18世紀後期の産業革命期以降にその起源を置くとされる。フランスのサン=シモンの思想、イギリスのロバート・オーウェンらの実践(協同組合運動や労働法の提唱)が社会主義運動の直接の源流となった。
19世紀中頃、マルクスとエンゲルスは、科学的社会主義(マルクス主義)を確立し、資本主義の社会の経済法則とその矛盾を明らかにし社会主義社会が到来する必然性を説いた。マルクスは国家を否定するアナキズム(無政府主義)や、政府要人の力を借りて社会主義化をすすめる国家社会主義(Staatssozialismus、同じく国家社会主義と訳されるナチズムとは別物)を唱えるラサールと激しく論争した。
19世紀末以降、ラサールらの提案が取り入れられ、社会保険などの社会政策を通じて労働者階級の生活が向上するとともに改良主義的な社会民主主義が力を持った。これに対して、共産主義者や無政府主義者は、社会政策の有効性を認めつつも、資本家の利益を代表する権力を倒さなければ労働者は解放されないと主張した。
1917年、ロシアではロシア社会民主労働党がロシア革命を起こした。革命の主力となったのは各地に結成された民会(ソビエト)であった。1度目の革命でロシア帝国を倒してロシア臨時共和国を建国し、2度目の革命でレーニン率いるボリシェビキ(後のソビエト共産党)が実権を掌握した。
ロシア革命成功後は、マルクスの流れをくむ思想が社会主義の主流となった。
レーニンの死後ソ連ではスターリンが実権を掌握し、粛清・恐怖政治の一党独裁国家体制(ソ連型社会主義)を確立した。
1930年以降、社会主義国への対抗や大恐慌への対応のため、欧米各国は産業の国有化や社会福祉政策をより本格的に取り入れるようになった。ドイツのナチスは、共産党や社会民主党の台頭に対抗して「国民社会主義」(Nationalsozialismus、一般的には国家社会主義と訳されることが多いが、先述のラサールの思想とは全くの別物)を名乗った。ナチスは政権をとると、共産党・社会民主党・労働組合などを禁止し、社会主義的な政策を強調していたナチス左派を粛清して全体主義と軍事大国化への道を突き進んでいった。
スターリン死後、スターリンに対する批判がおこなわれ、ヨーロッパではソ連型社会主義に反対し、多党制民主主義を積極的に擁護する「ユーロコミュニズム」と呼ばれる共産主義の動きがおこった。
1960年代から70年代にかけてラテンアメリカで貧困と抑圧からの解放を求めるキリスト教の運動が生まれ、「解放の神学」と呼ばれた。
1991年にソ連が崩壊した。
外部リンク
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