概要
主人公エンデが「獣の呪い」に侵された少女セレスの呪いを解くため、「獣」と呼ばれる怪物のひしめく巨大建造物「十三訃塔(じゅうさんふとう)」へ挑むというストーリー。
近年の他のWiiのRPGタイトル(斬撃のレギンレイヴ、ゼノブレイド、ラストストーリー等)に比べCMなどの宣伝があまりないようで、悲しいことに認知度はそれほど高くない様子。決して派手な作風ではないながらも、ヒロインの変貌をはじめとした、黒い任天堂の一角を担うに相応しい黒さを湛えている。
登場人物
アテナイ出身の無口な青年。22歳。
アテナイの傭兵としてエリュシオンへの進軍に随行するも前線から逃亡、ある集落のはずれで気を失い、セレスに介抱される。数年後、巫女に選ばれたセレスの晴れ舞台を見に行った先で彼女の獣化に遭遇、グライアイに連れられセレスと共に十三訃塔まで逃げ延びる。
セレスの呪いを解くため、「オレイカルコスの鎖」を手に十三訃塔に挑み、長剣、双小剣、大鎌を振るって下僕を薙ぎ倒していく。武人としての能力は高く、各種近接武器に加えて手渡されたばかりの「鎖」も使いこなして見せる。
セレスに何かあると戸惑う、焦るなど頼りない部分もあるが、セレスのために危険に身を投じたり抱きとめたりするなど、男前なところも見せる。
エリュシオン王国の静かな村に暮らす少女。18歳。親密度に関わらず、さながらエンデの嫁のよう。
深手を負っていたエンデを見つけ、両親を説得して匿った、エンデにとっての大恩人。歌が好きで歌唱力も折紙つきであり、収穫祭の巫女という大役に抜擢されるも、晴れの舞台で突然、獣の呪いにかかってしまう。獣化によって他者を傷つけることを恐れると同時に、十三訃塔へ行ってばかりのエンデを心配する、心穏やかならぬ日々を送る。家事に加えて古文書の解読もこなすが、料理は元々不得意だった様子。しかしエンデのために頑張って腕をあげていた。
朗らかで優しく、慈悲深い性格だが、料理の隠し味の蜂蜜の量を増やしていきエンデの反応を窺うなど、お茶目な一面も覗かせる。
物語の冒頭で獣化の何たるかをインパクトたっぷりに示してくれる。
収穫祭での騒ぎの際にエンデとセレスの前に現れ、二人を十三訃塔へと導いたドヴェルグ族の老婆。呪いを解くための手助けをしてくれるが、目的は不明。年齢もまったくもって不明。一族に伝わる「オレイカルコスの鎖」をエンデに託し、雑貨の売買や武器の強化も請け負ってくれる。
背中の壷に入った、フガフガ喋る骨張った(というか骨。ちょっとかわいい。癒しだと言うプレイヤーも多い模様)人物は彼女の夫らしい。何をどうしたらそうなるの……。本当に彼の夫なのかは不明。彼の存在についてはいろいろ考察されている。
作品の特徴
獣の呪い
体が獣と化してしまう呪い。時間と共に体が呪いに侵されていき、最後には身も心も完全に獣に成り果て、人間に戻ることは叶わない。「獣」といっても毛皮や鱗ではなく、体液を滴らせた粘液系へと変貌するため、ひたすらに醜悪。
十三訃塔に潜む多様な獣=〈下僕〉の肉を食べることで侵食を一時的に戻すことができる。さらに、十三体いるという塔の〈主〉の肉を食べることで呪いは完全に解けるらしい。エリュシオンではお国柄から食肉は禁忌であるため、エンデが獲ってきた生肉を塊で食べることになるセレスのショックは察するに余りある。ちなみにセレスが肉に齧りつくシーンは、スタッフにこだわりでもあったのか妙に官能的。獣化していた場合、元の姿に戻るシーンもなかなか官能的。
エンデが十三訃塔に行っている間、セレスの体も時間と共に呪いに侵食されていき、彼女が完全に獣と化してしまうとゲームオーバーになってしまう……のだが、侵食の程度によらず、セレスの体には見るに耐えないほど痛々しい変化が現れる。その様は人呼んで「能登ハザード」(セレス役の声優・能登麻美子+バイオハザード)。ちなみに、ゲームオーバーもエンディングのひとつとして扱われ、獣・セレスのその後も言葉少なに語られる。
開発中の獣化セレスのデザインはドラゴンを髣髴とさせるそこそこ格好良いものだったが、「そういう趣味のプレイヤーに気に入られて、獣化したまま放置されると困るので」とアレやソレ(公式動画で体験プレイをした笑い飯曰く「でっかい紅ショウガ(はじかみ)」)がピチピチと躍り出る更にグロテスクな姿に変更された。
早く帰れなかったことに対する罪悪感まで感じるほどなので、出来るだけ呪いを進行させないように、セレスのことは常に気にかけておこう。
オレイカルコスの鎖
十三訃塔に赴くエンデがグライアイから借りる不思議な鎖。ドヴェルグ族に古くから伝わるものらしく、繋がれていく命を表すものだという。
武器としても、仕掛けを解くための道具としても使うことができ、
- 敵を拘束して動きを止める
- 拘束したまま敵を引きちぎる、倒した敵から肉を入手する
- 小型の敵や鉱石などを捕らえて投げつける
- ポイントに鎖を引っ掛けて遠くへ移動する
- 遠くにあるものを引き寄せる、もしくは引っ張って仕掛けを作動させるetc…
と、豊富なアクションが可能。これをいかに使っていくかが塔と〈主〉の攻略にかかわってくる。
2人の絆
セレスと会話をしたり、彼女が喜ぶような贈り物をすることで、セレスとの絆が強まっていく。絆の強さによってイベントが発生したり、2人の未来が変化したりする。とはいえ、常に金欠気味の序盤では贈り物ばかりもしていられないのだが。
なお、セレスの獣化をあんまり放置してしまうと、絆は少しずつ弱まっていくので注意。せっかくの贈り物が獣化でダメになってしまうこともあり、セレスもすごく申し訳なさそうにするため、それがイヤなら「まだまだ時間はある」と思うくらいで帰っておくのが無難だろう。
要するに、セレスのことを大切にするのが何より大事なのである。
はいそこの「これなんてギャルゲー?」とか思った人。正直に手を挙げなさい。
だいたいあってるから。
あれこれ
タイトル | パンドラの塔 君のもとへ帰るまで |
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機種 | Wii |
ジャンル | アクションRPG |
発売日 | 2011年5月26日(木) |
価格 | 税込6,800円 |
開発 | ガンバリオン |
販売元 | 任天堂 |
CERO | C(15歳以上対象) |
この作品も黒パッケージ。
関連タグ
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パンドラの箱……箱詰めの厄災をぶちまけてしまったというギリシア神話のエピソード。