概要
HTB制作のローカルバラエティ番組『水曜どうでしょう』を代表する屈指の名言および名シーンの1つ。
構成
発端
番組に出演する大泉洋の料理好きを反映した企画『シェフ大泉 夏野菜スペシャル』が始まったものの、実はこれこそが超長期撮影が大前提である事実を大泉だけに伏せた壮大なドッキリ企画であり、「単に腕を奮って夏野菜を料理する」としか想像していなかった大泉は小さな畑に連れて行かれた上で「まずは野菜から育てる」と明かされた趣旨に愕然とし、何だかんだで開墾から種蒔きまで済ませる羽目になった。そして、この日のために知り合いの料理人に頼み込んで準備した特注のパイ生地は調理されぬままに腐ってしまった。
一月半が過ぎた頃、幾らか育ったであろう夏野菜の収穫を名目に再び畑に足を運び、想像以上の生育状況を確認して今度こそ料理が出来ると思いきや、急に眼前で「食器が無い」「無くてどうするんだ」というスタッフ同士の口喧嘩が始まった。不安を覚えて必死に食い下がる大泉の抵抗も虚しく、今度は皿作りのために農園から陶芸工房に直行する運びとなってまたも料理はお預けとなり、当然の如く持参した2度目のパイ生地は愛用のコアントローと共に撤収の憂き目を見ることとなった。
脅迫
知り合いの料理人から「アンタだまされてんだから」と窘められても敢えて2度目のパイ生地を仕込んでもらい、忠告通りに体よく騙された事実に直面して移動中の車内でふて腐れていた折、大泉一行を帯同していた藤村忠寿が「頼んでもないパイ生地を勝手に用意して腐らせたのは自業自得だ」とこぼした一言が大泉の逆鱗に触れ、これをきっかけに豊かなボキャブラリーを交えた辛辣なボヤキを披露する大泉劇場の幕が上がり、とうとう
「藤村くん。君の肉親を、オレはどんどんおみまいしてくぞぉ。」
と、藤村当人ではなくその家族へ怒りの矛先を向ける脅迫に変わっていった。
誕生
パイ生地が腐って使えなくなる前におみまいしなければならない事情から、まずは手近な藤村の自宅に行く前提で
「どーも奥さん。知ってるでしょう?大泉洋でございます。おいパイ食わねぇか?」
「子供たちもおいで。パイ焼くぞぉ。」
と語り、常日頃の鬱憤晴らしとばかりに恐るべき計画の全貌を徐々に明かし始めた。
結果
どうにか藤村家の危機を乗り越えた約半月後、合計69日目で遂に企画の(表面上の)骨子である『炎の料理人 シェフ大泉』の収録を迎え、ここに来てようやく自慢のパイ生地が料理に使われる絶好の機会を得た。
ところが、このパイ生地を使って作られた渾身のメインディッシュ『夏野菜の料理 びっくりカルツォーネ風』(鯛の腹に生米と未熟な青トマトを詰めたパイ包み焼き)は、「鯛は美味いが詰め物が酷く不味い」という両極端な料理となり、大泉本人をして「おぉぉう」「これはまずい」と絶句する一品となった。結局、やっと調理に漕ぎ着けた3度目のパイ生地もその本領を発揮出来ないままに役目を終えたのである。
その後
騙されっぷりに定評のある大泉の魅力を存分に引き出し、その中でも特に移動車内での一連のやり取りがまるで予め用意されていた台本に沿っているかのような秀逸な内容であったため、後に「豊穣の年」と絶賛される所以となった同1999年の大騒動『だるま屋ウィリー事件』と共に番組発の名物の1つとして広く知られるようになった。
それから6年後、2005年度ファン感謝祭『水曜どうでしょう祭』の中で視聴者投票に基づいて選定された『あなたが選ぶ!第1回どうでミー賞!!』の集計結果が発表され、6271票の圧倒的大差で名セリフ部門の第一位に輝き(第二位『ここをキャンプ地とする』とは3513票差)、さらに8年後には2013年度ファン感謝祭の第2回同賞同部門第一位を獲得して唯一のどうでミー賞V2を達成する偉業を成し遂げ、この功績を以って番組を象徴する珠玉の名言に位置付けられた。
受賞時のタイトルは第1回、第2回共に『どーも 奥さん 知ってるでしょ? 大泉でございます おいパイ食わねぇか』
関連イラスト
- おみまいするシェフ大泉
「残さず食えよ。」
- おみまいされる藤村一家
「私が食べます!」