スクールカースト
すくーるかーすと
概要
「学校カースト」といえばアメリカの高校におけるそれが昔から有名であり、ハリウッド映画や学園モノの海外ドラマでも頻繁に登場するヒエラルキー表現だが、日本でも同種の現象が発生しているのでは?ということでこの名称が日本でも定着した。
アメリカにおける学校ヒエラルキーの順位
- ジョック (Jock):ピラミッドの頂点。イケメンかつスポーツ万能の帝王。アメフト部やバスケ部などで活躍する、校内のスターである。
- クイーン・ビー(Queen Bee):「女王蜂」の意味で、 所謂「学園の女王」。カリスマと美貌に恵まれ、多くの場合はブロンドでチアリーダーを務める。総称はクイーンズ (Queens)。
- サイドキックス(Sidekicks):上のクイーン・ビーの取り巻き。
- プリーザー(Pleaser):女子の場合はクイーン・ビーおよびサイドキックスの取り巻き。男子の場合はジョックの子分。下の立場の者へのたかり (Please) を活発に行う。
- ワナビー(Wannabe):クイーン・ビーおよびサイドキックスの取り巻き。取り巻きながらも立場の上昇(サイドキックスへの昇格)を夢見る(ワナビー) 立場。
- メッセンジャー(Messenger):パシリ(キョロ充)。
- プレップス(Preps): 文科系の上位者。お金持ちのお坊ちゃま。
- ゴス(Goth):ゴスロリ。
- 馬鹿(Slacker):おバカ。
- ギーク(Geek):ヲタク層。
- ブレイン (Brain):ガリ勉。上の3つはナード(日本でいう「根暗」に相当)に属する。
- ターゲット(Target):いじめの標的。ナードに属するとは限らない。ゲイの子など。
- 不良(Bad boys&girls):不良少年および不良少女。※ランク外
- 不思議ちゃん(The Floater):図書館で司書したり一人で本を読んだりしてる子。※ランク外
問題
アメリカ
1999年にアメリカで発生した「コロンバイン高校銃乱射事件」は、このスクールカーストが背景にあると考えられている。つまりカースト下位の学生が、カースト上位の学生に虐げられる・迫害される・踏みつけにされる毎日を送る中で、鬱積した不満・怒りが爆発し、カースト上位の学生を殺すという悲劇に至ってのである。
アメリカ社会においては上記にあるジョックとクイーンビーに属する人間が、重宝される傾向にあり、学校教師や社会の大人ですら、スクールカースト上位の人間を崇め丁重に扱う傾向があるため、スクールカースト下位に置かれるということはアメリカ社会において最初からつまはじきに合う対象となり得るのだ。「個人の個性を尊重し、誰でも平等であり、誰にでチャンスはある」というのがアメリカの表向きのモットーであるにもかかわらずだ。つまり、カースト下位に置かれた若者は社会の大人たちからもそっぽを向かれる可能性も高く、それが上記のような凶悪事件の火種となってしまった。
こうした逆境の中でも、ハングリー精神むき出しにしてこうしたスクールカースト上位の人間たちが支配するアメリカ社会に挑戦しようとするスクールカースト下位のアメリカ人も少なくなく、人気映画監督やシンガソングライターの中にはスクールカースト下位から這い上がった者も多い。
このため、アメリカの映画・TVドラマでは「スクールカースト上位に属していたような登場キャラクターは、作中では散々な扱いを受ける」傾向があり、これはスクールカースト下位に属していたアメリカ人のウケを狙ったものであることから、アメリカにおけるスクールカースト問題の深さがここから見て取れる。
日本
「体育会系」の人間が重宝される点に関しては、アメリカと同様であり、困ったことに「スポーツの技術さえ高ければあとはどういう人間でもいい」という風潮が今の日本でも根強いため、これも日本特有の問題であろう。
日本の場合はスクールカーストシステムと同時に集団主義・「出る杭は打つ」という排他的慣習がこれに絡んで来るために、より複雑な状況となっている。
スクールカーストがわかりやすく描かれている作品
1985年公開のアメリカ映画「ブレックファスト・クラブ」が、初めてこのヒエラルキー問題に切り込んだことで知られる。
FOXのTVドラマ「glee」は、スクールカーストの最下層組である「ナード」を主役にしているが、上記のポジションに該当するほぼ総てのキャラが登場し、それぞれにスポットが当たる構成になっているので、参考になるかもしれない。
また、日本では特撮ヒーロードラマ・仮面ライダーフォーゼが、このヒエラルキーを明確にドラマ展開に取り入れていた。
(主人公・如月弦太朗がしばしば『Bad boy』呼ばわりされるなど。)
「暗殺教室」は進学校の落ちこぼれ組という設定上E組とそれ以外という形式でのヒエラルキー構造が明確にされており、クラス内外でそれぞれのポジションに属するキャラクターが数多く登場する。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」は、現代日本におけるこのスクールカーストシステムを主人公の視点から客観的に考察するというテーマが盛り込まれている。
「キルラキル」では生徒会長の鬼龍院皐月により、学園の生徒全員が「三ツ星(生徒会四天王)」「二ツ星」「一ツ星」「無星」にランク分けされており、その生徒の実力や功績に応じてランクが変動する。一ツ星以上の生徒には極制服と呼ばれる特殊な制服が与えられるほか、星の数によって生徒とその家族の生活水準にも明確な格差がつけられており、無星はスラム街だが、一ツ星はマンション、二ツ星以上は高級住宅街に住むことを許される。