概要
人間の眼には見ることのできない電磁波。その名の通り紫の光よりも波長が短く(400nm以下)、X線よりは長い(10nm以上)。人体に悪影響を及ぼす電磁波は基本的に紫外線よりも波長が短い。
一般的に紫外線と言えば太陽光線に含まれている印象が強い。人間の肌を日焼けさせるのは紫外線の中でも波長の短い「近紫外線(波長380nm-200nm)」の中でも特に長い波長のUV-A及びUV-Bである。
UV-Aは紫外線の中では毒性が弱い反面、透過性が強く、皮膚の深部まで届いて皮膚の老化を促進する。太陽から放射されたUV-Aの9割以上はオゾン層で弾き返されるものの地上に到達した日差しもたっぷりUV-Aを含んでいるため、紫外線の対策については普段から意識しておきたい。曇り空や冬でもUV-Aはしっかり地上に届いており、冬や曇りの日でも紫外線対策は必要である。最近の日焼け止めクリームはUV-BだけでなくUV-Aの対策もされている。
UV-BはUV-Aより毒性が強く、浴びすぎると皮膚が火傷のようになり、皮膚がんの原因にもなる。透過性はあまり強くなく99%以上はオゾン層で遮断されるが、夏の強烈な日差しには多く含まれるため注意が必要。夏場は薄手の長袖の服を着、日焼け止めを塗り、可能ならつば付きの帽子をかぶり眼鏡をかけることが強く推奨される。
そして最も毒性の強いUV-Cは透過性も弱いので全て大気で遮断され、地表には届かない。
紫外線を見る
人間の眼には紫外線は決して視認できないものの、一部の蝶や蛾などは紫外線を視認し人間の目では判別しがたい雄雌を見分けることが出来ることが分かっている。
また、特殊なフィルターを使えばカメラで「紫外線色」を見ることもできる。紫外線による写真撮影は天文学にも大きく貢献している。
有効活用
前述したとおり紫外線は浴び過ぎれば死ぬことすらあるものの、少量の紫外線は人体の免疫機能を活発化させると言われ、また全く無い状況だとビタミンD欠乏症を起こしクル病の原因になるため適度に浴びることが推奨されている。(とはいえ一週間に15〜30分程度で充分である。夏場は直射日光でなく曇り空や照り返しの日光を浴びる程度でよい)
その毒性を活かし殺菌や殺虫に使われることも多く、布団の天日干しなど古くから経験的に日光消毒が行われてきた。
昆虫は紫外線を見ることができる種が多いため誘蛾灯にも使われる。また、蛍光灯は紫外線を吸収することで可視光線化させ光っている。普通の蛍光灯はガラスで紫外線を遮断しているため外界に放出している紫外線は微弱なものでしかないが、紫外線透過ガラスを利用し意図的に紫外線を多く含んだ光を放つようにしたのがブラックライトである。