公式発表まで
2013年3月13日、JR西日本は広島地区への新車投入を発表したが、この地点では形式などの詳細は伏せられていた。
しかし2014年5月頃、川崎重工業兵庫工場にて前面が521系3次車、側面が225系の構体が発見され、月末には「広島近郊227系」の文字が確認された。そして翌月15日に地元新聞から一部詳細が語られ、19日にはJRからの正式発表も出てきた。
概要
JR西日本発足後、初めて広島地区に投入される新製電車であり、国鉄時代から数えても広島シティ電車政策で導入した115系3000番台以来32年ぶりとなる。
225系をベースに様々な新機軸が盛り込まれており、先頭部と車内は521系3次車の仕様に変更された。帯色は「広島らしさ」（「(広島県木の)もみじ」、「広島東洋カープ」、「厳島神社大鳥居」など）をイメージさせる赤基調の新デザインとなっている。
先頭車の運転台側面にも転落防止幌が新製時から設置されている。この幌が翼を広げたように見えることや、将来の広島近郊の公共輸送を担うことなどから、「未来へ羽ばたく赤い翼」という意味の「Red Wing(レッドウィング)」という車両愛称が付けられた。
新機軸
「新保安システム」ことATS-DW、戸閉可変制御システム、フルカラーLED式行先表示器、グラスコクピットを、JR西日本の在来線用車両では初めて採用した（後2者はN700系が初）。
フルカラーLEDの採用により、種別方向幕もLED化された。これにより側面行先表示器は221系以来永らく続いた「種別幕+3色LED」の形態が廃止されている。
運用・増備
2014年9月末に第一陣が落成し、翌年3月14日より山陽本線（糸崎～由宇間）と呉線で営業運転を開始した。同年10月3日からは可部線にも進出する。急ピッチで進む増備に対応して、2015年はダイヤ改正とは別枠で追加投入が3回行われる（7月4日、10月3日、12月12日）。
2014年度は40両（2両編成2本＋3両編成12本）が導入された。2016年春までに158両、2018年度までに276両（2両編成42本＋3両編成64本）を投入し、広島地区の国鉄形電車を一掃する予定。
2016年度ダイヤ改正で、ついにこの車両の運行区間は福山～徳山間へと拡大をした。これによって、広島県内の山陽線全線と山口県の周南市までの山陽線まで伸びることになった。
一方で、日中帯はすべてこの車両での運転となり、快速シティライナーが復活するなど、まさに勢いが非常にいい状態である
車両区分について
JR西日本では321系以降に新製された普通列車用の車両形式区分の第2位(十の位)の数字が「0 - 3, 5, 6」を普通列車用車両のカテゴリとして使用しているため、事実上は一般形電車となるが、本形式は近郊形電車に分類されているため、本項では近郊形電車とする。
3両編成はA編成、2両編成はS編成となっており、後者は製造番号が-65からスタートする。
その他
- 検討段階ではこの様なデザインも検討されていた(画像下)。
- JR西日本の通勤・近郊形車両としては珍しく、ツーマン運転時でも車内自動放送を行う。現在は山陽本線広島～岩国間のみだが、他線区にも導入予定。
