概要
鳥綱キジ目キジ科のクジャク属、コンゴクジャク属に属する大型の鳥類の総称。
アジアに住むインドクジャクとマクジャク、アフリカに住むコンゴクジャクの3種がある。日本の動物園で主に飼育されているのはインドクジャク。
総じてオスはカラフルで荘厳な姿をしており、目玉模様がついた飾り羽(尾羽と表現される事が多いが、厳密には腰の羽根が発達して伸びたもの)を大きく広げてディスプレイする姿が有名。因みにこの飾り羽は、発情期が過ぎると残らず抜け落ちてしまう。メスは比較的地味である。
インドクジャクは比較的ヒトに馴れ易いので、古代ローマでは愛玩用の家禽として飼育され、七面鳥がヨーロッパに齎されるまでは食用にもされていた。
雑食性で、毒蛇や毒虫を貪欲に食べる鳥としても知られている(実際、孔雀は植物でも動物でも食べられるものは何でも食べる悪食な鳥である。インドでは野生の孔雀がゴミ捨て場などに頻繁に出没する)。
美しい姿に加え、そうした食性から「毒のある生き物の害を取り除く神聖な生き物」として神格化され、密教の孔雀明王やイラクのヤズディ教の天使マラク・ターウースなど様々な神々のモチーフになっている。
孔雀とゆかりのある他の超自然的存在としては、孔雀を騎獣(ヴァーハナ)とするスカンダや、傍らに侍らせターバンに羽を刺した姿で描かれるクリシュナがある。
仏教においては前述の孔雀明王のほかスカンダをモデルとした鳩摩羅天、密教における五智如来の一尊としての阿弥陀如来、五大虚空蔵菩薩の北方尊「業用虚空蔵」が孔雀に騎乗する。
孔雀の存在はヨーロッパにおいては、ローマ神話のユーノーの聖獣となっている。
また、その荘厳な姿は鳳凰など、空想上の鳥の姿かたちにも影響を与えている。
しかしその姿に二面性をみる人もおり、キリスト教世界においては、尾羽を全面に広げた姿が円形の太陽を連想させる事、また古代においてその肉は腐らないと信じられていた事から、
不滅なる「義の太陽」たるイエス・キリストの象徴ともされる一方、華美さ故七つの大罪のひとつ「傲慢」を象徴する生物ともされた。
西洋悪魔学においては孔雀の尾羽を持つアドラメレクという悪魔も語られている。
地上を歩いてることが多いが、飛べない訳ではない。
関連リンク
(表記揺れ):クジャク