概要
1987年10月から1989年2月まで全52話が放送された。
5月5日にパイロット版「鉄仮面を追え『ダルタニャン物語』」が放送されたが、ダルタニャンを演じた声優が本放送ではなぜか別人(古川登志夫→松田辰也)に変更されていた。
原作はA・デュマの「三銃士」だが設定がかなり変更されている。
基本的な変更の方向性は、日本人向けかつ子供にも分かりやすく健全にということになる。
しかし何故か当時としては先進的といってよいほど「萌え要素」多めになっている。
特にアラミスを性転換したのはいったいどういうことだ。
けしからんよくやった。さすがは湯山監督。
登場キャラクター
主人公とヒロイン
主人公、ガスコーニュから来た銃士志願の少年。戦闘でも日常でも活発でよく動くのできっと作画泣かせ。元の動機はコンスタンスのためといささか不純ながら、友と銃士隊のため、ひいては王妃や国王、フランスのために奔走している。原作に比べてコンスタンスに一途で熱血度が高め、日本の主人公らしいキャラになっている。
コンスタンス(CV:日高のり子)
ヒロインで王妃の侍女。アニメでは未婚で16歳の少女、どうみても萌えキャラです本当にありがとうございました。ダルタニャンは「ただの友達」だそうだが、物語冒頭に比べると好感度は少しづつ上昇中。
はだしのジャン(CV:田中真弓)
パリで自活する逞しい子供。コンスタンスしか眼中にない慌てん坊の主人公を支える女房役。母親を探していて、その関係のことでは結構無茶もする。主人公ダルタニャンが青年層の目線なのに対し、視聴者のうち子供層にとっての視点を提供するキャラである。もちろんアニメオリジナルキャラ。職業は木工玩具売り→お風呂屋→仕立て屋ボナシューの見習い。
銃士隊
アトス(CV:神谷明)
銃士隊の最精鋭たる三銃士のリーダー格。冷静で渋い。知性にも優れ、しばしばリシュリュー側の裏をかく作戦を立てる。
アラミス(CV:山田栄子)
三銃士の紅一て・・・いや、それは秘密。女性以上の美形の青年、ということになっている。お風呂が大好きなのでジャンのお風呂屋さんの収支は助かっている。
ポルトス(CV:佐藤政道)
陽気で美食家で大食い、大らかな三銃士の癒し系。ゴツイ体型に似合わずお洒落で、ボナシューの上得意。戦闘では剣術に加え怪力も武器。護衛隊員数人まとめて押し勝つほど。
トレビル(CV:玄田哲章)
国王近衛銃士隊の隊長。軍人だが政治にも長けているようで、その判断でリシュリューの陰謀を退けることも多い。部下には厳格だが公正。アニメではリシュリューに次ぐ実力者の立ち位置。政敵リシュリューの絶対権力と対抗する関係で王妃派として動くことが多い。ダルタニャンの父の友人でもある。
フランス王家
ルイ13世(CV:田中秀幸)
フランス国王。ナレーションではリシュリューと政治についてことごとく対立しているとあるが、異論を唱えても自分から引くことが多いようだ。王妃を愛しているが、それを理由にリシュリューを解任したりしないあたり公私は区別している模様。というか王妃と大臣の板挟みで苦労している。基本的に政治は面倒と考えており、狩りが好き。
アンヌ王妃(CV:岡本茉利)
かつてのスペイン王女でフランス王妃。リシュリューを相手に一歩も引かずに渡りあっており、妃である前に政治家のようだ。重税には反対、また親スペイン、親英なので外交でも対立する。ルーブル宮殿から出ることは少なく、舞踏会が好きらしい。
リシュリュー派
リシュリュー(CV:田中信夫)
フランスの総理大臣(史実では首席国務卿、枢機卿)。重税を課し戦争を好む悪役だが、裏返すとお気楽な国王と気難しい王妃を抱えて独り国政を回している苦労人にも見えたり。敵には容赦なく陰謀を仕掛けるが、公の場では法に従って賢明に政務を執っているようだ。
ローシュフォール(CV:千葉繁)
伯爵、こう見えて貴族である。リシュリューの腹心でダルタニャンのライバル的存在。剣の腕はなかなかだが、知能戦は苦手らしくたびたびダルタニャンらに苦汁を飲まされている。アニメではギャグや憎めない行動が多く愛すべき馬鹿な側面がある。
ジュサック(CV:西村知道)
リシュリュー護衛隊隊長。パリの市場警備も行っており、色々と汚職も行っている。ロシュフォールの下で動くことが多いが、やはり知能戦に弱く痛い目に遭うこと多し。
ミレディー(CV:平野文)
英国の女性だが、リシュリューの知恵袋的存在。作中リシュリュー派の陰謀の多く、特に巧妙なものはだいたい彼女のせい。たびたびダルタニャンや王妃派を窮地に陥れる。早くからダルタニャンが敵にすると厄介なことを見抜いていた。原作では色仕掛けを多用したが、アニメでは純粋な知恵比べを挑むこと多し。でも色気は文句なし。
パリの人々
ボナシュー(CV:峰恵研)
パリの仕立て屋。アニメではコンスタンスとの関係は実父。ダルタニャンとジャンを居候させてくれる大家さんで、遊び好きでトラブルメーカーの二人を優しく見守っている。
マルト(CV:峰あつ子)
ボナシュー家の家政婦。時間と躾には厳しいのでダルタニャンもジャンも苦手にしているが、お蔭で怠け者の二人もそこそこ規則正しい生活ができている。
動物たち
ロシュナンテ(CV:龍田直樹)
ダルタニャンの愛馬。ご主人様より賢く有能かもしれない、本当に馬なのか?原作と異なり、ずっとお供をしている。
コピー(CV:龍田直樹)
リシュリューからアンヌ王妃に贈られたオウム。王妃の部屋での会話を聞くと不審な動きをするが・・・。後にジャンの友になる。
その他、後半に登場する人々
バッキンガム(CV:井上和彦)
英国の総理大臣(史実では宰相)、公爵。アンヌ王妃が大好きだが、王妃からは「お友達」。王妃のこととなるとホイホイお忍びで動くので、リシュリューに付け込まれやすい。
マンソン(CV:村松康雄)
鉄仮面(CV:笹岡繁蔵)
フランソワ(CV:子安武人)
ナレーション(CV:沢田敏子)
用語
イギリス
この当時はチャールズ1世を国王とするイングランド王国とスコットランド王国の同君連合。国王の信任厚いバッキンガム公が総理大臣として統治していた。
ヴェルサイユ
パリから南西20kmほど、後にルイ14世によって大宮殿が建設されることになる地。当時は国王の狩場であった。後の大宮殿の元になる休息用の館も建てられていた。
ガスコーニュ
ボルドーの南にある農村地域。パリから500km以上の南に位置する。ダルタニャンの出身地である。
カレー
フランスの港町。イギリスと結ぶ船がつく。ドーバー海峡という狭い海峡を挟んですぐイギリスがある。
護衛隊
リシュリュー個人を護衛する部隊。しかしリシュリューの命でパリ市内の警備も担当していたようだ。腕自慢、血の気の多い若者多数、トップ同士が政敵ということで、銃士隊とは日常的にいがみ合い、小競り合いも絶えない。隊長はジュサック。
シャトレ裁判所付設牢獄
アラミスが捕らわれた、警戒厳重な牢獄。
銃士隊
国王の直属兵力であり、当時のフランス軍最精鋭部隊。マスケット銃を支給されることからこの名がある。任務は国王から下されるはずだが、作中は政治的関係で王妃の命で動くことが多くなっている。隊長はトレビル。
重税
リシュリューが対外戦争を進めるためにルイ13世に強引に認めさせるシーンがある。確かにこの財政基盤が支えた戦争でフランスの領土は拡大した。しかし、戦争の継続に伴う重税はリシュリューの死後フロンドの乱を起こし、また恒常的な財政赤字が最後はフランス大革命につながって王家を滅ぼしたともいえる。その功罪は一概には言えないところ。
新教徒
キリスト教の一派で、ルターやカルバンらの影響を受けて教皇の権威から離脱した人々のこと。基本的には教皇の権威を認める旧教の国であるフランスでは「異端」的存在として差別を受けていた。アンヌ4世による「ナントの勅令」によって表面的には一定の信仰の自由を得ていたが、社会の裏側では様々な差別や対立、虐待があった。原作はもちろんアニメでもこの問題が事件の背景をなしている。
スペイン
アンヌ王妃の出身国。当時はスペイン・ハプスブルク朝の支配下で、一族でドイツやオーストリア、南イタリア、さらにアジアからアフリカ、アメリカに広がる膨大な植民地をも支配する超大国であった。しかし作中の影は薄い。
セーヌ川
パリの街中を流れる大きな川。ジャンのお風呂屋さんは美肌効果があるというこの川の水が売り物。しかし17世紀当時とはいえ都会の川水がどれほど綺麗だったかは不明。家のないはだしのジャンとダルタニャンは、当初この川に浮かべた小舟に起居していた。
総理大臣
アニメ限定のリシュリューやバッキンガム公の職名。総理大臣と呼んではあまりに現代的すぎる役職名だが、子供への分かりやすさを配慮したのであろう。つまり英仏両国の臣下トップ、宰相のこと。両国ともほぼ一存で命令を施行する強大な権限を持っていた。
チャールズ1世
イギリスの国王で、バッキンガムの主君。作中では登場キャラの台詞から動向が分かるのみで、直接は登場しない。
ドーバー
イギリスの港町。フランスと結ぶ船が出る。白い崖で知られる。
トレビルの屋敷
銃士隊長の邸宅。銃士隊の詰所も兼ねているようで、練兵ができる広い庭や大きな馬小屋がある。出動時以外は三銃士もここに待機してノンビリとカードゲーム等に興じている。
ノルマンディー
はだしのジャンの出身地。パリの北西数10km郊外から海岸に至る地域。かつては英国領で英仏が激しい争奪戦を繰り広げた。
パリ
今と変わらずフランスの都。規模は現在の13分の1にすぎないが、人口40万人を数え当時も都会であった。
フランス
当時はブルボン家の国王が治めており、ちょうど絶対王政が始まる時代であった。国王はルイ13世だが、総理大臣のリシュリューが実質的な政治を行っており、国王や銃士隊長、そして特に王妃と対立していた。ナントの勅令によって新教徒に自由があったため、同教徒の多い商工業者が多く移住したフランスは当時発展期にあった。
風呂屋
ジャンとダルタニャンが営んでいる商売。店が用意するのは水と風呂桶だけで、湯を沸かすのは訪問先の竈と薪を使う。確かに元手がいらない商売だが、稼ぎも明日のパンを買うのがやっとな程度だった。
ボナシュー家
仕立て屋ボナシューの家でコンスタンスの実家。屋根裏部屋はかつてコンスタンスが使っており、今はそのベッドをダルタニャンがせしめている。実に怪しからんw
リシュリューの屋敷
リシュリューが居住するルーブル宮殿の北側に位置する壮大な豪邸である。今のパレ・ロワイヤルに相当する。
ルイ13世の時代
物語の舞台となる時代。17世紀の初め、日本では江戸幕府が出来たころである。
ルーブル宮殿
当時のフランス王宮。今のルーブル美術館にあたる。
ロンドン
イギリスの都。
ロンドン塔
イギリスの著名な牢獄。一度入ったら、脱走は不可能とされる堅固な要塞。
主題歌
オープニングテーマ
『夢冒険』
作詞:森浩美、作曲:西木栄二、編曲:中村暢之、歌:酒井法子
エンディングテーマ
『プレッジハート(誓約)』
作詞:尾関昌也、作曲:三浦一年、編曲:川上了、歌:PumpKin
『太陽のハレーション』
作詞:尾関昌也、作曲:馬場孝幸、編曲:川上了、歌:PumpKin