概要
高知県を始め、主に四国地方及び中国地方に伝わる亡霊の集団または荒神や祟り神、行合い神の類だが、創作によっては妖怪の一種として扱われる事もある。下記のように、妖怪の犠牲になった者を祀って「神」にする場合も含む。四国には、他にも七人同行や七人童子、七人御前、七人同志、七人御霊、などといった「7人」一組の怪異が伝えられている。彷徨える霊魂なども同類とされることがあり、ある陰陽道の一派が使役した「川ミサキ」や「山ミサキ」、その別に「川ミサキ」や「「谷ミサキ」などもあるとか。姥捨て山にちなんだ似た話、「オタチキサン」、など類似の伝承はけっこうあるのかもしれない。「ミサキ」の意味には諸説あり、先端が尖ったものには霊力が宿るとされていたので「岬」や「神の使い」、元は犬神を意味した小神を指す御前(ミサキ)、などなど。正月女が七人ミサキになる、という伝承もあるそうだ。
常に七人で行動する怨霊で、七人ミサキに出会った者は高熱に見舞われて死亡すると言われている。取り殺された者は新たなミサキのメンバーとなり、古参のメンバーから成仏していくというシステムになっているので、七人ミサキの人数が7人から増減する事は絶対にないと言われている。
吉良親実とその家来、比江山親興とその親族、など実在した武将が七人ミサキになり祟った為に神社を建立したとする伝承も伝わっており(元は「八人ミサキ」だったとする説も)、他にも、凶暴さ故に殺された山伏の一団、多数の妖怪の秘境や平家の落人伝説の地として知られる山城・歩危の地域(子泣き爺の故郷でもある)で山爺に喰われた子供たちや山爺退治で逆に殺られた(または単に犠牲になった)村人5人&犬2匹 or 村人6人と犬1匹 or 村人6人と犬4匹(殺された村人を祀ったものを七人ミサキとすることも)、猪用の罠に落ちて落命した平家の落ち武者、海に捨てられた女遍路、長宗我部元親の家督相続問題で犠牲になった武士、伊予宇都宮氏の隠密、時化の漁時に見捨てられた若年の漁師、などなどのケースも見られる。
また、七人ミサキの現代バージョンで「渋谷七人ミサキ」という都市伝説が存在する。こちらは、援助交際をしていた女子高生七人に中絶された水子が怨霊と化し(あるいは怨念によって本物の七人ミサキを呼び起こし)、自分達の親である女子高生達を殺害して復讐するという内容となっている。
七人ミサキが登場する作品
アニメ・漫画
第5期に登場。容姿に統一性はないが、胸元にそれぞれ一から七の字が書かれた木版を首にかけた紐でぶら下げている。当初は岬の掘立小屋に潜んでいたが、例によって金に釣られたねずみ男が取り込まれてしまい、自分達が成仏する為に新たな犠牲者を求めて活動を開始した。
これといった妖術も使えず、鬼太郎の髪の毛針で呆気なく消滅してしまう等、水木氏特有のキャラデザインもあって後述のぬ~べ~版に比べると一見貧弱そうだが、点呼すれば復活するなど意外としぶとく、チームワークも抜群(ねずみ男は嫌がっていたが)。また、ミサキとして活動する時は全身が死人のように青ざめる。
しぶとさとチームワークで鬼太郎を苦戦させたが成仏したと思いきや上空を彷徨っていた先代の一番を呼子が呼び戻したためにパワーバランスが崩れ、やむなくねずみ男を外して元の鞘に収まった所を鬼太郎の体内電気で一網打尽にされる。
鬼太郎達に敗北した後、戻ってきた一番が「彷徨っている間寂しかった。わしらに大切なのは七人一緒にいる事」と語り、二度と他の者を仲間に引きずりこまない事を約束する(この時、再び悪さをするようなら閻魔大王の元へ引き渡し地獄へ強制連行すると目玉おやじから釘を刺されている)。以後住処としていた小屋で大人しく過ごすことに決まり、一件落着となった。
- 五期では、「妖怪の人間臭さ」を描くというスタンスのためか、七人それぞれの個性がよく出ており、それまでに方々で描かれてきた七人ミサキと比べてどこか和やかな雰囲気があるため怨霊性も低い。というか、自らの意思で七人ミサキとして留まったケースなど他にないのではないだろうか。
男女二人組の指名手配犯が逃走中に遭遇し、七人のうち二人を撥ねた後通報を恐れて轢き殺し(消滅させた)たため狙われる。
その後残り五人が童守小に逃げ込んだ手配犯を追ってぬ~べ~と対峙。手配犯は生徒達を身代わりにしようとしたが、落雷で感電後そのまま転落、死亡したために仲間入りし、人数を揃えた七人ミサキは去って行った。
ぬ〜べ〜が鬼の手を用いた攻撃で力負けをするなど、ただの怨霊というポジションに留まらない強敵であり、結局最後の最後までぬ〜べ〜が除霊する事ができなかった敵でもある。
ゲーム
ザコ敵の一種として登場。また、あやかし婆という個体が七人ミサキに変化する事もある。
ライトノベル
余談
- 近年でも目撃例などもあるらしい。
- 2016年5月現在で、Pixiv上におけるイラストの総数は「七」である。これは偶然なのかそれとも・・・?