概要
様々なものがあるが、基本は貧困や法令、村の掟などによりある年齢以上の高齢者を山に捨てにいくというものである。世界各国に類似の伝説があり、どこまでが現実に行われたものであるか否かははっきりしない部分も多い。
民話の題材としても多く使われ、捨てようとした高齢の親の知恵などに救われたり、大切な親をどうしても捨てられなかった者が周囲に訴えかけるなどして、姥捨ての習慣自体が悪習と見做され廃止されてハッピーエンド、というものもある。
長野県千曲市と東筑摩郡筑北村の境には「姥捨山」という山があるが、実際にこうした棄老が行われた場所なのかということは現状伝説の域を出る証拠は見つかっていないため不明である(ネーミングの由来が姥捨伝説とは無関係との説もいくつかある)。
転じた使い方
「高齢者を山に捨てる」という点から劣悪な環境・待遇の老人ホーム・老人保健施設等が「現代の姥捨て山」と呼ばれる場合(例え)がある。
他にも、漫画雑誌などで、かつて他誌で華々しく活躍したがその後あまりヒットが無く目立たなくなったような作家達が集まって来ている状態になっている媒体や、同様に全盛期を過ぎたベテランばかりが集まったプロスポーツチームなどがこう揶揄されることがある。
姥捨山を題材にしたフィクション
小説
- 楢山節考 映画化もされている。
- デンデラ 映画化もされている。
漫画
映画
北欧の棄老伝説や上記の楢山節考を元ネタにした展開がある。
民話で繰り出される難題
民話の「姥捨て山」では、隣国の城主から幾つか難題が繰り出されるのだが、それを以下に紹介していく(媒体によって、どれが取り上げられるかは異なる)。
- 灰で作った縄を持って来い。
➡縄に火をつけて戸板の上で燃やせば、簡単に灰の縄ができるから、それを戸板に乗せたまま持って行けばよい。
- 複雑な形に曲がりくねった玉の穴に糸を通せ。
➡竹筒の一方の口に蜂蜜を塗り、糸を結び付けた蟻を反対側の口から入れると、蟻は蜂蜜の匂いにつられて穴を通り抜けるため、糸を通すことができる。
- 叩かなくても鳴る太鼓を持って来い。
➡太鼓の皮をはがして、生きている蜂の群れを太鼓の中に入れ、皮を張り直す。太鼓の中で蜂が飛び回ると、太鼓に張ってある皮にぶつかって音が出る。
- 姿も色も大きさも瓜二つな親子の馬のうち、どちらが親でどちらが子かを当ててみよ。
➡二頭の馬の前に、餌(えさ)を入れた一つの桶を置くと、子馬は真っ先にそれに飛びつき、親馬は子馬に先に食べさせる。
- 根元も先も全く同じ太さに加工されている木の棒の、どちらが根元でどちらが先かを当ててみよ。
➡木の棒を水面に浮かべると、根元と先では重さが違うため、棒は少し傾く。下を向いた方が根元で、上を向いた方が先。
※まんが日本昔ばなしでは、1976年の旧版アニメと1991年の新版アニメともに、上記の1つ目~3つ目の難題が出題された。