発見
1994年10月にユージア大陸にあるシールズブリッジ大学による観測で存在が確認され、同年12月に国際天文学連合(IAU)によって地球衝突の可能性が発表される。
コモナ大学により予測軌道の計算が行われ、ユージア東部時間1999年7月3日午後3時30分にロシュ限界を突破、分散した破片が降り注ぐ事が判明した。
ユージア大陸を中心に破片が降りそそぐだけでなく、衝突により核の冬の到来など未曾有宇の被害をもたらす事が想定された為、各国は対策を求められる事となった。
1998年6月に探査衛星の接近に成功、ユリシーズの内部構造の判明と共に被害範囲が拡大する事が明らかになった。
得られた情報から再計算が行われ、破片落下被害の中心地がユージア大陸である事は変わらないが、北極を境にアネア大陸東部まで被害が及ぶ事が判明した。
被害の中心となるユージア大陸では、迎撃用の砲台である120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲ストーンヘンジが中立国サンサルバシオンに建造された。
アネア大陸では大陸東部のエストバキア連邦が迎撃砲台としてシャンデリアを建造するも被害予想が遅れた事により、完成が間に合う事はなかった。
エメリア共和国では迎撃施設の軍事転用を恐れて建造はせず、その代案として多くの大規模シェルター施設を建造する事で避難民を受け容れる政策を取り、迎撃に参加できなかった国家もこれに追従し、同様の施設の建造を行なった。
オーシア連邦とユークトバニア連邦共和国はベルカ戦争の戦災復興もあってユリシーズ迎撃には参加しなかったが、復興後の衛星軌道清掃にアークバードの建造を行なった。
また、その一方でデモやテロへの発展を危惧し、情報の混乱を避ける為に国家緊急法の適用を発令し、情報を発信をする全ての媒体に制限を課した政府もあった。
小惑星片の落下
1999年7月8日にロシュ限界を突破、破片はユージア大陸とアネア大陸東部に降り注いだ。
ストーンヘンジによる迎撃は完全ではなく、ストーンヘンジ自体も破片の直撃を受けて砲台一門が機能停止している。
ユージア大陸だけで落下後二週間で50万人の命が奪われ、難民問題や経済恐慌は後にユージア大陸とアネア大陸に戦乱をもたらす結果になった。
破片の多くは地表へ落下したが、その後も長く衛星軌道上を漂い時折落下してきていた。
ユージア大陸の被害
破片は都市部へも落下し、多くの被害をもたらした。
エルジア共和国の首都ファーバンティ付近に落下した破片は地殻変動を引き起こし、海岸線を水没させてしまった。
破片の落下は多くの被害をもたらし、大陸戦争を引き起こす原因となったが、復興後は破片により作られたクレーターを利用しようとする動きもあった。
ユージア大陸フェイスパーク地方では赤道近くで雨量が少ない事から日照時間が長く、タワー集光方式のプラントをクレーターに建造して太陽光発電の実験が行なわれている。
アネア大陸の被害
大陸西側のエメリア共和国とノルデンナヴィク王国では比較的被害が小さく、エメリア市民の中には空を埋め尽くす破片の流れ星を世紀の天体ショーとして見る者も居た。
一方、大陸東側のエストバキア連邦では小惑星片の被害により経済基盤は破壊尽くされ、ほどなく生じた経済恐慌が原因として軍閥の抗争が活発化する事となった。
同国に対してはエメリアやNGOによる支援も行なわれていたが、軍閥の抗争により一時凍結されたり、支援物資が弾圧に使われた事で、複数の軍閥がリエース派統一戦線に対する蜂起を起こし、内戦に突入した。
リエース派統一戦線による支援物資集積所への襲撃、物資の強奪事件が起きるなど支援が難しくなってきた事から、本格化した内戦の突入に伴い支援は打ち切られ、最終的にはエストバキアに対する復興支援そのものが停止する結果となった。
メガリス
エルジア共和国のトゥインクル諸島近辺に建設された巨大要塞。
軌道上に残るユリシーズの破片を落着させるミサイル(ロケット)を発射するだけでなく、落着位置の制御を行なっている。
大陸戦争時には開発中であったが、後にエルジア政府の降伏に従わない将校たちによって占拠され、大陸へ隕石片を落としてユリシーズの災厄を再びもたらす為に使われた。
2005年9月26日、ISAFのメビウス中隊と地上部隊との共同作戦によって発射台に備え付けられたミサイルの破壊に成功、その誘爆により要塞は陥落した。
同要塞の外観は過去にユージアで起きたクーデターの際にノースポイントに建造された軍事要塞イントレランスに酷似しているが、関係は不明。
アークバード
オーシアでユークトバニアとの冷戦のさなかにSDI計画の一環としてシンファクシ級潜水空母のような弾道ミサイル発射プラットフォームに対抗する形で様々なものが研究開発されており、そのなかにはSOLGや大気機動宇宙機があった。
大気機動宇宙機は人工衛星と航空機の中間といえる機体であり、衛星軌道上を周回し機動変更時には大気圏上層へと降下、大気を利用したウェーブライディングにより軌道を変更するものとなっていた。
ベルカ戦争での疲弊もあり、ユリシーズへの直接的な対処こそ出来なかったが、軌道上に大量に残存している小惑星片の除去プラットフォームとして冷戦中に研究されていた大気機動宇宙機が利用される事となり、オーシア・ユークトバニア両国共同で建造された。
本来の計画と違い、機体下部の対地攻撃用レーザー兵器は取り外され、純粋な平和利用目的に転化される事となった。
軌道清掃プラットフォームとしての小惑星片の除去だけでなく、サミット(先進国首脳会議)の会場になるなどの利用もされた。
補給や人の行き来はマスドライバーにより打ち上げられるSSTOによって行なわれる。
しかし、オーシアとユークトバニアとの間に戦争が勃発(環太平洋戦争(ベルカ事変))した事により、対地攻撃用レーザー兵器は再び取り付けられ、対シンファクシ級潜水空母用衛星兵器として運用される事となった。
しかし、ユークトバニアのスパイにより動力部が破壊され、兵器としての運用は一時停止。
環太平洋戦争のさなかベルカの工作員に占拠されて機能を回復し、SOLGの建造再開の拠点としても使われた。(ユークトバニアの工作とされた一件はベルカによる偽装であった)
秘密裏に持ち込まれた核弾頭を用いてユークトバニアへの核攻撃が計画されるも、ラーズグリーズ隊と機内に囚われていた宇宙飛行士ジョン・ハーバードの活躍により計画は阻止され、海上で撃墜された。
原因不明の墜落事故となっているが、2020年に公開される報告書により真実が明かされることとなっている。
エースコンバットインフィニティ
上記の従来作とは異なり、実世界へと舞台を移したシリーズ。
1994年に長い楕円軌道を描く小惑星群が発見され、「ユリシーズ小惑星群」と名づけられた。
これは木星軌道上の小惑星1986VG1ユリシーズに未知の小惑星ポリュペーモスが衝突、砕けた破片は小惑星群となった。
小惑星群は地球との衝突機動にあり、地球に1万個の隕石が降り注ぐと判明した。
小惑星と隕石を迎撃破壊する最後の手段として超巨大地対空レールガン施設ストーンヘンジが世界の6箇所に建造される。
そして1999年7月、小惑星群が飛来。
レールガンによる迎撃で被害は最小限に抑えられるも各地に落下した隕石により多くの命は失われ、世界秩序は崩壊。
後に「ユリシーズの災厄」と呼ばれる事になる。
なお、小惑星1986VG1ユリシーズは実在する小惑星となっている。
災厄後
既存インフラの喪失により世界経済は混乱、特に被害の大きいユーラシア大陸ではアジア諸国及び南欧州諸国が破綻を免れる為に地域ごとに共同体として再編されている。
各国は軍事予算を削減し、復興に多くの予算をつぎ込む事となった。
領土縮小などの影響により、エネルギー資源の枯渇は世界中で大きな問題となり、天然資源を求めての紛争が激化。
長期化した紛争は災厄で生じた難民の数を更に増やす結果となり、EUやロシアなどの一部が難民特区を設けて受け入れを開始する。
ロシア南部の難民特区イユーリ自治区は広大な土地を有する為に多くの難民を受け入れるが、安価な労働力として囲われたに過ぎず、住環境の悪化などにより巨大なスラムが形成され、外国人労働者排除のデモ活動も活発化した事により周辺地域の治安を脅かすまでに至った。
そんな中、特区の雇用創出支援を買って出る企業ヴェルナー・ノア・エンタープライゼスが登場。
同様に難民特区を持つ国家や共同体もヴェルナー社の支援を歓迎した事で、同社は自由に出来る土地と多くの労働者の獲得に成功、軍事産業だけでなくエネルギー開発や宇宙開発にも手を広げていく事となる。
ヴェルナー社の産業は各国の復興にも大きな影響を及ぼし、紛争は次第に沈静化の一途を辿るが、着々と力を得た難民特区は豊富な軍事兵器をも保有する事にもなり、過激な武装組織の温床ともなっている。
災厄直後の世界では、軍事予算の削減と長期化する紛争により、派遣傭兵部隊を有する軍事サービス業が大きな産業となっていた。
軍からドロップアウトしたパイロットは傭兵会社に集められ、AAアヴィエーション・プラントと呼ばれるコンピュータ制御向上の実用化による既存の航空機を容易にリビルドする技術により航空機が大量生産され、多くの傭兵会社が生まれた。
OLDS
ヴェルナー社及びユージア連邦による「宙の欠片計画」で開発された軌道上に漂う小惑星片へレーザー照射、小惑星片表面で爆発を起こすことで軌道を変えて落下へと導く軌道兵器。
条約により宇宙にある衛星などの兵器に対する攻撃が出来ないため、国連ではユリシーズの災厄を再び齎す兵器への対策が練られている。