本来ならばハチの子の食糧になるはずのものを……。
ま、日本人はハチの子も食べちゃうから大丈夫だ、問題ない!
概要
蜂蜜が採れるのは、当然ながら、蜜を集める習性のあるハチ(ミツバチ)の巣からのみと決まっている。
ミツバチは花の蜜を呑み込み、腹にある袋(胃袋とは違う専用の袋がある)に溜める。巣に戻るとさっき呑んだ蜜を吐き戻して巣穴に蓄える。
ミツバチの体内の酵素などによって蜜に化学変化が加わるため、ハチミツはもとの花の蜜よりも濃厚で甘い。独特の黄色もこのときに生じる。
ハチは蜜を集めると同時に花粉も媒介している。植物にとっては蜜を与える代わりに花粉を押し付けて種族繁栄に利用しているわけである。もっともその花粉も大半はハチの子の餌になるんだけれど。
人類の蜂蜜の利用は古来から続いており、未開の部族での貴重な甘味であり滋養のある食べ物としていたりと非常に関わりは深い。
効能
甘味料としては勿論であるが、きわめて糖度が高い蜂蜜には強力な殺菌・防腐作用があることが知られている。
チフス菌や赤痢菌などは蜂蜜の中では生きられず、48時間以内にすべて死滅するという。
かつては蜂蜜に浸した包帯が応急処置に使用されていたほどである。日本薬局方には蜂蜜も登録されている。
また、日本古来の製法によれば、丸薬を練り固めるベースとなるのは蜂蜜である。
種類
基本的には採取に使用された花の種類で分類する。
一般的によく流通しているのはレンゲ、アカシア、ミカン、コーヒーなどの花によるものである。
複数種類が混ぜられているものは百花蜜と呼ばれる。種類をほぼ特定できるのは、より効率よく蜜を集めるためのミツバチの習性を利用するためである。
また、巣に蜜のみを蓄積したものは巣蜜(すみつ/コームハニー)と呼ばれ、これは巣の構造体ごと甘味として賞味することができる。巣から取り出さぬ方が味わいがよいとも言われる。
巣自体は食べる以外にもミツロウとして蝋の原料にされる事がある。
注意
蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が混入することがある。上記の通り強力な殺菌能力がある蜂蜜の中ではボツリヌス菌も活動することはできず、普通は食べても問題にならないが、腸内細菌が少ない乳児では稀に中毒を起こすことがある。
このため、1歳未満の乳児には与えてはならないとされる。ただし、ボツリヌス菌の影響であるという記述は印象が悪いためか、メーカーによっては「蜂蜜は生ものであるため」と説明していることがある。
ちなみに美味しんぼでは乳児の離乳食に蜂蜜と書いて抗議を受け記述を撤回したことがある。
また、特にソバなどの蜜の場合に注意が必要であるが、由来植物がアレルゲンである場合は蜜の摂取でもアレルギー症状を起こすことがある。
稀に有毒植物のトリカブトの花の蜜が混じってしまう事故がある為、養蜂家はトリカブトが自生していない所を十分に確かめて巣箱を設置している。
主な原料になる花
クローバー(白詰草) アカシア レンゲ草
桜や蕎麦の花も蜂蜜になる。栗の花も蜂蜜になるが、かなり独特の匂いとなるため人を選ぶものとなっている。