概要
国民による直接選挙で選ばれ、40歳以上の者が立候補可能。
任期は5年で1988年以降は再選が出来なくなっている。
内乱罪・外患などの一部の犯罪を除いては大統領職在任中に刑事訴追を受けることはなく、非常に強い権限を持つ。
代替わりの際には毎回のように前任派一掃の汚職摘発が行われるのが恒例行事と化しており、そのため退任後の大統領は自殺や逮捕、暗殺など家族も含めた悲惨な道を辿ることが多い。
しかし在任中の権力の大きさも手伝い、大統領選挙に立候補する者が途絶えることはない。
国会で野弾劾採決で「国会在籍議員の過半数の発議と、国会在籍議員の3分の2以上の賛成」及び「憲法裁判所の弾劾審判(憲法裁判官9人中6人以上の賛成)」で弾劾が決議された場合のみ、大統領職を強制的に停止もしくは剝奪することが可能。現在まで弾劾決議を受けたのは盧武鉉と朴槿恵の2人。
弾劾可決から憲法裁判所は180日以内に審判を下す必要がある。
審判までの間大統領は停職処分となる。
前任大統領が急死・辞任、もしくは弾劾で失職した場合は60日以内に大統領選挙を実施することが義務づけられている。
歴代大統領
代 | 氏名(読み) | 備考 |
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1~3 | 李承晩(イ・スンマン) | 初代大統領。竹島問題の原因となる「李承晩ライン」画定。市民デモにより失脚後、ハワイに亡命。 |
4 | 尹潽善(ユン・ボソン) | 軍事クーデターによって軍部に政権を掌握される。 |
5~9 | 朴正煕(パク・チョンヒ) | 日韓基本条約締結。開発独裁で、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長をもたらすも、側近に暗殺される。旧大日本帝国陸軍士官学校出身。 |
10 | 崔圭夏(チェ・ギュハ) | 在任期間歴代最短。軍事クーデターで、軍部に政権を掌握され、辞任。 |
11~12 | 全斗煥(チョン・ドゥファン) | 韓国史上最大の民衆蜂起「光州事件」を武力鎮圧。退任後に死刑判決を受けるも、のちに特赦。 |
13 | 盧泰愚(ノ・テウ) | 民主化宣言後初の大統領。退任後に光州事件への関与と、大統領在任中の不正蓄財で懲役刑を受けるも、のちに特赦。 |
14 | 金泳三(キム・ヨンサム) | 非軍人の文民大統領。アジア通貨危機で国内経済を混乱させたとして批判を浴びる。 |
15 | 金大中(キム・デジュン) | 対北融和政策の太陽政策を推進し、金正日との南北首脳会談を実現。ノーベル平和賞受賞。 |
16 | 盧武鉉(ノ・ムヒョン) | 選挙法違反などで、国会から史上初の弾劾訴追を受けるが、2か月で復帰。退任後、在任中の収賄疑惑で捜査を受け、自殺。 |
17 | 李明博(イ・ミョンバク) | サラリーマンから、ソウル市長を経た、史上初の在日韓国人の大統領(大阪市出身)。政権末期の竹島上陸や、天皇への謝罪要求発言で日韓関係を悪化させる。 |
18 | 朴槿恵(パク・クネ) | 故朴正煕の長女。初の女性大統領および親子2代での大統領。親友の民間人女性の国政介入疑惑で窮地に立つ。 |