加害者と被害者という歴史的立場は、1000年の歴史が流れても変わることはない
概要
パク・クネは日本が呼ぶときの名称で正式には「パク・クンへ」。
1952年生。韓国の第5代~第9代大統領・朴正煕(パク・チョンヒ)の長女。母である陸英修がテロに巻き込まれて死亡したあと、朴正煕のファーストレディー代行を務めたが、その父も暗殺されてしまうという悲劇的な運命に見舞われている。本人も政界入り後、男にカッターナイフで切り付けられて大怪我をしたことがある。
財団活動などをへて1998年に政界入りし、ハンナラ党の要職を歴任、セヌリ党と改称したハンナラ党の非常対策委員長となり、2012年の大統領選挙で当選、韓国初の女性大統領となった。親子2代での大統領就任も同国史上初。
父の朴正煕大統領は岸信介首相(安倍晋三首相の祖父に当たる)と親密な親日家であり、日韓国交回復を行い韓国の経済発展を実現したことで知られていたため、就任時には前任の李明博(イ・ミョンバク)政権下で冷え込んだ日韓関係の立直しが期待された(後述)。しかし、就任直後から竹島問題、従軍慰安婦問題などの歴史問題に関して強硬な姿勢をとり、その期待は裏切られている。
語学に堪能で英語やフランス語でしばしば演説しているほか、中国語もマスターしており、スペイン語、日本語もある程度できると言われる。親中派として知られているほか、フランスやロシアとの関係強化にも積極的である。
還暦を越した現在でも独身を貫いている。
米中露と連携しての反日姿勢、積極的な外交戦略、北朝鮮統一に向けた動きの進展といった強硬な保守的政治姿勢から、保守派からは「ジャンヌ・ダルク」「サッチャー」などに喩えられて人気を集める一方、進歩派からはベトナム戦争への肯定的態度などの歴史問題、マスコミへの政治介入などの権威主義・独裁的政治手法が非常に嫌われている。
韓国における進歩派の退潮と保守回帰(右傾化)により、支持率は5~6割にも達する高さであったが、失業率の増加などの経済政策の失態から、ソウルでは大規模なストライキやデモも頻発し、韓国人の間でも極端に評価が二分される政治家である。
また2014年の韓国フェリー転覆事故では政府や関係筋の初動対応のミスから支持率が急落し、丁度アメリカとの首脳会談目前の時期であったことからさらに困難な舵取りを迫られている。さらに翌2015年にもMERSの感染拡大や側近の辞任など次々と難問が降り掛かって来ており、以前からの懸案である失業率や平昌オリンピックの準備遅延などの問題にも有効な手を打てないままでいる。
2014年秋には自身を批判する落書きを書いた者を強行的に捜査させ個人情報を出させる、自身を批判した産経新聞前ソウル支局長を「名誉毀損」として出国を禁止して在宅起訴をさせるなど、父の朴正煕を彷彿とさせるような、強権発動をほしいままに行う独裁的な政治手法への傾斜をより露骨に示すようになっている。
上記のような強硬保守・極右的な姿勢から、かねてから朴政権を激しく批判してきた進歩派のみならず、保守層からも反発を招く事態となっていた。
2015年末に慰安婦を巡る外相会談で対日について上記から一転し、不可逆的解決を目指していた(日本や韓国保守層からは対日新時代の扉の幕開けとも)。
疑惑と失墜
2016年10月末には「長年の親友」という会社経営者の60歳女性崔順実に国家機密を漏洩していたり、彼女の親族や愛人・知人達に便宜を図っていた疑惑が浮上。女性だけでなく朴大統領の側近も複数逮捕され、朴大統領はまた謝罪会見を行ったものの国民の反発はますます高まり、支持率5%→4%にまで下落、過去最低を更新している。若年層への調査では支持率無しという数字が出たところもあった。
特に、崔順実の娘が名門女子大・梨花女子大学に裏口入学した疑惑もあり若者層からの反発は強く高校生も多数辞任要求デモに参加する程だった。
朴大統領自身も検察から聴取を要求されるなど、ますます政権は混迷の度を増しており、野党は弾劾の準備を始め、与党内からも同調する者が現れ始めた。
こうした中、2016年11月29日に朴は謝罪声明を行い「進退について、国会の決定に委ねます」との形で任期を一年弱残しての辞任を表明した。
2016年12月9日に国会で2回目の弾劾が可決、大統領職を停止させられた。
黄教安首相が代行となり2017年3月10日に憲法裁判所により罷免の判決が下り失職した。
こうして朴槿恵は、大韓民国建国以来の初の女性大統領にして初の罷免された大統領となった。(弾劾まで行ったのは盧武鉉の前例がある)
そして2017年3月31日に収賄容疑で逮捕された。
退任後に逮捕された韓国大統領としては全斗煥、盧泰愚に続き3人目。
(後に李明博も逮捕されたため現在逮捕された同国大統領経験者は4人に。)