概要
コロナウイルスの一種であるMERSコロナウイルスを病原体とする病気で、正式名称は中東呼吸器症候群 (Middle East respiratory syndrome) 。
その名の通り、元は中東から広がった病気で、2012年に初めて報告された。
初期症状は風邪に似ているが、発熱や下痢から悪化して死亡することもあり、死亡率は40〜50%と高い。
人獣共通感染症のひとつであり、遺伝子解析で元はコウモリ由来であると言われているが、現在の感染源として有力視されているのはラクダで、ヒトコブラクダの肉を生焼けで食べたり、ラクダの乳を加熱処理せず飲んだことが原因と言われている。
2015年には、中東に働きに行く者が多い韓国で感染が拡大し、大きな社会問題となった。
日本では感染症法により、診断した医師は保健所への届け出が義務づけられる「二類感染症」に指定されている。症状がある人は隔離入院させられる。また、無症状であっても病原体を持っている人はしばらく仕事に行くことができなくなる(就業制限)。
治療および予防法
現在実用化されているワクチンやこれといった治療法はなく、対症療法のみである。
予防にはラクダ肉や乳を生で摂取しないこと、患者の排泄物や吐瀉物を素手で取り扱わない事、消毒用エタノール、イソプロパノール、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が大事である。
また、感染地域に止むを得ず出かける際はマスクをし、ラクダに近づかないことである。