「私たちの独立運動は絶え間なく自由に追求する過程として現在も進行中であり、この先も続くことでしょう。」
≪ソウル聯合ニュース<「光復説」記念式典の尹錫悦大統領演説全文>より≫
経歴
両親は大学教授で裕福な家庭で育った。1979年にソウル大・法学部に入学。大学在籍時から司法試験に8回連続で落ち、1991年にようやく合格。1994年から検事としての活動を始めた。
1999年に警察幹部を贈収賄容疑で捜査して以来、政財界の不正に取り組んできた。水原地方検察庁在籍時の2010年代、大統領選に絡む世論工作事件の積極捜査が朴槿恵政権に疎まれ、上層部から圧力を受けて停職処分のうえ一時左遷されていた。その後彼女の親友による国政介入事件(崔順実ゲート事件)では捜査・公判を指揮した。2017年5月、ソウル中央地検長(検事総長)に就任。
2019年、文在寅政権で一時期法務大臣となっていた曺国の起訴を契機に文在寅政権と対立するようになり、不正を徹底的に捜査するも文在寅政権は彼の検事総長の職務執行停止を命令。停職処分は最終的に取り消されたが、「正義と常識が崩れるのをこれ以上見ていられない」として2021年3月に辞職した。
検事総長を辞めた後は政治家へ転身。2022年の大統領選挙に当時の最大野党・国民の力から公認候補として出馬し、与党・共に民主党の李在明候補との一騎打ちを制した。2022年5月に大統領に就任し、対北優和・対日強硬派だった前政権と真逆の対日融和・対北強硬姿勢(2015年末以降の朴槿恵路線を継承)を打ち出している。
2024年12月3日23時には戒厳令を発令。韓国では民主化後初の戒厳令だったが翌日深夜1時国会に解除要求決議案を可決され、5時には解除するという事態になった。
なお、この際は「出動した将兵は北朝鮮の工作員を逮捕する為の戒厳令と聞かされていたのに、何故か、国会前で国会議員が国会に入るのを阻止する任務をやらされた」「何がかおかしいと感付いた特殊部隊の現場指揮官の中には、わざと部下に非致死性の弾丸を持たせて出動させた者も居た」などのグダグダにも程が有る事態が発生した。(なお、韓国軍内部では1980年代に自国内の民主派の虐殺をやらされた事件が、かなりのトラウマになっており、現場指揮官クラスや末端の兵士には「また、マズい真似をやらされてたまるか」的な感情が有ったものと思われる)
ちなみに、前述の通り韓国で戒厳令が発令されたのは1980年代末に韓国が民主化して以降は今回が初(44年ぶり)であり、そもそも韓国における戒厳令制度は「北朝鮮とは、あくまで停戦中に過ぎない上に首都ソウルが停戦ライン(事実上の国境)である38度線のすぐ南に有るので、万が一の有事に備える為」という名目だが、軍事政権時代は対北朝鮮有事で発令された事は1度もなく、全て政権維持の為の国内の反対派弾圧が目的だった。(要は韓国における戒厳令発令は、それぐらいの異常事態かつロクな使われ方をされた例が無いような代物)
これに対して、韓国の国会に弾劾案が出され、一度は否決されたが、同年12月14日に再度提出された弾劾案が可決し、職務停止となった。もし、韓国の憲法裁判所で弾劾が妥当と判断されれば、韓国史上において弾劾により失職した2人目の大統領となる。なお、この戒厳令騒動の結果、現職大統領であるユン氏が戒厳令の発令理由や手続上の重大な瑕疵による内乱罪の被疑者となり、2025年1月15日10時30分過ぎに逮捕・勾留された。
また、戒厳令直後から閣僚や大統領の側近が次々と辞職し、ユン大統領の所属政党であり、最大与党でもある「国民の力」からユン大統領に対して離党勧告が出されるなど、大統領の「身内」にとってさえ、戒厳令発令を支持する事は出来ない、若しくは大統領を切捨てないと自分達の政治生命が危ないと思っているという散々な事態となってしまった。
なお、この前年の2023年には全斗煥大統領が戒厳令を悪用して権力を握るまでを描いた映画「ソウルの春」が「韓国で4人に1人は観た」級の大ヒットとなっている。幸か不幸か、よりにもよって少なからぬ韓国人が戒厳令に対してより悪いイメージを持っていた時期に戒厳令を発令してしまった訳である。挙句の果てに、戒厳令発令は全斗煥大統領が権力を握った切っ掛けとなった戒厳令を悪用したクーデター事件と同じ12月である。「韓国国内で大ヒットした映画の悪役(なお、モデルは実在の人物)」とユン大統領を重ねるなという方が無理であろう。タイミングが悪いにも程が有る。
ちなみに、戒厳令発令の約半年前の2024年6月には、与党「国民の力」所属の国会議員からも「大統領はYouTubeを見るのをもうやめてほしい。このままでは私たちは皆死んでしまう。(YouTubeではなく)国民の皆さんの声に耳を傾けてほしい」と苦言を呈されている。ただし、よりにもよって、この国会議員は、戒厳令発令の切っ掛けの1つと見られる国政選挙での与党「国民の力」惨敗の際に落選してしまっている。
また、韓国政治が専門の日本人研究者や、韓国支局に勤務する日本のマスコミの記者からも「ユン大統領は戒厳令発令の数ヶ月前から言動がおかしくなっていた」という指摘も出ている。
歴代最難読大統領
2022年の大統領就任直後においては、彼の名前の読みについて諸説あり、正式な読み方については未だに定着したものがない。
確認されているものとしては、ソクヨル、ソギョル、ソンニョル、ソンヨルの読み方があり、韓国国内でも彼の名前の読み方に関しては錯綜している。
ウィキペディアではソギョル読み、地上波テレビでは国立国語院の基準に照らしたソギョル読みとソクヨル読み、pixivでは本人の申告を尊重したソンニョル読みを採用している。
国益の為の対日
ウォン安を始めとした国の危機を重く受け止めたのか、2022年の暮れから本格的な日韓関係の修正に乗り出す。
2022年11月に、岸田政権による日本の防衛費増大の政策に対して、「日本の上空を北朝鮮のミサイルが飛んでいくのに防衛費を増額せずにはいられなかったのだろう」と発言し、韓国世論が警戒を示す日本の軍拡を容認する姿勢を見せた。
2023年3月に入ってからは対日優亜戦略の外交政策を急激に打ち出しており、日韓関係の改善を最重要事項としている姿勢をより明確にした。
6日には、元徴用工問題に関して、「韓国政府傘下の財団が日本側に代わって賠償金を支給する」第三者弁済方式を政府が発表した際、「さまざまな困難の中でも解決策を発表したのは、未来志向的な韓日関係に進むための決断だ」とその意義を強調した。
16日の首脳会談では、文在寅政権の時代に起こったレーダー照射事件に関して、「このような問題が発生した理由は両国間に信頼関係がなかったためだ」と述べた。
これらに対し韓国内では「屈辱対日外交」「国民の自尊心を売り渡した」といった批判の声が上がったが、尹錫悦は21日の国務会議で「歴史問題では日本は既に過去に数十回以上の謝罪を行なっている」、「韓国国内には反日問題を利用している勢力がある」といった会談結果を批判する人々のことについて「政治的意図がある」と主張しているような発言をした。
それに対し「多くの国民の失望と怒りに全く耳を傾けない尹大統領の独善と独断は非常に情けない」といった反発の声が上がった。
国のトップによる他国へのアピールは国民からの不満を買ったものの、この時の日本の首相が韓国に友好的だった事もあり、日韓通貨スワップの再開への協議と韓国のグループA(ホワイト国)復帰という国益に繋がった。
また、アメリカの大統領がこれらを「自国の外交成果」と強調した事により、韓国だけが得をする状況には、韓国の親同然であるアメリカ合衆国も関与していた事が明らかになった。
支持率
就任当初から主に外交を理由に支持率が低調化しており、韓国ギャラップの世論調査によると10~20代の支持は24%で不支持は60%と若年層からの支持が特に低く、徴用工問題の代位弁済案について最も反対していたのも若年層だった。
(世論調査によると60~70歳の半数前後が賛成していたが、30~40歳は2割前後ぐらいしか賛成してなかった)
近年では「韓国の若者は日本に友好的」といった主張が出るようになったが、このような世論調査を見る限りでは、寧ろ若者の方が反日思想が強い傾向にあると考えられる。
対日外交があった3月時点で二番目に多かった不支持の理由が「日本との関係・強制動員賠償問題」だった。(1位は外交)しかしその反面、尹錫悦を支持する人の多くが「日本との関係改善」を理由にしている事から、日本と仲良くなりたい韓国人が彼を支持しているようだ。
2023年3月26日、若年層の支持を狙ってか、大統領府は「情報を簡潔で視覚化されたコンテンツで消費する『MZ世代(Z世代)』の目線に合わせて制作した」日韓首脳会談の成果を3本の30秒動画にまとめてYouTubeに投稿した。
歴代最難関大統領
政治家経験約一年の状態で大統領に就任した尹錫悦。彼の就任タイミングはあまりにも悪かった。
依存先の中国と同盟国のアメリカの対立の激化、有力な交易先であるロシアによるウクライナ侵攻開始、世界一となった家計債務など、韓国は未曽有の危機に瀕していた。
その影響で経済などが国内ではどうにもならない状況に陥った為、尹錫悦はアメリカに助けを求めただけでなく、朴正煕の代からの伝統である親日派の振りをして経済協力を引き出す用日を行った。
そして日本の有力な保守派亡き後の北朝鮮によるミサイル発射のタイミングで行った国益の為の対日によって、日本からの援助を得られるようになった。
しかしあくまで代位弁済の案であって実行は出来ておらず、そもそも尹錫悦に賛同していない多くの韓国人はその案に全く納得していなかった為か、結局韓国最高裁によって日立造船からの供託金が引き渡される事となった。
この出来事に対し韓国ネットでは「ついに勝利した。おめでとう」などという歓喜の声が上がっていた。
余談
顔のパーツがおしりたんてい(韓国でも人気の作品で翻訳絵本がヒットしている)に似ているとよく言われており、本人もネタにしている。
韓国でも親韓、知韓と言われている鳩山由紀夫と会談した。
尹錫悦は彼に「韓日関係改善の先生になってほしい」と発言している。
光復説の記念式典の演説で、尹奉吉の名前を出していた。
表記揺れ
- 윤석열(ハングル表記)