ガザC
がざしー
ジオン公国残党軍「アクシズ」が開発した可変量産型モビルスーツ。一年戦争末期に登場した駆逐モビルポッド・オッゴの流れを汲んだ機体。型式番号はAMX-003だが、グリプス戦役末期に連邦軍がアクシズと協定を結んだ際、連邦軍から「MMT-1」というナンバーを与えられている。また『ガンダムセンチネル』においては、ネオ・ジオン内で「カエサル」のコードネームで呼ばれる様子が描かれている。
開発経緯
一年戦争終結後、アステロイドベルトへと渡ったジオン公国軍残党は、小惑星アクシズ内部の施設拡充およびその居住施設モウサの建造に際してオッゴをベースとした作業用MSであるガザA、ガザBを開発した。その後、幾つかの内紛を経てアクシズの地球圏への帰還が決定したのと前後して、これらガザシリーズを戦闘用に発展させ、生産ラインを流用して大量に生産することで暫定的に軍事力を増強する方針が固まり、開発されたのが本機にあたる。このような開発経緯のため、旧来のジオン公国軍系MSとは一線を画した独特なフォルムを持ち、その機体概念も同時代のMSにあってひときわ異端である。
外観
機体形状は有機的な曲面構造で、MS形態の頭部は可動がオミットされた代わりに十字モールドが入った魚眼レンズ的な広角モノアイを装備する。この大型モノアイはガザ系列機の大きな特徴の一つである。コックピットは頭部に設置され、ハイザックと同型のものが採用されている(リニアシートや全天周モニター等はアナハイム・エレクトロニクスとの技術的取引によって入手したもの)。簡易的な可変機構を持ち分類としては第3世代MSに属するものの、当時のトレンドであるムーバブルフレームは採用されておらず、ブロック構造による変形である。機体色はコーラルピンクを主体にしている。
機体概要
開発当時のアクシズ兵はモウサ居住の若者を中心とした志願兵が多く、パイロットの練度の低さが問題となっていた。それを補うため、本機は砲撃戦を中心とする集団戦術を想定して設計されている。よって、機体コンセプトは支援用兵器のそれであり、単機での戦闘能力は低く、特に運動性が極端に悪いことで接近戦にはかなりの困難を伴うため、本機は従来のMS以上に3機1個中隊の編隊行動・密集戦法を厳守し、近接戦闘を避けることが戦闘のセオリーとされた。また、本機はエゥーゴやティターンズに先んじて量産化に成功した可変機ではあるが、前述の通り元は作業用MSの生産ラインを流用して製造された機体であり、機体構造は恐ろしく脆弱で、特に前腕部にシャフト1本で取り付けられた肩部バインダーや簡易式のマニピュレータ、非常に細い胴体等に残る剛性面での不安は白兵戦の不得手に拍車をかけている(鹵獲機の調査を行ったエゥーゴのメカニックマン曰く『3回出撃すれば空中分解を起こす』『変形を4、5度繰り返せば接続部に異状を来たす』レベルだったという)。加えて「可変自走砲」とも揶揄される航続距離の短さは、従来の高機動型MAの用途である強襲・突撃戦法を困難にしており、MSとしてもMAとしても中途半端な機体になってしまった。
とはいえ、工業力が低い中で軍事力増強を誇示する必要があったアクシズにとって、作業用MS譲りの良好な生産性を持つ本機はうってつけの存在であり、グリプス戦役にアクシズが介入して以降、新型機投入までの繋ぎとして300機近くが戦役終結時までの主力として投入された(生産自体はグリプス戦役中期に打ち切られている)。母艦や拠点の周囲に散開しての威圧行動や一斉射撃等でそれなりの戦果を挙げたことでその有用性が認められ、全体的な構造の補強を行ったガザDや白兵戦能力を向上させたガ・ゾウム等の後継機が開発されている。
武装
ナックルバスター
本機専用に開発された、ガザシリーズの象徴ともいうべき高出力メガ粒子砲。角柱状の砲身と機体のメインジェネレータをケーブルで直結しており、MS形態では右脇で抱えるように保持・射撃する。その出力は6.7MWとスーパーガンダムのロングライフルに匹敵する大火力で、胸部センサーとのリンクにより命中精度も高い。これを複数の機体で発砲して弾幕を張るのが本機の基本戦術であり、ある意味生命線のような役割を持つ。とはいえ、半固定式のため携帯火器に比べて射角や取り回しに劣り、格闘戦をさらに困難にさせるという弊害も生じている。なお、MA形態でも使用可能。
ビームサーベル
出力0.4MW。両肩のバインダーに1基づつ内蔵される。前腕部にバインダーの付いた簡易な腕部でサーベルを振り回す行為は機体に大きな負荷を掛けるため、多用はできない(とはいえ、劇中では本機で百式に近接戦闘を挑んだ強者がいたりする)。
ビームガン
出力2.3MW。MA形態時に使用可能。当初はビームサーベルを兼ねる予定だったが、コスト削減のためオミットされた。
クローアーム
MA形態時の脚部を格闘武器に転用したもの。元々は作業用のマニピュレーターとして使用されていたもので、武器としての効果は高くなく、専ら戦艦の甲板や小惑星などに降着して移動砲台的な形態を取るのに用いられる。
バリエーション
袖付き所属機
『機動戦士ガンダムUC』に登場。カラーリングはグリーンで前腕に『袖』の装飾が施されている。袖付きの拠点衛星パラオに配備されており、先述の欠陥もあって半ば自走式の移動砲台として運用されている。