カタログスペック
頭頂高 | 14.0m |
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本体重量 | 7.9t |
全備重量 | 17.4t |
ジェネレーター出力 | 3,880kw |
装甲材質 | チタン合金ハイセラミック複合材 |
スラスター総推力 | 69,500kg |
概要
宇宙世紀0123年にサイドⅣ(フロンティア・サイド)に侵攻したクロスボーン・バンガードの主力量産型モビルスーツ。形式番号XM-01。
ブッホ・エアロダイナミクス社が、同社の作業用モビルスーツ「デッサ・タイプ」をベースに開発した経緯を持ち、型式番号の示す通りクロスボーンの運用するモビルスーツの中では最初に開発された機体である。
クロスボーン・バンガードの組織の性質上、試験運用は極秘とされ、モノアイ状のバイザーを装備した上で月の裏側にあるゼブラ・ゾーンにて行われた。
「デナン・シリーズ」最初の機体でもあり、後に続くクロスボーン・バンガード系モビルスーツの始祖的存在として一般戦闘用のデナン・ゲー、指揮官用の「ベルガ・シリーズ」など様々な系統の機体を生み出していく事になる。
クロスボーン・バンガードが開発した機体の中では性能は低い部類だが、それでも当時の地球連邦軍主力である「名機」ジェガンタイプを圧倒的に凌駕する性能を有している。(どころか、20m級MSとしては最高峰のユニコーンガンダムと出力でほぼ互角、パワー・ウェイト・レシオでは圧倒的に勝っている。)
更に、連邦所属パイロットが宇宙世紀0100年のジオン共和国自治権放棄に伴い惰眠を貪ってきたことに対して、バンガード所属パイロット練度・士気ともに高い事も合わさり、次々と連邦軍のMS部隊を駆逐する活躍を見せた。
本機は、同時期にアナハイム社によって開発・運用され始めた連邦軍の新型量産モビルスーツ(ヘビーガン)と同様に、15m級の小型機として開発されているが、「ジェガンをダウンサイジングしただけ」と揶揄される当該機体では、性能差を語る事すらおこがましい程である。
特に機体各所に外装式ジェネレータを分散配備した事によって機体の高出力化に成功しており、実戦配備された量産型モビルスーツとしては初めてビームシールドの運用が可能となった優位性は、極めて大きい。
また、特徴的な丸眼鏡を思わせるツイン・アイは、ハイブリッド・センサーと呼ばれる新機軸の仕様であり、一部を除いたクロスボーン・バンガードのモビルスーツに広く用いられた。
クロスボーン・バンガードの決起目的であるコスモバビロニア建国のためにスペースコロニーを傷つけずに制圧する事を目的として、主に格闘戦に重きを置いた設計が成されており、武装もそれに準じている。
特に、クロスボーン・バンガードを象徴する主兵装であるショットランサーは、ビームサーベルと異なり敵機のジェネレーターを爆発させない程度の低威力白兵戦用武器としてだけではなく、ランサー部分を4段階に分けて射出する射撃武器としても使用可能。基部にもまた、威力を抑えたマシンキャノンを配し、コロニー内戦では御法度とされる敵機の爆発を徹底的に避けるよう配慮が為されている。
カラーリングはグレーを基調としたものだが、ザビーネ・シャルが指揮を執るエース部隊『黒の戦隊』所属機はブラックとダークパープルの特別なカラーで染められている。
武装
腕部デュアル・ビームガン
防御兵装であるビームシールド基部の真下に備え付けられた、二連装の小型ビームガン。コロニーを傷つけないよう、わざと出力を抑えたショートバレル・モデルとしている。
しかしながら、ジェネレーターの高出力化および機体稼働要求出力の低下により、機体自体でミノフスキー粒子の縮退を行う『ジェネレーター直結型』の搭載を可能とした(Eパックを必要としない、事実上の弾数無制限武装である)。
ショットランサー
白兵戦用及び遠距離戦用の騎兵槍型実体兵装。
超硬合金のランス部と、マシンキャノン(ヘビーマシンガン)を備えた基部とを組み合わせた構成となっており、デナン・ゾン用のランサーはマシンキャノンを2基を備える。
ランス部分は4重の、いわばマトリョーシカと同じ入れ子構造となっており、状況によってランスを1基~全数まとめて射撃可能である。全ランスを射耗した後にもマシンキャノン基部が残り、近距離から中距離の射撃兵器として使用できる。
当然ながら格闘武装としても使用でき、ショットランサーの後部の柄を押し込むとランスが基部から伸長して打突する構造となっている。上述の通り、運動エネルギー兵器であるためビーム兵器に比べてモビルスーツ(のジェネレーター)を爆発させにくい。
ビームサーベル
腰部に1基を収納している。
ビームシールド
本時代のMSから実用化が始まった防御兵装。詳細はリンク先を参照。
ジェガンおよびヘビーガンの使用する実体盾と比較して、遥かに高い防御性能を有する。
余談
「機動戦士ガンダムF91」に登場するMS全般に言える事だが出力や推力の数値が一見して控え目に映る為「機動戦士ガンダムZZ」、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」、「機動戦士ガンダムUC」等のMSと比べて過小評価されやすい傾向にありクロスボーン・バンガード内で下っ端に位置するこの機体は最もその傾向が強い立場にあると言える。
が、実際にはデナン・ゾンの全備重量に対するパワー・ウェイト・レシオ(推力比)は3.9倍という破格の数値を誇っており、宇宙世紀0100年以前のガンダムタイプのMSでこれを上回るのはEX-Sガンダム(7.2倍)1機のみである。(次点がバンシィ・ノルンの3.8倍、その次がユニコーンガンダムの3.4倍となる。)
人間の格闘技は体重が重い=筋肉量が多いほど有利だが、ビームサーベルという伸縮自在の必殺武器を持つMSの接近戦では、『小型』である事は圧倒的に有利であり(物理的に20級MSは、15m級MSの“肘の内側”に潜り込むことができない)、重量に比する慣性=動きの軽さや小回りも考慮すれば、デナン・ゾンの性能が旧来のMSとは次元が違っているという事実は想像に難くない。