概要
白い顎髭に青いとんがり帽子、長い杖がトレードマークの魔法使い(イスタリ)である(「魔法使い」という呼称は自由の民が勝手につけたものなので、我々のイメージにある一般的な魔法使いとは趣が異なる)。
人間ではなく、西の海の果ての神々の住む国アマンから二代目の冥王サウロンに立ち向かう勢力を一つに束ねるべく遣わされた5人の賢者イスタリ(単数形イスタール)の一柱とされる。イスタリは、選ばれしマイアのリーダーであったとする資料もあり、イスタリ以外にも魔法使いがいたとされる事もある。
実質上の下級神であり、力量こそ違えどサウロンやバルログ、大鷲(たぶん)などと同種族であるが、彼らイスタリが仮に堕落しても(力で物事を解決するような)バルログにはならないという推測もある(参照)。
また、(誰と比較してなのかは不明だが)ガンダルフは最高の知恵を有する者ともされ、それはつまり、最も創造神エル・イルーヴァタールへの信仰が厚い者でもあったという事の隠喩である。ただし、その知恵は痛みと弱さを経て形作られたものだとも言われる(参照)。
つまり、最初からおじいちゃんの姿でミドルアースにやってきたのであった。本人いわく、「(ガンダルフとして)通常の人間の500世代分は生きてきた」。おそらく2000年程度は中つ国にいたのではないだろうか、とされる。
本来の姿であるマイアでは、それらの間でも最も賢いとされた。マイア時代、元々はエルフたちに想像力などを吹き込む役目であった。本名は「オローリン」であり、エルフからの呼び名は「ミスランディア(灰色の放浪者)」、ドワーフからは「サルクーン(魔法使い)」などと呼ばれており、ガンダルフの意味は「杖を持ったエルフ」。実写映画『ホビット』シリーズでは、オークの首領(というかオーク鬼の)アゾグが、嘲りを込めていたのかは不明だが、ガンダルフに対してドワーフ語での呼称を使っていた。
なお、本来の姿は超イケメンだと思われる(サルマンやラダガストも)。
魔法について
光と炎を操る力を持ち、その性格は、かれの操る火にも関連付けられる。炎のように激しく・また熱く、火のように明るく・また暖かい人物である。激しやすくもあるが冷静でもあり、これと同時に広く古い伝承に光を当て、多くの危機に警鐘を鳴らす人でもある。また、その最大の武器はとてつもなく広い人脈にあるという意見もある。
映画版で「魔力で強化された杖で敵と殴りあう怪力じいさん」として演出されたせいで魔法(物理)と言われがちだが、単にイスタリの制約により神霊(アイヌア)としての力を使えないのと、また指輪物語においてはサウロンの注意を惹くのを避けるため(&おそらくは中つ国に与える破壊や非破壊的な影響が大きすぎるため)に魔法を余り使わないだけであり、実は下級神といっても過言ではない実力者。
制約無しの魔法と本来の神力をあわせれば、よく引き合いに出されるダンブルドアやヴォルデモートなんかとは比較にならないのである。
それこそ地形を変えるなど造作もないことだろう。
対ナズグルも、灰色のガンダルフでは数で劣り、白のガンダルフならば余裕で勝てると推測されている(原作のファンには、アングマールの魔王>ガンダルフともとれるような映画での描写を嫌う人もいる)。杖は、人間の魔法使いに紛れてカモフラージュに役立ったとする意見もある。
- 「魔法使いの原典みたいなキャラなのに既成概念を打ち壊すキャラ扱いされる不思議」だとか「古典では魔法使いは一人で何でもできる前提のイメージや修行した求道者の延長として描かれてることが多いので身体が弱いって設定があまりでてこない」という意見もある。
なお、魔法はサポートや日常生活の充実化的な使用が多いが、攻撃魔法も実は多少であるが披露している。
- 火焔
- 一帯を焼く尽くすほどの熱&雷光のような破壊の光の放射
- 燃焼
- 爆破
- 雷撃・雷撃剣(映画のみ)
- 衝撃波・武器に衝撃波のような力を纏わせる
- 念力・水などの事象の操作
- バリア・破魔または退魔の魔法
- 聖なる光またはビーム
- 武器強化
- 武装解除と武器破壊(バルログにも通じる)
- カウンター魔法
- 巨大化(たぶん)
- 対生物&非生物用服従化(つまり物質に命令ができる)
- 動物との会話
- 思考の読み取り
- 思考での対決(サウロンと直接やり合う事もあった)
- 回復術 (厳密な魔法なのかは不明)
などはやっている。また、お得意の花火を兵器レベルにまで強化して使うことも。
サルマンとの「ころばせ合い」は、実は「多重結界を展開させつつ相手の結界を超高速で解除している」という高度な魔法合戦なのだ(拝借情報)。
- 味を上質にする、火をおこす、などの日常生活で使えるレベルの魔法をよく使う。
- ぶっちゃけ、あからさまな魔法を嫌うPJの好みが関係している。上記のように、原作では魔法の使用率もけっこう多い。
灰色のガンダルフの状態ですら、バルログと10日間ぶっ続けで戦い続け、山頂で戦闘していた時は遠方からも雷と焔の嵐が見えたら。
神力はおろか魔法すらろくに奮えず、人間然の肉体や精神状態に収容され、それ以前の記憶はほとんど一切が消され、死の恐怖や苦痛などの現世の苦しみにも曝される。
イスタリにこのような制約が課せられ、無理ゲーといっても過言ではない状況に置かれたのはサウロンと直接対決をさせない&自由の民を導き煽動する事で悪を乗り越えさせるため。わざわざサウロンよりも力で劣る者たちがイスタリに選ばれたのもそのためでる。
- 過去に神力を持つ者同士で戦った際に中つ国の北西部地方がまるごと消滅した&アラゴルンの先祖の大多数がサウロンに惑わされてヴァラールに反旗を翻して島ごと海に沈められた&世界の形が変わってしまい現在の地球の原型ができた&不死の国が世界から切り離された、いくら元凶がモルゴス側にあるとは言え同族殺しのエルフが出現してしまった、などなど、あんなことやこんなことが沢山発生してしまったからである。ヴァラールも、本来の予定通りに世界を造れず、「悪」という概念すら持ち合わせていなかったのに世界がこんなことになってしまい、散々に心を痛めてきた。だが、(最初から計画があったのかは不明だか)悪を放置したのも創造神であり、全てが調和の下に治まるのは、実は随分先の話である。また、強い魔法を使うと敵に察知されるという事情もある。大鷲に乗って指輪をポイッが出来ないのも、似たような理由の他に様々な事情があったから。鷲は神獣か神の遣いなので気軽に呼べない&すぐにバレる&自由の民に勘違いされて攻撃をされる可能性があるため。
その他
とんでもなく困難な使命を負ったイスタリでは、唯一任務を完了している(それでも一度は死亡しており、おそらく上司の力ではなくて創造神の力で蘇った)。同時に、サルマンが堕ちたために格上げされた。不死の国アマンに正規の形で帰還したのは彼のみだが、たとえばラダガストや青の魔法使いたちも、後々に帰還を許された可能性もなくもない。
- ファンによる考察では、ガンダルフが堕落したり任務を放棄しなかったのは、単純に最賢なマイアであった、というだけでなく、 彼の持つナルヤの為とか、ヴァラールから忍耐や憐れみなどを学んでいたから、という説がある。
- サルマンが堕落した数知れずの原因の一つに、ガンダルフに対する嫉妬があったらしい。イスタリにおいて立候補した筆頭がサルマンであったが、他のアイヌア達から推されて就任したのがガンダルフであったため。
- サルマンの名前も、後のハウルのサリーマンなどに影響を見れる。
また、ガンダルフの「裏の性格」は計算高くて冷淡な部分があるという意見もある。
中つ国において、ガンダルフについては良い噂もそうでない噂もあったのは事実であり、ガンダルフ自身もピピンに対して「自分はひどいジジイだ」という旨の事を話していた。
また、トールキン教授も「もしガンダルフが一つの指輪を私用に転じたら、(悪意ではなく正義感のために)サウロンよりも遥かに良くないことになるだろう」としている。
スマウグの討伐には、厳密に言うとドワーフ達は討伐よりも宝の奪還に興味があり、それをガンダルフが利用したのだが、実際にはドワーフとビルボの旅がなくてもサウロンが竜を懐柔する前に破壊するプランをいくつか考えていた可能性が指摘されている。ビルボの起用についても、元々は別の人材を探していたがダメだったというのが理由である(参照)。
「ガンダルフは成功したか失敗したか」については、成功だという意見がある一方で、サルマンの堕落やホビットの未強化など、できたのにしなかったり失敗した、という事がいくつかあるという意見もある(参照)。
「ガンダルフはスマウグを倒せるのか?」という疑問にも是非の両論がある(参照)。
ビルボの冒険とフロドと指輪の出会いの間の約77年間、ガンダルフはサウロンが闇の搭を支配下に置いたことなどに際し、白の会議でサルマンが、サウロンが指輪を発見する可能性とその問題を軽視するように働きかけていた一方、指輪のことを知るために古い文献を調べたりアラゴルンにゴラムの調査を依頼したりホビット庄のチェックに行っていたりしていた(参照)。
余談
映画の中の人は、悪の鋼の魔法使いを演じていることでも有名である。