時崎狂三
ときさきくるみ
「ねぇ、そうでしょう?『わたくしたち』」
『士道さんに、またいつか、あえますように--』
概要
黒髪を左右非対称のツインテールに括り、赤と黒を基調としたドレスを着用。普段は前髪で隠しているが、左目が金色の時計の文字盤となっており、針までしっかりと動いている。
<ハーミット>こと四糸乃がASTに「比較的脅威ではない」とされていたのとは正反対に、<ナイトメア>は「かなりの脅威」と認識されており、ストーリー中でも淫行目的で近づいてきたとはいえ、数人の男性を〈時喰みの城〉で自身の影に取り込み殺害(食べると表現)している。おそらく過去にかなりの人間が彼女によって殺害されたと思われる。
精霊達の現界が頻発的になったのは5年前からだが、彼女は最低でも7年前からこの世界に現界していた模様。学校に転校できるほど人間の社会に深く溶け込んでおり、その仕組みを理解・応用する知識も有している。
士道の実妹である崇宮真那となんらかの因縁があり、彼女からは嫌悪・敵視され、何度も文字通り殺害されているが…。
ちなみに彼女が登場すると物語が劇的に加速するが、これは作品の精霊の中で一番最初に考えられたキャラであるため。
人物
常に「ですわ」が語尾につくゆったりとしたお嬢様口調で喋るが、いわゆる壊れたヤンデレ気質の人物であり、いろいろな意味で危ない言動が多い。
興奮する時に行う「きひひひひ」と狂気的な笑い方が印象的。血や殺戮を好んでいる訳ではないが、「殺す」と決めた相手には一切の躊躇も容赦もしない。
誘惑も手馴れたものであり、初対面でも士道を翻弄した。本心を隠しミステリアスに振舞うが、とある目的と信念の元で動いている。
精霊としての面を隠している時には長い前髪で左目を隠し、柔和な態度で周囲に振舞っている。
その所業や振る舞いから凶悪な人物ではあるが、根っからの悪人という訳ではなく、子猫を遊び感覚で殺そうとしてたチンピラ共に不快感を感じて制裁(始末)を加えたことがあり、一連の凶行も許されぬ罪過を背負うという強い覚悟の上で行っている節がある。
その他、こっそり猫カフェに入り浸るほどの猫好きであることや、過去の特殊な嗜好>に傾倒していた頃の自分を恥じていたり、影から士道を見て寂しがりやな一面を覗かせたりと、裏では結構人間臭い面も見せている。
目立ちすぎる左目も、初めはカラーコンタクトで誤魔化そうとしていたが、目にいれるのが怖くて断念したとか。
また、随分なイタズラ好きでもあり、『アンコール』を始めとするコミカルな小話では、分身体や影の能力を悪用して士道達にちょっかいをかけたり、一人おいしい所を持っていこうとしてしっぺ返しを食らった事も。
実は元々の彼女は、現在表の顔として見せているような柔和な性格であり、今の気丈ながらも狂った人格は永きにわたる孤独な戦いの中で少しずつ病んでしまった結果らしい。
能力
ラタトスクの観測精霊データ
名前 | 時崎狂三 |
---|---|
識別名 | ナイトメア |
総合危険度 | S |
空間震規模 | C |
霊装 | C |
天使 | S |
STR(力) | 109 |
CON(耐久力) | 80 |
SPI(霊力) | 220 |
AGI(敏捷性) | 103 |
INT(知力) | 201 |
霊装 | 神威霊装・三番(エロヒム) |
天使 | 刻々帝(ザフキエル) |
古式な二丁拳銃(歩兵銃と短銃)による中距離の銃撃戦をメインに戦う。
攻撃に使う銃弾は物質化した影で出来ており、一般的な鉛弾にも引けを取らない威力を持つ他、神秘で守られた相手にも簡単にダメージを通すことが出来る。
下記の能力が強力な分、直接的なスペックは精霊の中でも低い方であり、その性質上大規模な破壊やパワーが必要とされる戦いには全く向いていない。
だが彼女の本質は、他のどの精霊よりも戦術・謀略や、己の力をフル活用する術に長けている点にあり、自らの意思で空間震を発生させられるコツも会得している。
影や分身体を使った情報網による奇襲や、非力さが無いも同然となる集団戦法、手段を選ばない狡猾かつ大胆な立ち回りこそが、敵対者にとって真の脅威と言えよう。
刻々天使‐ザフキエル
狂三の顕現させる天使。巨大な時計の形をしており、時間を操作するというとんでもない能力を有している(興奮しているときはやたらと伸ばした言い方で召喚する)。
彼女が普段使っている二丁の古銃は、この時計の長針と短針でもある。
各文字盤に対応した十二種類の能力を弾丸として銃に込め、影響を及ぼしたい対象へと打ち込む事で効果が発揮される。
この時の銃弾には直接的な攻撃力がなく、当たっても一切ダメージを受けることは無い。その為自分に効果を及ぼしたい時は自らに発砲し、相手の虚をつく意味もあってかこめかみへのヘッドショットを好んでいる。
また能力が装填された状態であれば、狂三以外の者が撃っても効果は発揮される。
極めて強力かつ応用性に満ちた能力で、発動の結果が相手の強さに一切左右されない為、全ての精霊の大元たる始原の精霊に(ある意味でだが)唯一対抗しうる力でもある。
ただし、時間操作という強大なチート能力を行使するだけにその代償も高くつき、使用する際は自身の時間=寿命と少なくない霊力を消費する(ただしある程度は消費する寿命を霊力で代用することが出来る模様)。
中でも【十一の弾】と【十二の弾】は、本気で使用すれば1発で自身の寿命を全て使い切ってしまうため、今まで使用したことは一度も無かった。
その為後述の【時喰みの城】によって、他人から度々時間を奪う形で補充している。
※以下の武器に込める銃弾の能力の名称は、ヘブライ文字の数字にほぼ対応する。
- 【一の弾】(アレフ)
対象の外的時間を一時的に加速させる。主に自分へ使ってスピードの強化等を行う。
- 【二の弾】(ベート)
対象の外的時間を一時的に遅くする。
- 【三の弾】(ギメル)
対象の内的時間を加速させ、生物の成長や物体の経年劣化などを促す。
- 【四の弾】(ダレット)
対象の時間を巻き戻して、追った傷などを復元させる。
- 【五の弾】(ヘー)
僅か先の未来を見通すことができる。
- 【六の弾】(ヴァヴ)
対象の意識のみを過去の肉体(数日前まで)に飛ばし、タイムループを可能とする。
- 【七の弾】(ザイン)
対象の時間を一時的に完全停止させる。強力な分消費する時間は多め。
- 【八の弾】(ヘット):
自身の過去の再現体を分身として生み出す。
分身体は狂三本体の影に沈む形で待機しており、その数は平均千体ほど。生み出された分身体を全て駆逐しない限りいくらでも呼び出すことが可能であり、彼女が殺害されても何度も蘇っているのはそのため。
ただし、分身体のスペックは本体より一段劣っており、活動時間も生み出された際に消費した『時間(寿命)』しか活動できない。また、基本的には天使を行使することも出来ない。
とはいえ、それでも人間や精霊にとっては十分脅威となるレベルであり、それが百体以上連携して襲い掛かってくる光景はまさに悪夢。
本物と分身体を外見で区別するのは不可能(狂三たちには誰が本体なのかはすぐに分かる模様)で、全てが狂三自身のコピーであるため、一体一体が「狂三」としての自立した意志を持っている。それ故たまに本体に逆らったりツッコミを入れたりしている他、長めに活動している者や過去の再現体は今の狂三と細かい性格が異なっている場合も。
その他、情報のやり取りを通じて記憶を共有する事もできるが、全ての固体が見聞きした記憶は流石に脳が許容できない為、直接的なパスを繋いではいない。
- 【九の弾】(テット)
異なる時間にいる自分と意識を繋ぎ、交信することができる。
- 【一〇の弾】(ユッド)
対象に込められた過去の記憶を知ることができる。
- 【十一の弾】(ユッド・アレフ)
対象を未来へ送ることができる。
進む時間に応じて消費する時間・霊力は加速的に上がってゆく。
- 【十二の弾】(ユッド・ベート)
対象を過去へ送ることができる。狂三の悲願に不可欠となる弾丸。
遡る時間に応じて消費する時間・霊力は加速的に上がってゆく。
時喰みの城
狂三が有するもう一つの能力。周囲に影を張り巡らせ、影を踏んでいる人間の時間を吸い上げる。
霊力の加護を受けた者はその限りではないが、影を踏んでいる人間は体が重くなり動けない状態となり、常人であればたちまち昏倒して死ぬまで時間を吸い取られる。
時間を消費しなければ力を行使できない狂三にとっては不可欠な能力。この影響なのか、彼女は相手のもつ霊力の量などを感じ取れるような描写がある。
また、内部は真っ暗な一種の異空間になっており、自らは中に沈んで移動や潜伏ができる他、特定の人物を引きずり込んでの捕食や保護も可能。狂三が誰にも捕らえられず神出鬼没に立ち回ることが出来るのはこの能力による所が大きい。
経歴
デート・ア・ライブ
ある目的を果たす為、3人もの精霊の霊力を持った人間五河士道の情報を得て、学校に転入する形で接触しそれが事実だという事を確信。
彼の霊力を喰らおうと暗躍し、最終的に相対した真那や十香、折紙をも無力化するも、更なる救援の火力によって撤退に追い込まれる。
その後は、物語の要所要所で単身暗躍する傍ら、窮地に追い込まれる士道を「死んでもらっては困る」という理由で助太刀するなどトリックスター的なポジションが定着。
当初は彼を目的達成のための道具程度にしか感じていなかったが、本体・分身体問わず真っ直ぐな彼との交流を重ねていくうち、彼を好意の対象として見るようになり、自らの大切な存在として心に根付くようになっていく。
10巻では折紙が自身と同じような目的を持っていることを知り、今まで使った事のない【十二の弾】の試し撃ちを兼ねて、彼女の目的を手伝うという理由、そして歴史改変という神の意志に逆らう自分たちの願いがもたらす結果を知るため、五年前に彼女を送り出す。
しかし【十二の弾】の効果が切れ、戻ってきた彼女はとんでもない事になっており、予想外の事態に驚いた狂三は、何があったかのを突き止めるため(とおそらく罪悪感から彼女を救うため)、士道に接触し、彼を折紙が遡行した日へと送り出す。
色々あって無事(?)に歴史を改変することには成功し、時を司る精霊だけあって歴史改変後でもその前の記憶を保持していた。
以降の動向についてはネタバレを参照。
余談
一部のファンからは「くるみ」ではなく「きょうぞう(ちゃん)」という呼び方が定着している。
ただし本人は気に入っていないようで、人気投票のコメントの中でそう言われた際、士道に八つ当たりしていた。
アニメでは真田アサミ氏の好演が光り、彼女のキャラを余すところ無く印象付けた。
特に『きひひ』笑いの常軌を逸した怪演は他の出演声優をして『真田さんしか出せないだろう』と言わしめているほど。
「生命の樹(セフィロトの樹)」において対応する事象は以下の通り。
数字 | 3 | 名前 | 狂三 |
---|---|---|---|
神名 | エロヒム | 霊装 | 〈神威霊装・三番(エロヒム)〉 |
守護天使 | ザフキエル | 天使 | 〈刻々帝(ザフキエル)〉 |
設定上の話だが、髪の色が黒いのは対応するビナーから来ているものと推測される。
関連タグ
令嬢 ダークヒロイン 時間 影 3 夕闇 銃弾 ジョーカーキャラ
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以下、彼女の目的や10巻以降のネタバレ
彼女の真の目的は多くの精霊と死者を生み出した始原の精霊をその手で始末すること。そして時間逆行能力を秘めた弾【十二の弾】を使用し、30年前に飛んで、自身を含めた全ての精霊をこの世から消し去ることであった(この目的を知った当人は驚き「君は思っていたよりは優しいんだね」と思わず呟いた)。
しかし【十二の弾】の特性から、30年前に飛ぶ事は自身の全ての時間と霊力を消費してもまだ叶わず、それを成しうる膨大な霊力を求めて手段を選ばぬ凶行に身をやつしていたのだ。
13巻では二番目の精霊こと本条二亜の現在の場所を探り当て、接触。
そこで彼女から「原初の精霊がいかにして出現したのか」と「その殺し方」を全知の天使である〈囁告篇帙〉で調べてもらいその真実を知る事となる。
結果、原初の精霊は狂三が霊力を集めきったとしても絶対に殺せないという残酷な事実が判明。
そのためさらに過去の時間へ飛び、原初の精霊の誕生自体を阻止して存在ごと根絶してやろうという方向に計画を修正。
16巻においてはついにその過去が明かされる。元々は正義感のある善良な両家の令嬢であったが、始原の精霊である崇宮澪に騙されて精霊となった結果、自分の親友を殺害してしまう。
その絶望で反転しかけた所を【四の弾】で絶望する前に自らを戻して最悪の事態を回避している。それらを全て無かったことにするために、人類に悪と断じられようとも行動することが彼女の源泉となった。