概要
スルトは天地創造の頃から世界の南にある炎の国ムスペルヘイムの入口に立つ番人として言及される巨人である。
各エッダにおいて細かい差異こそあるが、「神々の黄昏」に際して炎を全身にまとって南から進軍して、豊穣神フレイと激闘を繰り広げてこれを討ち果たす。そして多くの神々や巨人族が倒れていく中、最後まで生き残って地上に炎を放ち全てを焼き尽くすといわれる。
スルトを語る上で欠かせない物として、彼が持つ“炎の剣”が挙げられる。
ただしスノッリのエッダ「ギュルヴィたぶらかし」では燃え盛る炎の剣を持つと記されるが、古エッダ「巫女の予言」では“枝の破滅”と呼ばれる炎を持つとされる。
一応「巫女の予言」には『戦の神々の剣からは、太陽がきらめく』という記述が存在するが、単語の解釈によってはスルト、フレイどちらの武器とも判断できるのではっきりしない。
そしてこの記述と、フレイが美女ゲルズを娶る際に「ひとりでに動いて巨人と戦う剣」手放す話が結びつき、スルトはフレイの剣を持っていたとする説もある。
なお、レーヴァテインの詳細は該当項目を参照。
スルトのイメージは北欧神話の成立に先立って存在したといい、アイスランドにおける火山噴火や溶岩流の神格化がスルトのルーツとされ、炎をまとう黒ずんだ外見の巨人としてしばしば扱われる。また、神話に先立つ詩では終末の戦いや滅亡を象徴するとされている。またアイスランドは前述した火山活動と厳しい氷雪の島であり、全てが燃え尽き水に没する神々の黄昏の原型を備えているといわれる。
このためスルトの名は褐炭や火山洞窟に結び付けられ、1963年に生まれた火山島スルツェイ(スルトの島)のように彼と火のイメージは現代でも息づいているのだ。
女神転生シリーズのスルト
初出作品は「真・女神転生」で、種族“魔王”のボス悪魔として登場。
真Ⅰの頃はマントを羽織い炎の剣を振りかざした、黒い身体に赤い斑が刻まれた巨人のデザインで、魔神転生2でマントが無くなり、ソウルハッカーズで頭部が長くなった以外は基本的に変化はない。
最終ダンジョン“カテドラル”に控えるカオス陣営の一番手であり、後に控えるアスタロト、アリオクを凌ぐ能力値とレベルを誇り、高い『力』の値から繰り出される連続攻撃が厄介である。カオスルートではデビルリングの素材“スルトの爪”を主人公に渡す役目を担うが、フォルネウスに「スルトの炎の剣よりヒノカグツチの剣の方が強力」と言われてしまっている。
神話世界の終焉を担った存在である為か、シリーズ作品では強力なスキルや能力値をあてがわれることが多く、特に「真・女神転生Ⅲ」では作中トップクラスの威力を備えるスキル“ラグナロク”や全悪魔中で唯一通常攻撃が火炎属性であることから、悪魔合体時に手を加えれば強力無比な仲魔になる存在である。
関連タグ
バルログ…トールキン教授の神話体系には北欧神話由来の設定も見られている事もあり、あくまでも考察だが、スルトがバルログのモデルなのかもしれない。
スルト(Fate): Fateシリーズにおける彼は、Fate/GrandOrder第二部第二章のストーリー上で重大な役割を担っている。