音無響子
おとなしきょうこ
概要
主人公五代裕作の住むおんぼろアパート「一刻館」に、住み込みの管理人として赴任してくる。
その美貌に五代は一目で虜になり、思いを寄せるようになる。五代より2歳年上。
連載当時、独身男性層に爆発的な人気を博した、高橋作品を代表する永遠のマドンナである。
「響子さん、好きじゃーー!!!」
彼女の婚歴からすると「幼な妻」と「姉さん女房」のどちらも経験したことになる。
五代からのプロポーズの際、未亡人としての痛切なお願いを絡めて応えたシーンは有名。
るーみっくヒロインの中でも大人である為、唯一「主人公と体を重ねた描写がある」ヒロインでもある。
人物
登場時点で21歳。五代とは2歳差。
儚げな雰囲気をまとった黒髪の佳人で、一刻館のマドンナのとして男性住人たちから絶大な支持を受ける。
竹箒とPIYOPIYOエプロンがトレードマーク。
男性からのアプローチも多いが、大抵は判然としない態度で煙に巻いている。
普段は物静かで大人しいが、本来は明るく快活で温厚。
一見してか弱くに見えるが、強気で頑固なところがあり、見掛けに寄らず行動的。
しかし、隠された面として、思い込みが激しく、世間知らずで、他者の感情に鈍感と箱入り娘のような部分が強く出ることがある。自分の感情も押し殺しがちで、端整な見た目に反して人付き合いは不器用でもある。
そして一途で嫉妬深く、時に大和撫子なイメージからは想像しえないはっちゃけた言動も起こす。
よくアパートの玄関先を箒で掃除しており、その音は彼女の機嫌のバロメーターともなっている。たとえば、五代が朝帰りしたときは徹夜でアパートの前を掃除していたり、五代の部屋に籠城する八神いぶきが、五代といっしょに登校していくのを見送りながら笑顔でへし折ったりしている。
旧姓は「千草(ちぐさ)」。両親とも娘を溺愛する頑固そうな人物で、父の千草氏は高熱をおして五代が勤める幼稚園に押しかけて警察に職務質問を受ける一方、母の律子は千草氏が入院した時の写真を持ち出して響子を家につれ帰ろうとするなど、多少常軌を逸した面が見られる。
高校は惣一郎の父が理事を務める私立の女子校。テニス部に所属し、部活の講師だった音無惣一郎と出会って仲を深め、卒業後に両親の大反対を押し切り、駆け落ち同然に結婚する。
しかし、わずか半年で惣一郎は交通事故で他界。両親とは疎遠となり、抜け殻のように落ちこんでいたため、不憫に思った惣一郎の父親から一刻館の管理人を任させ、以来、当アパートで管理人として忙しい日々を送り、変人ぞろいの住人たちとの触れあいに以前の快活さを思い出していった。
五代へは早い段階で心を寄せ始めていたのだが、当人の鈍感さに加え、前夫である惣一郎への想いを断ち切れず、五代と三鷹瞬の熱烈なアプローチも理解できない振りで通していた。女性の扱いに慣れた三鷹にはこの手が通用せず、強引にデートへ連れ出されることもある。
それでも日増しに大きくなる五代への感情と、亡き夫への想いの狭間で揺れ動き、最終的に五代への想いをはっきりと自覚し、彼の真摯な想いを受け入れるに至る。
それまでにも、五代に女性からの電話があると不機嫌なったり、五代を含む各部屋の住人に取り次いでいた黒電話とは別にピンク電話を管理人権限で設置したり、五代がガールフレンドの七尾こずえとデートに向かうと聞いて首をへし折るくらいに力を入れてネクタイを直そうとしたり、感情が昂ると五代へ衝動的にキスしたり(五代がハプニングでやらかした回数より多い)と、割とわかりやすく感情的になっていた。
五代に平手打ちを食らわせた回数も多く、原作8話で五代のいきなりの告白に一発見舞って以来、彼からのセクハラや煮え切らない態度に対して、度々五代の頬に椛型の印を押している。
愛犬家で、前夫と同じ名前の「惣一郎」という犬を番犬も兼ねて飼って愛情を注いでいる。
愛犬の「惣一郎」は夫の惣一郎が散歩の途中に買った「焼き鳥」につられてついてきた野良犬をなし崩し的に飼いはじめたもので、惣一郎がどんなにしつけようと「惣一郎」という名前でしか反応しなくなったため、やむなくその名前にした逸話がある。
結婚後(エピローグ)は長女・春香を出産し、五代から新居への転居を提案されながらも一刻館の管理人として共働きの日々を送っている。
TIPS
るーみっくヒロインの中では、高橋留美子が「自分に一番近い性格」と認識しているキャラクター。
「アパートの美人管理人さん」というジャンルの構築に多大な影響を与えたキャラクターでもあり、今なお「一人暮らしの青年と美人管理人のロマンス(とエロス)」というファンタジーに胸を膨らませる男たちを生み出している罪作りなお人。
一方で『めぞん一刻』という作品をよく知らない人からは、たまに「魔性の女」と言う印象(天然ゆえに無自覚に五代を振り回したり三鷹と含めて曖昧な態度を取り続けたので、あながち間違いとも言い切れないが)を受けることも。同様に「完璧な大和撫子」像の一人としても形容されるが、前述のように性格面でポンコツで嫉妬深い面もある。