概要
本社はパリ近郊のサン=トゥアンに置き、鉄道車両をはじめ、通信・信号・メンテナンスなど、鉄道に関連する総合的技術およびソリューションを提供する重電メーカー。
かつては電力インフラを担当する『アルストム・パワー』(Alstom Power、1999年設立)、送電・配電部門の 『アルストム・グリッド』(Alstom Grid、2010年に国営電力会社アレヴァより送電・配電部門を買収)、交通インフラを担当する『アルストム・トランスポール 』 (Alstom Transport)の3部門があったが、アルストム・パワーとアルストム・グリッドは2015年に売却、鉄道専業になった。
略歴
1928年、トムソン・ヒューストン社とアルザス地方のソシエテ・アルザシエンヌ・コンストリュクシオン・メカニック社が合併してアルストム(Alsthom)設立。
その後、電気機関車のCEF社(1932年)、トロリーバスのヴェトラ社(1937年)、イタリア・フィアットの鉄道部門(2000年)、スペインの風力発電製造会社エコテクニア(2007年、現:アルストム・エコテクニア)など製造会社を買収している。
一方で、ガスタービン事業(1999年)、アルストム・パワー社とアルストム・グリッド社(2015年)をゼネラル・エレクトリック社に売却にしている
主な製品
フランス国鉄(SNCF)向け:TGVの全車両を含め各種機関車・客車・電車・気動車など多数。
パリ交通公団(RATP)向け :地下鉄(メトロ)、路面電車(トラム)、近郊電車(PER)の各車両。
リヨン交通局(TCL)向け:地下鉄車両、路面電車、など。
都市交通
「コラディア」シリーズ:電車・気動車。
高速鉄道
フランス国鉄:TGV
イギリス国鉄 :ユーロスター
ベルギー国鉄・オランダ国鉄・ドイツ鉄道:PBKA型タリス
韓国高速鉄道:KTX-I
中国高速鉄道:CRH5型
機関車
「Prima」シリーズ:セミ・オーダーメイドタイプの電気機関車、ディーゼル機関車ブランド。
NJトランジット:PL42ACディーゼル機関車
路面電車・LRV
「Citadis」(シタディス)シリーズ:低床電車のブランド
アルストムリンク式台車
アルストムが開発した台車の軸箱支持方式は、アルストムリンク式と称され、日本では一部の大手私鉄(小田急電鉄、東武鉄道、旧営団、名古屋鉄道、阪急電鉄、京阪電気鉄道など)で1960年ごろの一時期採用、小田急は近年(1000形車両・20000形車両)まで継続的に採用されていた。
日本では住友金属(現:日本製鉄)が 製造ライセンスを持っていた。
小田急以外は短期間の採用で終わったのは、軌道状態が良くないと不都合が発生することが多い事や整備調整に手間がかかるなどが挙げられた。国鉄キハ91系・キハ181系・キハ65にも近似の構造が採用されたが、整備の手間がかかることや亀裂が発生するなど使いこなせず、使用条件がきついキハ181系は台車枠と支持装置を製造約20年で単純なペデスタル式へと交換して終わっている。