概要
CV:潘めぐみ
銀の刺繍の入った漆黒の着物を着ていて、両手に鉄扇を携えている。
波から現れて勇者を狙って攻撃してくる謎の人物。
第3の波の時にソウルイーターを倒した三勇者に前に現れしばらく交戦。止めのつもりで放たれた流星シリーズの一斉攻撃を耐えきって反撃で全員を戦闘不能に追いやった。
遅れて到着した尚文たちとの戦いでは、気絶しているマルティの顔面をわざと何度も踏みつける尚文に苦言を呈し、気絶した者たちを巻き込まない場所に戦場を移動し、撤退の際に名を名乗るなど武人気質のある性格を見せている。
尚文を大苦戦させたが、三勇者たちからの連戦で消耗していたため、グロウアップさせた憤怒の盾のアイアンメイデンを喰らい、撤退する。
「波はただの災害ではない」、「勝つのは我々である」など、謎めきながらも重要な情報を残していった。
実は波……つまり世界融合現象の向こう側の世界の人間であり、尚文らが召喚された世界とも、四聖勇者たちの生まれた世界(現代日本)ともさらに違う世界の住人。
異世界の伝説の武器にして眷属器である「扇」の勇者。世界融合を一時的にでも逃れるために、融合側世界を滅ぼそうと、世界の要である四聖勇者の命を狙っていた。
なぜ三勇者を戦闘不能まで追い込んでおきながらとどめを刺さなかったかというと、あまりの弱さに三勇者のことを勇者を騙る偽者だと思い込んでしまったため。
(波についてただの災害としか思っていないこちらの世界の四聖勇者の運用方法が、向こうの世界からすればありえないほどデメリットの大きい非常識な運用だったのもある)。
スピリット(魂人)というその世界独自の種族で、人間よりも幽霊や精神体に近い性質を持っている。
具体的な特性として、彼女のステータス上では、体力もSPも魔力も攻撃力も防御力も区別がなく、単純にそのエネルギー総量が多ければ多いほど万事において強力になり、少なければ少ないほど弱体化する。
その時点ではほとんど強さに差がなかった四聖の内の三勇者相手に無双したにも関わらず、尚文相手に撤退に追い込まれたのはその特性により連戦で弱体化していたためである。
撤退後はしばらく出番がなかったが、タクト戦と同時に起こった波と同時に現れ、グラスの世界が滅亡の運命しか残されていないため少しでも多くの人を助けようと尚文たちと共闘する道を選ぶ。
しかし、条件が揃っていれば尚文らが生きる世界を潰しにかかっていただろうと言っている手前、苦渋の選択だったことがうかがえる。
敵対する尚文達に手を下すことについては躊躇はないが、それでも原作web版においてタクト一派やヴィッチらの処刑に協力・参列することになった際、連中の犯してきた罪の所業があまりにも大きく醜いとはいえ、酸鼻も極まる様々な酷刑でタクトの一族郎党がショーめいて惨殺されていく様を見て胸糞の悪さを覚えるなど、感性や倫理観はなんだかんだで健常なものを備えている模様(むしろそれだけの倫理もある分、自分たちの世界のための戦いが他世界にとっては侵略や虐殺であることを自覚したうえで、その罪悪感を「避けえない生存競争だから」と噛み殺しつつ戦ってきたといえる)。
行方不明になった友人を探しており、戦いが終わった後、消息を絶った。
書籍版
書籍版ではより行動目的が明確になり、出番も大幅に増えている。
彼女の世界は勇者同士の仲違いなどが尚文たちのいる世界よりもひどい上に、数年前から四聖勇者の一人にして友人である「風山絆」が行方不明となっており(上記のweb版で探していた友人とは絆の事)、「波の先にある世界の勇者を殺せば、自分たちの世界を滅亡から延命できる」という伝承にかけたというのが彼女が尚文たちと戦った目的だった。
ソウルイーターの波では尚文の到着がweb版より早くなり、尚文が一番活躍してソウルイーターを倒したことで尚文のみが勇者と判断。最低限のスキルで手早く三勇者を戦闘不能にして尚文との戦いに挑んでいる。
そのため途中で息切れを起こしかけていたweb版と違い書籍版では終始優勢を保ち、尚文のアイアンメイデンにも余裕で耐えきる凄まじい防御力も見せ、web版とは逆に尚文のほうを撤退に追い込んでいる。
最初の戦いの後、カルミラ島で仲間であるラルクベルクとテリスと共に再び尚文と戦うが、以前よりも力をつけていた尚文たちに苦戦し、
尚文への支援として投射された「ルコル爆樽」が破裂した際の酒精ガスなどの横槍もあって決着はつかなかった。
波の亀裂を通った元の世界に戻った後に、「波の起きている間は両方の世界の強さの合算になる」という特性を利用するために尚文たち側の世界でも強くなっておこうというラルクの提案で、すぐに尚文たち側の世界に渡る。
外伝ではそこでこちらの世界の四聖の情報を聞いて、以前戦った時やカルミラ島の波でもいた三勇者が本物の可能性を考えるが、全滅すれば世界が死滅し一人欠けただけでも波が激しくなる四聖を弱いまま一箇所に投入することなどありえないと、波の正しい知識から常識的に考えたことで逆に不正解にたどり着いてしまっていたり、
尚文について最初の戦いで呪いの武器を使ってもあの程度の強さだと油断し、次は問題なく勝てると考えていたことを反省する姿や、キョウと遭遇する姿などが描かれている。
同じ世界の勇者であるキョウが、多大な犠牲と引き換えに世界を守るための守護獣である霊亀を操るという暴挙を犯したため、共通の敵として一時的に尚文と共闘することになる。
その後、キョウを追って元の世界に戻るが、キョウの罠により尚文たちと分断。尚文とはぐれたラフタリアと行動を共にしていたところ、彼女を探していた尚文たちと合流。しかも、行方不明だった絆が尚文と同行しており、念願の再会を果たす。
最終的には、絆から他世界への侵攻を咎められたことと、友人を助けてくれた恩もあり尚文と和解、協力関係になる。
絆にはどうやら友人以上の感情を抱いている模様(尚文曰く「レズっ気がある」)。また、絆と再会したことでweb版に比べて心に余裕が出てきたのか、リーシアの余りの能力の低さ(絆曰く「波で戦わせるには無謀なレベル」)を聞いて思わず土下座したり、ラルク達と時々ボケをかましたりと、お茶目な面も見せるようになっている。絆が怠惰のカースに侵され怠け者と化した際には完全に彼女のオカンとなっていた。
公式設定資料集収録のサイドストーリーの一つ『もしも無限迷宮で一緒に落とされたのがグラスだったら』では尚文に不信を買われながらも絆と再会。
脱出しようとする二人に「ここにいれば波にも召喚される事なく安全に永住できるので脱出は諦めてください」と興奮しながら告げ絆を納得させる。監禁型のヤンデレの素質もあった模様。
当然尚文から反対されるも彼がレベル1の状態になってしまったためろくに抵抗もできず一緒にサバイバルする羽目になってしまう。
槍の勇者のやり直し
槍の勇者こと愛の狩人・北村元康が飛ばされることとなったこの繰り返しの物語では長らく登場することはなかったが、ついに「真・槍直し」の「伝承のフィロリアル編」において、「成り上がり」本編でいうところの『2度目の波』のタイミングで、(元康の歴史調整努力もあり)本編の展開をなぞるように、四聖勇者たちのソウルイーター撃破後に来襲。
本編と同じように錬・樹ごと元康を吹き飛ばすが、元康だけは(元康が歴史の流れを『なるべく本編のそれをなぞるようにしている』ためではあるのだが)本気を出していないことを明確に察知しており、その事に腹を立てて元康を非難していた。
(このときの元康による彼女の戦力評価は、『本気を出せば楽勝だが手加減するには難しい』くらいとの事)
最後は本編と同じく尚文のアイアンメイデンを受けてから退却するのだが、その際に元康がこっそり爪楊枝サイズにして放ったエアストジャベリンで足を撃ち抜かれており、本編とは違う予想外の痛みに足を引きずっての撤退となった。
…なお、この戦いの際の、彼女に対する元康の呼称(地の文)は「扇を持った 豚 」であった。
能力・戦闘スタイル
扇の勇者であるため扇を使った戦闘スタイル。防御比例効果のある武術も用いる。
また、魂人の特性により、尚文らが召喚された世界では「SPおよび魔力の回復薬」以上の意味を持たない「魂癒水」という回復アイテムも、彼女が使うと体力・魔力・SPおよび全ステータスを増強させるパワーアップアイテムと化す。
この特性は弱点にもなり、書籍版で2度目に盾の勇者一行と相まみえた際、尚文の盾の一つ「ソウルイーターシールド」のカウンタースキルである「ソウルイート(攻撃してきた相手のSPを吸収する)」をぶつけられた時には、(SPも、攻撃力も防御力や体力魔力も区別なく単一の「グラスのエネルギー」として処理される彼女にとってはエネルギーそのものを吸い取られてしまうことになるため)覿面にダメージを受けていた。
書籍版では向こうの世界で勇者の仲間がいたことが判明しており、強化方法の共有を既に使っている。
狩猟具、船、鎌の強化方法を使っているため、初戦ではこちらの四聖勇者パーティーでは全員手も足も出ないほどの強さの差となり、二回目の戦いでは尚文が四聖の強化方法を共有して四倍以上に強くなっていたため、逆に正攻法では倒し切るのが難しいほど強さが追いつかれていた。
関連タグ
盾の勇者の成り上がり 盾の勇者の成り上がり登場キャラクター一覧
グラス(曖昧さ回避)