概要
CV:山谷祥生
ピアノとかをしていそうな大人しそうな印象。本人に自覚は無いが非常に優れた音楽の才能を持つ。
異能力が実在し社会的に認知され世界の日本から来ており、本人も狙った対象に投げたり撃ったものを妨害されない限り当てることが出来る「命中」の異能を持つ。
塾の帰りにトラックが突っ込んできたところが日本での最後の記憶であり、気がつくと自分の遊んでいた一人用コンシューマゲーム『ディメンションウェーブ』そっくりの異世界に召喚された。
盾の勇者の成り上がり
錬や元康同様に、自分は死んだと思ったところを、都合よく遊んでいたゲームそっくりな世界に召喚されたためゲーム感覚を持っている。
尚文とは元康のように解りやすい敵対こそしていないものの、強姦未遂の冤罪については見抜けず尚文を悪と考えている。
一方で正義感から理不尽と判断すれば尚文側を擁護する中立的な行いもする。
信頼や好感こそ持っていないものの尚文への悪感情もそれほど無かったが、ある時に樹が達成したギルドの報酬が何者かによって掠め取られた事件の犯人を尚文と考えてしまい、しばし尚文を敵視するようになってしまう(この事件の真相については後述の書籍版にて)。
波の合間にはメルロマルク内で正体を隠しながら悪人を潰して回っている。
尚文たちも訪れた圧政を行っていた街では悪徳領主を倒して暴虐によって囚われていたリーシアを救い出すなどしている。
一方でその正義は詰めが甘い部分も多く、リーシアの件ではパーフェクトな解決ができたものの、隣国では圧政を行う王と重税に苦しむ民の問題の根幹が飢饉にあることに気づかないまま革命を狙うレジスタンスの手助けだけして去ってしまったりもしている。
そのためその国では一度は税が下がるが、国の運営や戦力の減少を抑える為にすぐに必要に迫られ税を上げざる得なくなり再度飢えに苦しむ民が生まれてしまい、後に行商中に食料を求めた難民と遭遇した尚文がバイオプラントを提供して解決することになった。
また、失敗もあれど勇者として精力的に活動していたのだが、ほとんどの事件で勇者として直接人を助けるのではなく、正体を隠しながら悪を倒すための活動していたことで、多くの国民の間では何もしていないと思われてしまうなど思惑が裏目に出てしまっていた。
女王帰還後やカルミラ島でも報酬が何者かに掠め取られた件について解決していなかったり、コンシューマーゲームスタイルの効率優先で対人マナーへの疎さが表面化してしまったりと尚文とは折り合いが悪く、
ステータス面での弱さから元の世界での自分を思い出させるリーシアに仲間と便乗し濡れ衣を着せて追い出そうとしたことで、元康からリーシアの事情を聞いた尚文と対立するようになる。
霊亀に歯が立たなかったことで仲間たちに裏切られて霊亀に生贄として差し出され、逃げ延びてからは錬や元康同様に落ちぶれて、自分を称賛する声を求めてリングネーム「パーフェクト=ハイド=ジャスティス」を名乗りゼルトブルのコロシアムに参加していた(おそらく仲間に裏切られた時点でカースシリーズが発動していたと思われる)。
その後はマルティ改めヴィッチとマルド達かつての仲間に「正義と世界のため」と騙され、彼らのクーデター計画のために利用される。
呪いの短剣を生み出す触媒として利用され、さらに謎のアクセサリーによって何らかのカースシリーズ(明言されていないが状況からおそらく『傲慢』)を強制維持され囚われていた。
カースシリーズによりおかしくなった状態で尚文達に戦いを挑み、戦いの中で更にカースシリーズを発動させるが、弓を通して「投擲具」の眷属器に選定されたリーシアとの一騎打ちの末に敗れさり、呪いにより多くのものを失ったが尚文達の仲間に加わった。
仲間になった当初はカーススキルの呪いの影響で、自分の意思が持てなくなるほど決断力が低下し、更に嘘もつけなくなった。
(「なんとか言えよ」と言われ「なんとか」と言う、「何をしたい」と問われ、「何をすればいい」と逆に問い返すなど)が、リーシアの献身的な支えによって徐々に自分の意思を取り戻していく。
(考えることを放棄する呪いにかかっているため明確な追及はされていないが、スキルが象っていた獣の姿から傲慢と怠惰のカースだと推測できる。)
その後はカルミラ島での養生などもあって終盤では完全に回復しており、一連の戦いが終わった後も改めて人々のために戦うこと、さらに書籍版では酷いことをしたのに自分を助けてくれたリーシアに一生かけて恩返しすることを尚文に明かしている。
リーシアとは両思いになっているのだが、当の樹本人は「リーシアさんは自分がまた間違わないように側にいるだけ」と勘違いしておりそのことに気付いていなかった。
タクト戦では同時に発生した波の方を担当するが、その際には後方でスキルや魔法に徹していた。
この時、カルミラ島で習得した魔法「ダウン」を唱えていた。
女神戦では運良くメディアの目に留まらずに生き残り、明確な描写はないが四聖武器書によれば「命からがら助かったが、失ったものがあまりに多く素直に喜べない」と書かれている。さらに言えば、戻ってきた錬が元の世界で二年が過ぎていたため自分よりも年上になっており、最年少になったことを愚痴っていた。
エピローグではリーシアと共に正義を成す旅に出て、後に彼女との間に子供ができたらしい。
書籍版との違い
書籍版では常識的な面が増えている一方で、改心するまで彼の抱える問題点、歪みの一面も増えているなど一長一短といったところ。
結局は国側に傾いてしまうものの、初めての波の戦いの後の王とマインの尚文への理不尽な態度を追求し、返答によっては尚文が本当に犯罪を犯したかへの追求も辞さない姿勢を見せるなど、錬共々尚文を擁護する姿勢になっている。
また、リーシアを悪徳領主から助け出した一幕の場面が書き下ろし「弓の勇者の世直し」で描かれ、街の治安の悪さや住民が困り果てていること、娘を攫われて嘆いていたリーシアの両親と遭遇し事情を聞き、その上で街の状態を調査して領主の悪事が明確になった後に乗り込みリーシアを救出、領主の後任がリーシアの両親になるのを見届けて去るなど、善悪の構図が単純明快だったことも幸いして、パーフェクトな解決をしている。のちに尚文もその点については「当時の状況(半ばお尋ね者だった尚文、Lv上げ以外興味が無かった錬、よしんば助けたとしても後々ヴィッチがどう動いていたか分からない元康)を思えば樹以外では解決不可能だった」と認めている。
一方で表だった行動はしないものの結局は尚文の冤罪を見抜けず強姦未遂を行った悪だと考えていたり、悪だと判断した領主を倒す自分たちが正義であることへの傲慢な考えが滲み始めているなど、歪みが表面化しつつある面が描かれている。
ソウルイーター戦前後では報酬の横取りの件への疑いを引きずって、尚文が自分でボス戦への参加を拒んでいたとはいえ他の2人と違って遅れて参戦したことに手柄の横取りを邪推したり、尚文が一番活躍したことについても毒を吐くなど敵意が強い。
しかし尚文がソウルイーターの宿っていた魔物たちに集中攻撃を浴びそうになった時には自主的に船の砲台を攻撃して尚文を守り、
森でのメルティを巡る攻防でも敵意は強いものの尚文がアイアンメイデンで元康を殺そうとするまでは積極的な攻撃もしないなど、尚文を敵視しながらも倒すべき悪とまでは考えていなかった。
webと異なり、尚文に指摘されることなく自分で報酬横取りの件も尚文に罪をなすりつけようとする教会の陰謀によるものと推測している(正確には後述のように樹の知らないさらなる悪意が隠されていたが)。
そのことや錬との調査、女王の帰還もあり、教皇戦後は尚文が起こしたという犯罪や悪評は国と教会による陰謀で捏造されたものと納得している。
そのため、騙されて対立していた時のことへの明確な謝罪こそしてはいないが錬と共に尚文と互いの仲間を紹介しあい、錬がラフタリアとフィーロを見下すような口調になった時にはフォローし、
勇者会議中に仲間たちの間で起きた諍いには「ダメですよ。この方々は世界を救う勇者仲間なんですから!」と注意し、なおもラフタリアに蔑視と敵視を見せるマルドに「それは誤解だと証明されました。ですから仲良くしてください」と窘める場面もある。
だが、仲間内での序列の存在や、仲間が他の勇者を軽視することを半ば黙認し、その仲間に称賛されて悦に浸っているなど尚文と錬に仲間を紹介する時点で歪みが見え、2人に不快感と不審感を抱かせた。
カルミラ島の波の戦いではバリスタをウェポンコピーして戦い、一発の重さではラフタリアには劣るものの、ラフタリアが一発撃つ間に連射して次元ノ勇魚に当てるなど元康と同じく善戦していた。
ラルクたちの圧倒的な強さと、それに対抗できた尚文の語る強化方法の共有が信じられず、不審不満を拗らせ、霊亀の武器で尚文に追いつこうとするがキョウの操る霊亀に敗北。捕縛されて聖武器のエネルギーを利用されてしまった。
その後はweb版と同じくカースに蝕まれながらマルドとマルティに利用されていたが、リーシアとの一騎打ちがコロシアムにいた時に前倒しされた(web版ではリーシアが暴走しかねないからと、尚文が接触させないようにした。また書籍版では革命騒ぎが起きていない)。
呪いの内容もSPと魔力が回復しない呪いが無くなっているため、強化方法の共有に成功したこともあって十分な戦力を持っている。
そのため、直後に起きたクテンロウ関連の事件では尚文と共に向かい、あちらで石碑に書かれていた盾の強化方法を最初に共有したりもしている。
優れた音楽の才能の持ち主であることが強調されており、風山絆やグラス達の世界で起こった戦闘で弓の聖武器が封じられた際に草笛を使っての演奏魔法(歌や楽器によるこの世界独自の魔法)を披露。それにより、その世界の楽器の眷属器に認められ、楽器の勇者となる。
元仲間であり自分を利用していたマルドには怒りを露わにしており、その後の戦いで彼を捕らえた時にゼルトブル仕込みの拷問をかけ、彼がかつてギルド報酬を横取りした真犯人である事を聞き出した(本人曰く「正義の味方であっても許せる限度は超えている」「正義の定義に悩み続ける僕ですが、あなたは間違いなく正義ではない」)。
また、絆が異世界召喚時のきっかけになったVRゲーム『ディメンションウェーブ』と自身が遊んでいたコンシューマゲームが同名である事に少しだけ言及してきた。
(真)槍の勇者のやり直し
メルロマルク編までは元康が尚文の敵に回るのを嫌がったことと、元康の中での優先順位の都合で元康の代わりに一行と敵対する立場に嵌ってしまう、ある意味最も不遇で不憫な立場。
フォーブレイ編以降では錬と共に冤罪事件の陰謀を知り、尚文を庇い共に国を脱出する。
シルトヴェルト編では尚文が放った刺客(本当は三勇教の陰謀)により仲間を殺されたため、復讐も兼ねてメルロマルク軍と共にシルトヴェルトに侵攻するが、女王率いる正規のメルロマルク軍の加勢にて敗戦が確定、その結果に逆上した燻製に裏切られて死亡する。
メルロマルク編では元康がある程度最初の世界の状態に近づけようとしたことで、マルティや国に騙されて乗せられ、尚文の奴隷使いを咎め、解放するための決闘を仕掛けさせられたりと本編での元康の道化ポジションに近づく、さらに不遇な目に遭う。
正義をなそうとする本人のスタンスそのものは変わっていないのだが、元康が尚文に付き、錬が国を不審に思って距離を置かれたことで、唯一残った利用できる勇者として国や教会の身勝手な思惑によって振り回される羽目になる。
女王が帰還すれば国内のゴタゴタは全部解決すると最初の世界の基準で考えていた元康たちによって放置気味にされたこともあり、三勇教や国と折り合いの悪い善政を行っていた領主の討伐に利用されるなど知らないうちに散々悪事の片棒を担がされた上に、最初の世界と異なり国や教会がそれを大々的に弓の勇者の行いと宣伝してしまっていた。
加えて元康の強さや情報により余裕があった尚文たちが最初の世界より善行を詰んでいたことで、国と教会によるメルティ暗殺・誘拐冤罪が引き金となって盾の勇者を信じる国民の暴動・内乱までも起きてしまう。国や教会の象徴の勇者として扱われていた樹の評判も連鎖的にさらに悪化し、悪政を行い理不尽に盾の勇者を迫害する三勇教や国に組する勇者として、国民から迫害までされるようになってしまっていた。
グラスが出てくる辺りの波の直後に元康に一騎討ちを仕掛けるが圧倒的レベル差と強化の共有をしていない状態で勝てるはずもなく元康達に捕らえられるが、尚文達の話はもちろん、メルティの話でさえ洗脳と片付けて聞く耳すら持たなかった。
これは真相を語られるまでの間に国や教会のやらかしに巻き込まれた情勢と評判の悪化で精神的に大きく追い詰められていたことや、他の武器の強化方法を幾つも使っていた尚文に決闘で完敗したり、負けた樹を元康が挑発した事が起因しており、尚文と元康たちへの不信と元々のコンプレックスを限界まで拗らせてしまう事となった。
女王の帰還により自分が悪側に加担していたことを認めざる得なくなった失意のまま向かうことになったカルミラ島では、リーシアが両親の説得のために一時的に仲間から外れて実家に帰ったため、精神のケアがまともにされないまま、まともな仲間が誰もいない状態に陥る。
最初の世界でやったような戦闘の流れの演出でなんとか自尊心を保とうとするも、その欺瞞をパーティー交換で付けられたフィロリアルに見透かされ、コウ達の質問攻め並びにユキの勇者意識に関する正論で責められ続けることになる。
直後の勇者会議ではもはや誰彼構わず場の空気を読まない毒を吐き、自分達よりも強い尚文・元康をNPCから力をもらったチート呼ばわりする等して結局溝を埋めることができずそのまま対立。鳳凰の素材による強化で追いつこうと、元康たちを出し抜いて鳳凰を復活させるも強化方法の共有が出来ていないため二人がかりでも敵わず消息不明になる。
樹の個人的狭量が一因となって大量の死者が出たという結果に激怒した元康によって次の周回では錬共々抹殺された。(前周の尚文からは「世界のどこかで自分の行いに後悔しているかもしれない錬と樹が今回みたいにならないように救ってあげてほしい」と頼まれていたが、元康はそれでも納得がいかなかった)
その後元仲間達からしつこく追い立てられる等で世界中からの逃亡生活を余儀なくされ、尚文達に保護されたものの罪悪感に押しつぶされて数年で病死という悲惨な末路を辿った事が後述する真・やり直しの四聖勇者編におけるガエリオン(メス)の証言で判明した。
フォーブレイ編では前周までとは違い、元康と尚文の話を聞いているうちに自分の善行は結局力による支配だったと考え、「何が正義で何が悪か」を広い視野をもって見ていくという形で意識を改善させた。
フィロリアル以外で誰か信頼できそうな仲間がいないかという話で元康からストーカー豚ことリーシアの事を聞き出し、『運命の人』かもしれないと夜間にもかかわらず探しに行き、悪徳領主から彼女を保護して連れて戻る。
本編よりも助ける時間が遅かったせいでリーシアが心の傷を負ってしまい、元康にしつこく次があれば助けるように言うが、いつ言えばいいのかという問題が発生して折れてしまう。
また「童貞は清きものですぞ!」とデリカシー皆無の発言をした元康にキレて彼に発砲した事もある。
異能力の存在する世界の出身から尚文や錬からは興味を持たれる。
言葉にも「命中」の異能力が発動するようで、度々毒舌を吐いている。
前述の音楽関連で才能があることが判明したが、異能力として評価されない才能なんてあってもしょうがないと謙遜をしたため周り(特に錬)からイラッとされた。
また本編で樹がパーフェクト=ハイド=ジャスティスという厨二極まりないリングネームを名乗ったことをイジられた。
ゼルトブル後編でもフォーブレイ編と基本変わりないが、レベリングの際に(攻撃力確認目的での)手加減を行う戦い方を見ていたのと前述のリングネームの件を元康が話した事でクロちゃんから「手加減上等(クエッション)」「完璧隠蔽正義(クエッション)」という二つ名を付けられてツッコミを入れた。
プラド砂漠に隠された古代都市の探索では自分の遊んでいたゲーム『ディメンションウェーブ』に登場した伝説の銃を見つけて興奮する一面を見せた。
帰還編では元康がフィーロを探していく過程で経験したいくつかのループにおいて、ラフタリアの代わりに尚文の奴隷になった兎の亜人から自身の独善性を非難されたり、完全に闇堕ちした尚文のダークカースバーニングでメルロマルクの城諸共消し炭にされたり等やはり散々な目に遭う。
元康帰還後の後日談では「僕だけ死亡回数が1回分多くないですか?」と突っ込んだ。
真・やり直しの真・チュートリアル編ではタクトに殺されて弓の聖武器を奪われ、シルドフリーデン編ではシルトヴェルト編からの続きのためすでに死んでいたりと後述の伝承のフィロリアル編まで当人がまったく登場しないという不遇から始まった。
伝承のフィロリアル編では自身の正義感に興味を持ったフィモノア種のフィロリアル・フレオンとの接触で「隠れて正義を為す事に意味がない」と言うようになるほど正義に対する考え方が変化し、裏で悪事を働いていた(リーシア以外の)仲間達を除名した。
三勇教教皇との戦闘ではリーシア、フレオンと共に「フィロリアルマスクV3」として加勢し、その正義のヒーロー的な登場の仕方から尚文を唖然とさせ、以前に見た副将軍的な正義感が著しく変化したことも含め「フィロリアルに洗脳でもされたのか?」と訝しまれた。
フォーブレイ・ゼルトブル前編アフターこと四聖勇者編では錬と共に前周での元康の行動を非難、前周と同じ轍を踏まないようフレオンから避ける・遠ざかる事を意識して行動するようになった。
人物像
元の世界では異能力者は社会的に認められているものの、異能者は異能でしか評価されず、樹の場合は異能に明確な上位互換が存在するため下位能力者として周囲から蔑まれている。
そのコンプレックスから、弱きを助け、悪を挫き、正しいことを貫き通すことができる創作物の中での勧善懲悪にドハマリしていた。
そのため大人しそうな外見とは裏腹に正義が大好き。
しかしその正義感は上記の通り、元の世界での劣等感で歪んでおり、正義はひけらかすものではなく見返りを求めないものと考える一方で、自分の活躍への顕示欲及び周りから認められることへの承認欲求は人一倍強い。
リーシアを除いた仲間が樹を持ち上げて利用することしか考えていないこともあって、この世界では激しく歪みを拡大させて性質の悪い自己陶酔に陥りやすいなど、性格面で抱える問題点は四聖勇者の中で一番大きい。
正義を志し、悪を嫌うあまりに、自分が知らずに悪側に加担していたことを中々認められないといった頑固さとして顕れてしまうこともある。
結論ありきで悪(と決め付けた相手)を糾弾しようとする為、相手に理路整然と反論されれば途端にヘドモドしだしてしまう。カースシリーズに侵食された際にはそれが更に悪化し、対話を強引に打ち切ってでも自らの主張を押し通そうとする程に思考停止してしまっていた。
また、仲間を自分の引き立て役として見てしまうようになる傾向があり、戦闘で劣勢になった仲間を助けるなど「美味しいところ」を掻っ攫うために敢えて途中で手を抜いたり、嘘をつく悪癖があった(web版ではカルミラ島でのパーティー交換で同行したラフタリアからこの点を手厳しく指摘されている)。
例として被害者側の言い分しか聞かずに活動していたため一時の悪化した状況に対応した政策や活動、必要悪も見境なく潰してしまい、結果として悪化している事案も多い。
そのうえ悪化した事案は自分が直接行ったのではないから関係がないと思って放置するなど、無責任なところもある。
上記の通り、改心後は自分の非を認め反省しており、正義とは何かをリーシアと共に模索していくことになる。
「槍の勇者のやり直し」では元康が愛の狩人になってマインを拒絶した場合、彼女に利用されてしまう第二候補のため、チュートリアル編からメルロマルク編までは本編以上に性格の欠点が歪んだ形で肥大化してしまうことである意味本編以上に不遇な立ち位置だった。
フォーブレイ編からは元康が樹と錬にこの世界が知っているゲームではないと召喚してすぐに認識させる方針を取ったことで、尚文がマインによって盗難にあった場面を見せられて強い怒りを顕にしたり、奴隷狩りの起こした惨劇を見て誰よりも激しく怒るなど、承認欲求に関係ない本来の強い正義感を見せる場面や、最初の世界の樹が行ってしまったわざと手を抜く悪癖がふと魔が差しそうになってしまい悩む姿なども見せている。
能力・戦闘スタイル
四聖勇者であるため当然のごとく聖武器の弓を用いて戦う。ボウガンなどがウェポンコピー可能で、書籍版ではカルミラ島の波戦で大型のバリスタもコピーして戦っている。
実体の矢を使う必要はなく、弓を引けばエネルギー状の矢が装填される。
後に弓の聖武器のウェポンコピー範疇は射撃武器全般が該当し、銃も使えることが判明したためそちらも多用することになる。
ちなみに銃系武器の場合は引き金を引くだけでエネルギーの弾が発射され弾切れもないため連射も利きかなり使い勝手が良い。
書籍版では尚文と共にグラスたちの世界に渡り、その類まれな音楽の才能が楽器の眷属器に認められ弓と融合し、楽器の勇者としての力も振るえるようになる。
命中の異能力はスキル及び魔法にも適用され、標的が見えていれば邪魔されない限り相手に命中する。
弓の勇者にぴったりの強力な能力だが、元の世界では必中の下位互換であり、ランクもS〜Fの間でもEランクとかなり低い。中学、高校時代に上位能力者に対する劣等感を募らせ、それが原因で上述の歪んだ正義感を持つようになった。
書籍版ではグラス側の世界の魔法である演奏魔法を習得し使用してる。一度聞いた曲なら再現できる樹の音楽の才能もあって攻撃魔法から強化魔法、呪いの浄化や水上浮遊に胃腸の働きの促進など様々な効果の曲を習得し、尚文からは万能魔法使いみたいになってると思われている。
スキル・魔法
ここでは代表的なもののみを挙げる。
サンダーシュート
雷を宿した光の矢を飛ばすスキル。恐らく錬の雷鳴剣と同系統かと思われる。
発動までに時間がかかるものの、威力は高く錬同様に元康の風炎の流星槍では砕けなかった魔法障壁を破っている。
アニメ版では似たような技のサンダーアローが出ているが、元康のイナズマスピアーとライトニングスピアーの違いのように、ちょっとした誤差なのかもしれない。
アローレイン
空中から光の矢を降らせて攻撃をする遠距離の範囲攻撃スキル。
若干流星弓と被る。
イーグルピアシングショット
ワシを象ったエネルギー状の矢を飛ばすスキル。
防御力貫通効果があり、盾の勇者であり防御力が高い尚文によく使用されるが、それを見越した尚文には掴み止められたりしてしまう不遇スキル。
流星弓
流星のようなエネルギーとそれに伴う星々を飛ばして攻撃する。近・中・遠距離、一対一から複数相手にも対応できる、他の聖武器や眷属器にもある「流星シリーズ」のスキル。
流星弓の場合上空から降り注ぐように放つことができるため、四聖の流星シリーズの中では一番見た目は流星っぽい。
レヒトファナティッカー(ロウファナティック)
カースシリーズでおかしくなった樹のセルフブーストスキル。
禍々しい気を凝集させ、神々しい羽の生えた天使を模したようにも見えて所々の装飾に角や悪魔を模した意匠が散見される(尚文曰く「レンジャーモノやライダーとかの戦闘服的な)全身鎧を形成する。
「『傲慢』のみならず『虚飾』、更には八つ目の大罪と目される『正義』や『狂信』にも多重侵食されてるんじゃないか?」という尚文の推測を、あたかも裏付けるかのごとく発現した。
ファラリスブル
カースシリーズでおかしくなった樹が放ったカーススキル。
シャドウバインド、バインドアローからの連携スキルであり、拘束した相手を雄牛を象った像の腹部が開いて対象を閉じ込め、腹部に業火が巻き起こって相手を焼き殺すスキル。
錬のギロチン、尚文のアイアンメイデンに匹敵するスキルだが、変幻無双流をマスターしたリーシアに破られている。
ゲレティヒカイトアラインヘルシャフト
カースシリーズでおかしくなった樹が放ったカーススキル。
使用者から無数の光の玉が飛び散り、空から巨大な獅子を象った禍々しい気の塊が降り注ぐ。
錬のシュタルクファアファル、尚文のブルートオプファーに匹敵するスキルだが変幻無双流をマスターしたリーシアには正面から突破されている。
書籍版ではカーススキルを放つシーンが流星弓へと変更されている。そのためかSPと魔力が回復しない呪いや嘘を付けない後遺症が無くなっている。
ヘルトカイザーライヒ
カースシリーズでおかしくなった樹が放った第二のカーススキル。
弓が複数の天使や悪魔を模した羽の形状をしながら対象目掛けて放たれる。
形は好きなように変えられるのかは不明だが、樹が放った際には熊の形に定まっていた。
先述のゲレティヒカイトアラインヘルシャフトと同等のスキルだが、変幻無双流をマスターし、更に投擲具の眷属器に選定されたリーシアには正面から切り刻まれて突破されている。
書籍版でも同じ場面で熊の形のエネルギーをリーシアに放っているが、何故かカーススキルの詠唱やスキル名がカットされている。
そのためカーススキルの呪いや代償について不明瞭になっており、意志薄弱の呪いなどは樹がコロシアムで戦闘してピンチになった時に使用していた呪いや代償がカースシリーズから解き放たれた際に一気に降り掛かったのではないかと推測されているに留まっている。
フルバスター
本編終盤ややり直しで習得する強力な攻撃スキル。
元康のブリューナクのような太いビームを放つ高威力のスキル。
使う前に銃器に武器を変えている描写があるため、銃専用スキルの可能性もある。
ダウン
樹の専用支援魔法。尚文のオーラ、錬のマジックエンチャント、元康のアブソーブに相当する。
効果は対象の全能力を低下させるという、尚文のオーラの対とも言える魔法。
最大強化したダウンを尚文のオーラと併用して使うとステータス差の暴力が凄まじいことになり、尚文の貧弱な攻撃力でも敵を殴り倒せるレベルになる。
もしもタクト戦で使っていたらどうなっていたのであろうか。
エレメントハーモニー
演奏や歌で発動させる異世界の演奏魔法。魔法の玉が岩に変化して相手を攻撃する。
本来はしっかりとした演奏で発動させる高位魔法だが、樹の場合は何の変哲もない薬草の草笛で発動できる。
ミュージックストリーム
異世界の眷属器である楽器のスキル。矢のようなものを幾重にも連射して攻撃する。
本来攻撃は大雑把に飛んでくスキルだが、樹の場合は命中の異能により全ての攻撃を狙った箇所に撃てる。
関連タグ
盾の勇者の成り上がり 盾の勇者の成り上がり登場キャラクター一覧
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