概要
ハクコ種の亜人の少女。フォウルの妹。
祖父は亜人の国であるシルトヴェルト国の国王「タイラン=ガ=フェオン」だったが、両親の死や後述の彼女自身の病気などで兄と共に奴隷にまで落ちぶれていた。
尚文が戦力増強のため新たに奴隷を購入しに来た際に商品として出会う。
先天性の病を患っており、出会った時は身体中に火傷の様な跡があり、盲目で、歩くことも出来ないなど、かなり酷い状態であった。
最高クラスの治療薬であるイグドラシル薬剤の投薬により回復し、目こそ見えないままだが一人で歩けるまでに快復する。
この恩によって尚文を心底慕っており、歳不相応なセクシーな下着で攻めたり、ことあるごとに尚文宅に赴き添い寝をしようとするなど彼へのアプローチを果敢に行うが、女性不信の尚文にはむしろ疎ましく思われてしまっていた。他の亜人と違い、なぜかLvが上がっても容姿が幼いままなのでなおさらである。
あまりに鬱陶しいため時折罰則を喰らうが、尚文に出会う前は文字通り死にそうになっていたため苦痛に慣れており、奴隷紋の痛みを受けても平然としている。タフすぎるぞ…
当初は物静かな性格と思われていたのだが、上記の通り実はかなりアグレッシブであり、フォウルを軽んじたり、恋のライバルであるラフタリアとはよくケンカしている。
また、「ラフタリアさんが尚文様の『剣』なら、私は尚文様を守れる『盾』になりたい」と願っている。
実は武術の才能を秘めており元康とフィーロのレース中に他のメンバーは振り回されていたが、ひとりだけ馬車の床にぴったり張り付いていたり、重力魔法で一同が動けない中を平然と戦場を闊歩したりと所々で片鱗を見せている。
目が見えない代わりに、魔力の流れ(気とも呼ばれる)などを察知できる第六感を備え、的確に急所を突いてフォウルやフィーロを悶絶させることができる。
そのため、普段の言動から鬱陶しがられているものの、有事の際にはフォウル以上に頼りにされていて、尚文と組手をして気の研究をしたり、失伝されていた変幻無双流の防御技を一から作り直すなどもする。
上記の武術の才能と魔力の流れを察知できることから変幻無双流を口頭説明だけで習得し、苦心していたリーシアたちをひどく落胆させた。
理解力も高いようで、人が1経験するところを10や20も経験、理解してあっという間に四聖勇者並みの強さになる。
純粋なハクコ種ではなく、母は人間(両親ともに故人)。母親の詳細は不明だが、オルトクレイの妹ルシアであることが示唆されている。
その容姿は母と瓜二つらしく、クズと改名させられて以降も反省するそぶりを見せなかったオルトクレイが変わるきっかけとなった。
書籍版で追加されたシルトヴェルトのエピソードで、尚文を傀儡にしようと画策した獣人ジャラリス側の実力者であるミノタウロスと決闘し、その天賦の才を存分に発揮し勝利。
それまで彼女とフォウルは混血ということで「汚れたハクコ」などと呼ばれて見下されていたが、決闘での勝利とシルトヴェルト首脳陣に活を入れてジャラリス以外の目を覚まさせた事で「タイラン=ガ=フェオンの再来」「真なるシルトヴェルトの民」と称賛された。
なお、スピンオフ漫画『盾の勇者のおしながき』では(盲目であるがゆえ致し方ない面もあるが)料理下手であることが判明しており、見た目のヤバさもさることながらそれを食べたフォウルが多数の状態異常に陥り倒れるほど。
盾になった少女
尚文やフォウルたちと共に鳳凰戦に参加。鳳凰は手順を踏んで倒さないと自爆し復活することが判明していたためそれに気を付けて有利に戦う尚文たちだったが、何者かの介入により鳳凰が自爆してしまう。
死を覚悟しながら村の奴隷たちを庇おうとする尚文だが、その前に動いたのはアトラだった。
尚文たちを庇い、自爆の炎をそらしたが、下半身を焼失する致命傷を負う。
必死に治療しようとする尚文だったが、もはや手の施しようがなかった。
最期を悟ったアトラは、フォウルには村の奴隷たちを自分と同等に扱うこと、尚文にはラフタリアをはじめとした女性陣の恋心に気付くように、そして、
「このまま大地に還りたくない。肉体を失っても尚文様の側にいたい」
と遺言を残し尚文の唇を奪い、こと切れた……。
尚文は悲しみに打ちひしがれながらも、アトラの亡骸を盾に吸収させる。それが、アトラの遺言の意味だった。
アトラを吸収した盾は、カースシリーズを浄化し、「慈悲の盾」に姿を変えた。
『盾の勇者の盾』になることを望んだ少女は、愛する人を守るため命を燃やし尽くし、死後も彼の盾として共に歩むのだった……。
と、思いきや……?
しかし、ここで悲しい美談で終わらないのがアトラである。
タクト編で重傷を負い、生死の境をさまよっていた尚文と武器の精神世界の中で何事もなかったかのように盾の精霊と同化した上で再登場する。
この時、聖武器の秘密などを尚文に教えている。
さらに、最終決戦の直前で完全に精霊と同化し、霊体のような姿で自由に出入りできるようにまでなる。
後日談では半ば尚文の守護霊(背後霊?)のような立場に落ち着いており、生前と同様にフォウルをからかったり、ラフタリアとケンカしたりして過ごしている。
またキール主演のクズの半生を描いた演劇ではクズの妹・ルシアを演じた(ちなみに同演劇ではフォウルが脇役、メルティが若き日のミレリア役でそれぞれ出演した)。
ただしこのアトラは最終決戦後に様々な可能性に分かれた尚文(とラフタリア)のうち、「異世界に残った尚文」のアトラ。
尚文の数だけアトラも存在しており、「現代日本に戻った尚文」のアトラは、人間として生き返っている。
しかも、精霊としての権限をフルに使って自分の因果律を操作した結果、尚文の幼馴染で、大金持ちのお嬢様で、幼児体型の合法ロリと属性をつけまくっており、ラフタリアとの結婚式に乱入して尚文を取り合ったりしている(式の参列者一同「リア充爆発しろ」)。
一度死んだくらいでアトラは止まることはなかったのだった。
書籍版ではまだ実体化できるほどにはなっていないが、盾に付属している宝石を点滅させることで多少の意思疎通はでき、絆の異世界で尚文と再会したラフタリアを宝石点滅で煽ってきたり、新しく習得した盾のスキルを兄に向かって勝手に試し打ちしたりと相変わらずの自由奔放ぶりである。
16巻以降の店舗特典SSでは同じく盾の精霊となったオスト・ホウライ並びに寄生ドラゴンこと魔竜と共に尚文の今の様子や過去を実況している。
魔竜からはガエリオンを通して復活した際の戦闘で勇者のピンチ時に善戦し自分を討ち果たしたきっかけを作った事から「盲目の虎」として一定の敬意を表されているが、アトラ当人は精霊世界の序列の面で自分よりも先に盾に寄生してきた事から敵意を持っており、実況の最後は大概乱闘騒ぎに発展している。
(真)槍の勇者のやり直し
元康からは虎娘と呼ばれており、お義父さんと関わりが深かった事に加えて鳳凰戦での一件で恩人として一目置かれている。
クズを無力化する手段として見做されており、その方面でフォウル共々関わりを持つ事になる。
登場はフォーブレイ編からと遅く、しかも登場する頃にはクズがすでに死亡済みだったため次周のゼルトブル編で漸く対面する。
ヒロインの立ち位置にいた本編と比べて脇役化しており、元康から聞いた話の中で自分が目立っていない事や尚文との関わりが薄い事を愚痴ってリテイクを要求していた。
真・やり直しではシルドフリーデン編から登場。
このループでのアトラの他に盾の精霊になったアトラも元康の夢の中に現れ、「次にループする時はラフタリアよりも自分を優遇してほしい」と直々にお願いしてくる。
元康もこれを快く受けており、時間遡行選択時に「虎娘を優遇する」の選択肢が追加されたが、心に傷を負う出来事を経験して忘れていたのか次の選択時には同選択肢が3つに増えていた(シルドフリーデン編での選択の際には1つだったが、四聖勇者編で明かされたメルロマルク編アフターへの遡行時でもう一つ、そこからの伝承のフィロリアル編への遡行時にさらにもう一つと徐々に追加されていった可能性が示唆されている)。
伝承のフィロリアル編終了時においては更に「虎娘をお義父さんに斡旋する」の選択項目を2つ増やし、「いい加減に諦めろ」とメスリオンにどやされていた。
…もうここまで来ると流石に言ってしまっていいだろうか…「お前のような死人がいるか」と。
関連タグ
盾の勇者の成り上がり 盾の勇者の成り上がり登場キャラクター一覧
アトラ(曖昧さ回避)
盲目(色々な意味で)