概要
新たな死刑の手法を欲しがっていたシチリア島アグリジェントの僭主・ファラリスに、アテナの真鍮鋳物師であったペリロスが献上したもの。
真鍮製の雄牛の像で中が空洞になっており、人間が一人入るスペースがある他、雄牛の口にはトロンボーンのような機能を持った管があり内部の空洞と繋がっている。
背中の扉から受刑者を閉じ込めて下から火で加熱すると内部の温度は450度まで上がり、火事と違い煙が出ないため死ぬ最後まで意識を失わず、焼けた空気から逃れるため外と繋ぐ管から必死に呼吸をしようとして牛が鳴くような音を鳴らすのだという(ちなみに普通の火あぶりでは、炎によるショックで死ぬより前に煙で気絶し窒息死する)。
いうなれば人間を死ぬまで意識を持たせたままオーブンの中で焼き、苦悶の絶叫も牛の鳴き声に変えるという非常に悪趣味な刑具である。
最初の犠牲者は製作者のペリロス自身で、この刑具の実験台にされた。ファラリス自身もまた、反乱によって僭主を追われた際にこの雄牛の中で焼き殺され、以後この雄牛で処刑されるものはいなくなったと伝わっている。
ただし、この発明に関するエピソードはあくまで伝承であり、史実とは言えない。
実際に使用されたことを記す資料は極めて少ない上にいずれも伝聞などで信憑性に問題があるとされており、公的な記録には登場しない。
そのため、果たして本当にこんな処刑方法が歴史上実在したかどうかは疑問視する声も大きい。
実際、ディスカバリーチャンネルが当時の金属加工技術と火力を再現し実験したところ、人を殺せるほどの火力は出なかったという。
関連項目
拷問 処刑 火あぶり 拷問器具 鬼畜 残虐 残酷 サディスト 異常性癖
- 安珍清姫
- 日本の伝承。美貌の青年僧が美女に惚れられてしまい、嘘をついて美女から逃げようとした結果、嫉妬に狂った美女が火を吹く蛇に変化し、難を逃れるためにこもった梵鐘ごと焼かれてしまう。ある意味、日本版ファラリスの雄牛。