『機動戦士ガンダム00P』の主人公。本名はシャル・ヴィルゴ。
「ガンダムプルトーネ」のパイロットを務める第2世代ガンダムマイスターで、『00P』以降の外伝にも出演しており、並行して展開された『00F』を始め5作品6編に登場する。
CV:00P版/逢田梨香子、00F版/甲斐田裕子(Gジェネクロスレイズより)
ガンダム00P
『00P』初期の年齢は16歳。ガンダムマイスターに選ばれた年齢としてはのちの刹那・F・セイエイと並び最年少。元々はユニオン出身のごく普通の学生であったが、ワークローダー操縦技能競技会準優勝の実力をヴェーダに認められ、指示を受けたグラーベ・ヴィオレントによってガンダムプルトーネのガンダムマイスターに選ばれた。
最初は癖のあるメンバーに戸惑うが、「恋に恋する少女」と時折称されるように所謂恋愛脳の持ち主で話題をなんでも恋愛に結びつけたり(学友からはラブスパイラルと名付けられている)、喧嘩腰だが実際は相手が好きなヘタレという意味の造語『ガンヘタ』を発したりするなど、彼女もなかなか癖が強い。が、本人にその自覚はあまりない。
また惚れっぽい面もあり、組織のスカウトを受け入れてしまったのも美形なグラーベに釣られてしまったところもあった。
ガンダムアストレアのマイスター、ルイード・レゾナンス に対しては当初は「デリカシーがない」と忌避しているところもあったがやがて想いを寄せるようになっていた。しかし彼はガンダムアブルホールのマイスターであるマレーネ・ブラディと結ばれたため彼女の恋が実ることはなかった。最初は良き友人である2人が結ばれたことを喜びたいと思いつつ失恋で落ち込んでしまってもいたが、2人のささやかな結婚式を取り仕切り結ばれた2人をシャルは心からの笑顔で祝福した。
ルイード、マレーネ、ハナヨなど主要メンバーとは良好な関係を築き、後にルイードとマレーネの間に出来た子供の名付け親にもなっている。
プルトーネの悲劇(惨劇)
ソレスタルビーイング内部で起こった「事故」の通称。
テロリスト襲撃阻止任務において、ガンダムプルトーネのGNコンデンサーを故意に暴走・爆発させることで敵MSを機能停止させるという極めて危険な任務に出撃、テロリストの活動阻止には成功したが、自身も機体トラブルに見舞われ脱出できなくなってしまう。仲間の尽力で脱出は出来たものの、それは救出にあたったルイードとマレーネの命と引き換えであった。
GN粒子の毒性、イノベイドの暗躍
彼女はMS操縦に支障をきたすほどの大怪我を負い、二度と消えない傷跡を顔に負った。髪の色素は抜け落ち、茶髪から銀髪へと変化。圧縮された高濃度のGN粒子を浴びたせいで細胞のテロメアが崩壊してしまい、彼女はハナヨが用意するテロメア再生用のナノマシンを含んだ薬がなければ生きていけない身体になってしまった。
この時点でGN粒子が人体に与える影響を軽視していたわけではない。プルトーネが作戦の中核に選出されたのも、それを考慮してのことである。
しかしGN粒子の高濃度圧縮で発する強い毒性の表出は、彼女の犠牲とモレノの研究により判明したのだった。以降、対策が取られることでオリジナルのGNドライヴに関しては毒性の心配がなくなった。
なお「プルトーネの悲劇」は不慮の事故ではなく、リボンズが進めていたマイスターの任命計画に反発したビサイド・ペインによって仕組まれたもので、ガンダムの整備を担当しているイアンの仕事は完璧であり、ヴェーダが承認を出した作戦の失敗などあり得なかった。
こうして彼女にとって幸せだった時代は終りを迎え、『00P』の物語はセカンドシーズンに突入。物語の主人公はグラーベ・ヴィオレントへと移行した。
ちなみにルイードとマレーネの娘・フェルトにはこの事故の真相は知らされていない。
00Pセカンドシーズン
『00P』2ndシーズンにおいて、26歳となった彼女は傷の後遺症からガンダムマイスターとしての登録を抹消され、エージェントとして活動している。
心身ともに疲弊しきっており、かつての快活さは既に無く、暗い性格へと変わり果ててしまった。この頃には眼鏡を掛け、顔の傷跡を前髪で隠している。顔と身体の傷跡のせいで異性から恋愛対象として見られることはもうないだろうと諦めをつけている様子。
一方で元来の気質も時折見せており、軟派なヒクサー・フェルミに苦手意識を持ちつつもちょっとだけ惹かれてしまったこともある。
女誑しなエイミー・ジンバリストを唆すことを依頼された時には彼の人間性から断固拒否し、結果彼女に代わりグラーベが任務で女装することになった際にはノリノリで女装に協力し、女装が出来上がった後には写真を撮っていたりもした。
あくまでも戦闘後の証拠隠滅などガンダムマイスターのサポートが主な任務だが、時々ヴェーダからの指示で独自に行動することもあった。
ガンダム00F~00I 2314
『00F』では31歳。『戦争根絶』というルイードたちの想いを受け継ぎ実現すべく、ソレスタルビーイングのサポート組織『フェレシュテ』を設立しその管理者となる。以前よりも暗い性格はなくなり、指導者としての器に足る凛とした振る舞いが見られるようになった。
フォン・スパークをマイスターとして招集し、ソレスタルビーイングを後方からサポートしていく。しかし、ヴェーダの予測になかったトリニティの出現に動揺するなど、突発的な事態は苦手な一面も。
そしてトリニティはフェレシュテを襲撃の対象とし、保管していた0ガンダムを太陽炉とともに引き渡すよう要求。この事件でフォンは重傷を負ってしまい、彼が回復するまでの間に国連軍の結成やトリニティの虐殺が行われ、シャルはそこで初めてソレスタルビーイング内部に裏切り者がいることを知った。しかし時すでに遅く、ソレスタルビーイングは崩壊、フェレシュテはメンバーとの接触に備え、ガンダムの改良と情報収集に徹することとなる。
シャルとの理念のすれ違いからフォンがフェレシュテを離反すると、シャルはフォンを反逆者と認定、ヒクサー・フェルミをフェレシュテに勧誘し彼の追跡に差し向ける。しかし、心の底では変わらずフォンを仲間として想い続けており、全く違う二つの感情に挟まれて苦悩することもあった。
フォンが姿を消し、アロウズが設立された後の西暦2311年における『00I』では、フェレシュテがソレスタルビーイングと合流する形で解散した後に後方支援の指揮を任される。指揮を執りつつも、行方知れずとなったフォンをいつも気にかけていた。
その後、ヴェーダの指示で地球で活動していた仲間と合流するため地球に赴いた際にフォンと再会、すでに反逆者扱いをすることもなく『ソレスタルビーイングよりもっと始末が悪いモノ』と言って黙認しつつ、フォンにガンダム用の新装備とハナヨ用の新型端末を渡している。
西暦2314年、『来たるべき対話』に備えて新型ガンダム開発とGNドライヴ製造に余念がないソレスタルビーイングを実働的な面でサポートするため、シャルはソレスタルビーイングの別働隊としてフェレシュテを再結成。第4世代ガンダムの修理機体『ケルディムガンダム サーガ』『アリオスガンダム アスカロン』を使って、ごく短時間かつ小規模での隠密活動を行っていくとともに、ふたたびフェレシュテの指揮を執ることとなる。
おまけ漫画では恋愛脳を拡大解釈されたかは不明だが、何故かくさったオタクと化してしまっていた。