概要
1940年代にNBCラジオで放送された、テッド・シャードマン原作の"Tales of Latitude Zero"(緯度0の物語)を原案とする地底世界を舞台にした善の科学者と悪の科学者との戦いとそれに巻き込まれる事になった地上人を描いた日米合同による特撮映画(配給は東宝)。
また円谷英二特技監督と本多猪四郎監督のコンビによる最後の特撮映画でもある。
ストーリー
海底火山の噴火によって浮上できなくなった潜水調査員は、謎の潜水艦アルファ号に救助され、海底2万メートルの地底世界に存在する地上から消えたと思われていた高名な科学者達によって作り出された人工太陽をはじめとする高度な技術文明を誇る緯度0基地に迎えられた。だが平和とも思えるその世界でも善と悪の戦いが繰り広げていたのであった・・・
登場メカ
- アルファ号
善の科学者で緯度0基地のリーダーであるマッケンジーが保有する万能潜水艦で当初は単なる潜水艦であったが150年以上にわたるマリク率いる黒鮫号との戦闘のたびに装備が追加されており、劇中では飛行能力も追加して海空を行く万能潜水艦(ドリルはないが)に変化し、自動化もかなり進んでいる。
- 全長:100メートル
- 重量:8,000トン
- 速度:80ノット(水中)/マッハ1(空中)
- 装備:
- ミサイル発射管
- レーザー砲
- 電子バリアー展開装置
- 急速浮上/潜行ノズル
- 黒鮫号
悪の科学者マリクが保有する150年以上にわたるマッケンジーとの戦いに用いられる潜水艦で水中速度はアルファ号よりも速いが、電子バリアーを装備しないため、緯度0の電子バリヤーを突破できないという欠点を持つ(アルファ号は自らの電子バリヤーで突破できる)。
- 全長:114メートル
- 重量:9,000トン
- 速度:アルファ号以上
- 装備:
- 追跡ミサイル発射管×2
- 電子砲(通常の大砲にもレーザー砲にもなる複合砲)×2
登場怪獣
- グリホン(上記画像の上)
- コウモリ人間(上記画像の右下)
- 身長:2メートル
- 翼長:2.5メートル
- 体重:200キログラム
- マリクがコウモリと人間を合体させて造り上げた怪人のような合成怪獣。
余談
当初は「世界征服をたくらむ秘密結社を空飛ぶメカが迎え撃つ」という内容のSFメカニック映画『空飛ぶ戦艦』が企画検討されたがこの映画に替り、『空飛ぶ戦艦』の内容は円谷プロの『マイティジャック』で実現する事になる。
海外では『アトラゴン』(海底軍艦の海外タイトル)として『アトラゴンⅡ』のタイトルで公開された。
本作の合作企画を持ち込んだドン=シャーププロは東宝の手腕を評価して合作を持ち込んだわけではなく、安く済ませるスタッフを探していただけにすぎなかったようで、東宝のスタッフは「自分達をバカにしていた」という反感意識を持っていた。撮影途中でドン=シャーププロの資金繰りが悪くなり倒産、東宝がほとんど負担することになったが興行収入は今ひとつだったため、「日米合作映画の製作はもうやらん!」ということになった。製作費の大半はジョゼフ・コットンやシーザー・ロメロらアメリカ側のキャストのギャラだったという。
怪獣黙示録ではグリホンが2021年6月にエジプトのカイロを群れで襲撃して陥落させた怪獣として登場している。後に繁殖もしたらしい。「羽が生えたライオンが中東または北アフリカを襲う」というのは、『ゴジラ・ザ・シリーズ』のノルザグに似ている。
「東宝チャンピオンまつり」で『海底大戦争 緯度0大作戦』(かいていだいせんそう いどゼロだいさくせん)と改題してリバイバル公開された。上映時間は20分短縮されて69分となっている。