概要
1998年に設置された、ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド(HOD)の第三作目。
正式タイトルは『The House of the Dead III』で、本作のみ型番がローマ数字になっている。これは敵であるゾンビ(ミュータント)の爪痕を表すタイトルデザインの都合である。
ゾンビ達の侵攻によって荒廃した世界を舞台に、巨大な研究所に蠢く新たなる敵達を撃ち抜くガンシューティング。
世界が崩壊した過程については次作である『4』で明かされる。この為、作中の正しい時系列は『初代』→『2』→『4』→『Ⅲ』となる。
世紀末のごとく荒れ果て、至る所にゾンビが徘徊する世界においては拳銃程度の武器では心もとないためか、主人公たちのメインウェポンは従来の拳銃からショットガンに変更されており、散弾を発射するため前作までと比べて攻撃範囲がやや広くなっている。
本作では『世代』がテーマの一つに置かれており、初代のヒーローである『ローガン』が活躍するオープニングステージと、彼の娘『リサ』(+G)が戦う本編で構成されている。
またシリーズの全ての元凶である『DR.キュリアン』の過去が紡がれる他、HODでは珍しい『人間のゾンビ化』が前面に押し出され、元人間ゾンビも強敵として立ちはだかる。
そしてボス達はキュリアン制作ミュータントの生き残りで構成される。あらゆる意味でシリーズの『過去』を清算する作品でもある。
システムとしては、既存の作品で不評だった『人質救出』が廃止され、これに伴いルート分岐が選択肢を撃つ形式に代わった。
人質の名残りとして、ゾンビに不意を突かれた相棒を助けるイベントはあるものの、ボーナス要素として登場するのでデメリットも誤射判定もなくなった。
その一方で、かつては弱点に一発でも入れれば攻撃を阻止できたボス達が力を付け、弱点を何度も撃ってキャンセルゲージを消さなければ怯まないガードの固い存在となった。
また、前述の通り本作における主人公たちのメインウェポンを反映してか、アーケード版の銃型コントローラー(ガンコン)はポンプアクション式ショットガンを模した形状となっており、リロードも実銃のようにポンプ部分を前後させることで行う方式となっている。
従来のチープな拳銃型のガンコンに比べ、実銃に近いサイズや形状を再現したショットガン型ガンコンは非常にカッコイイと話題になったが、いざ実際にプレイしてみると両手で持たなければ到底保持しきれないゴツさや結構な重さなど、そのリアルさが却って仇となり、さらには前述通りのボス達のガードの固さと手強さ(「6発全弾を正確かつ素早く命中させないとダメージ確定」などという困ったボスもいる)や、連射力が低いと押し切られてしまう場面の多さなど、ガンコンのスペックとゲーム内容とがいささか噛み合っていないことも相まって「途中で腕が痛くなってプレイ続行不可になった」とか「このゲームでプレイヤーに求められるのは、正確な射撃能力ではなく体力と腕力」などといった声が続出する結果となってしまった。
あらすじ
前作から3年後の2003年。
世界各国でイレギュラーな事態が多発し、その後世界は崩壊。秩序が意味を成さなくなった荒れ地と化してしまう。
そして、世界崩壊から16年後の2019年。
世界が崩壊し、ゾンビに埋め尽くされた地と化しても、人類は生き続けていた。
国際諜報機関『AMS』元隊員であるトーマス・ローガンは、世界崩壊の真相が廃墟と化した研究所『EFI』にあると突き止め私設部隊と共に向かうが、その後連絡が突如途絶えてしまう。
それから2週間後、トーマス・ローガンの娘である『リサ・ローガン』とローガンの元相棒『G』はオートマティックショットガンを武器にEFI研究所に向かった。彼を探し、世界に何が起きたかを知るために…。
登場キャラクター
人間
オープニングステージのプレイヤーキャラであり、『初代』で世界を救ったヒーロー。
部隊を結成して研究所に向かうものの、1面ボス『Death』に襲われ生死不明となる。
本編の主人公。トーマス・ローガンの娘。
シリーズ初の女性主人公にして最年少のプレイヤーキャラでもある。
リサの相棒。2P側がゲームに参加した際、そちらのプレイヤーキャラとなる。
ローガンの元相棒として共に年を重ねた為か、性格に人間臭さが追加されている。
『初代』の黒幕にして元凶である、今は亡き科学者。
本作では彼が狂気に侵される過程が語られていき、マッドサイエンティストの裏の顔を垣間見れる。
Dr.キュリアンの息子。難病に侵されていたが父の研究に命を救われた。
父の変貌には心を痛めており、ラスボスを倒す勇者を待っている。
Chapter 0の2P側のキャラクター。ローガンの部下で、彼の部隊の一員。
Chapter 0の最終局面で死亡した。
エンディングの一つに登場する。
理由は不明だが、片足を引きずっている。
ゾンビ化する遺伝子の入った缶を拾っている。
ステージボス
ステージ1及び『管理情報システム部東棟と管理情報システム部西棟』のボス。
警備員のような恰好をしているが、巨人のごとき規格外のサイズを誇る。
本編内では初の元人間のゾンビであり、シリーズ屈指のしつこさを誇る。
『EFIゲノム研究室とD.B.R.研究室』のボス。
Dr.キュリアンが遊び心で作った『怠けないナマケモノ』。
「素早い」「手強い」「面倒臭い」と三拍子揃った難敵で、鋭い爪を用いた飛びかかり攻撃は「一発でも外すとほぼダメージ確定」という卑怯くさい性能。
『L3バイオ実験室とL2のバイオプラント』のボス。
触手を操る巨大植物で、養分にした人間の顔を纏っている。
ボスを倒した後もしばらくステージが進行する(=ザコ敵が出現する)ため、「ボスを倒す=ステージクリア」だと思い込んで画面から目を離した隙にザコゾンビに齧られたりしないように。
最終ステージボス。
キュリアンの人格を受け継ぐ存在で、前作ラスボス『エンペラー』の完成体。
アインラッドのような巨大なリング状の物体を駆り、電撃を放ったりリングごと体当たりを仕掛けてきたりと多彩な攻撃を繰り出してくる。
主な雑魚ゾンビ
マーク
量産型の雑魚ゾンビ。首無し状態でも攻撃する事がある。
何故か日本人っぽい名のミイラ型ゾンビ。下半身を失くしても諦めない。
エビタン
ヘドロ状に体が溶けたゾンビ。子供のコエビタン(公式名)も出てくる。
ジュリー
元人間のゾンビ。施設内の作業員が変質した。
クナイを装備した忍者型ゾンビ。攻撃も俊敏さを生かした暗殺風。「ヒョッ」または「シャー、シャー」と言った特徴的な鳴き声をしている。
映画評論家の弟がいたり、ファッションチェックをしたりはしない。
ヒュウ
ジャンプ力に特化したゾンビ。
動きはピーコに似ているが、こちらは折れた傘や割れた蛍光灯といった即席の武器を使う。
アステカ
鉄骨を引きずる怪力ゾンビ。鉄骨のせいか動きはやや鈍い。
素手でもラリアットをぶち込んで来る武闘派。
チャールズ
ゾンビ二体分の体格を誇る巨漢。どてっ腹に風穴が開いても平気。
フレデリック
施設の研究員が変貌したゾンビの総称。
某闇医者よろしくメスを投げつけてプレイヤーをオペしに来る。
アシッド
名前通りの硫酸体液ゾンビ。ただし攻撃は爪の方が得意。
アステカII
アステカの上位互換。パソコンのモニター投げという荒業を覚えた。
レイモンド
電気ノコギリを構えたゾンビ。火花萌えという謎の設定を持つ。
モーキン
急降下を得意とするコンドル型ゾンビ。シンプルイズベストな名である。
ヘビ型ゾンビ。大量発生して交互に飛びかかって来る。
何気にシリーズ皆勤賞。
ローガン隊隊員
戦死後にゾンビ化した、ローガンが率いていた部隊の隊員のなれの果て。
ゾンビと化しても高い戦闘能力は健在で、素早く接近してナイフや体術を繰り出してくるなど、雑魚ゾンビの中でもかなりの強敵。
ユキオ
最終ステージで立ちはだかる『OPで殺された男』。
動作はローガン隊隊員に酷似しているが、スピードが非常に早く、ダウンしても幾度となく復活するなど中ボスクラスの強さを誇る。
余談
本作は他の作品に比べると比較的バグの多い作品であり、プレイヤー次第で敵が急に不自然な挙動をとることが報告されている。中にはまだ確認されていないものも存在するかもしれないので、バグ発見目的でプレイしても面白いだろう。