ひみつ道具としての解説
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。及び同作品のエピソードの一つ。TC15巻収録。
このスイッチを押すと、気に入らない人間及び生物を消し去ることが出来る。消し去られた人間は物理的に消滅する訳では無く、最初からこの世に存在していなかったことになる。その為、消し去られた人物のことは誰も覚えていない(例外として、どくさいスイッチの持ち主及び使用者は消し去られた人物のことを覚えている)。
ただし作中ではのび太が手違いで「皆消えてしまえ!」と言いながらこの道具を使用したにも関わらず、ドラえもんだけは消えていなかった。
これはドラえもんのようなロボットには効果が無いということなのか、それとも持ち主は存在消去の対象外ということなのか、(身も蓋もない言い方だが)単なるご都合主義なのかは不明。
未来の独裁者が開発させた道具だが、実際には独裁者を懲らしめる為の道具で、消し去ってしまった人間や生物はいつでも元に戻すことが可能。
作中(公式設定)で明言されている訳ではないが、憎い人間を消し去った場合は他の誰かがその人間の役割を担うという現象が起きている(ジャイアンを消し去れば、代わりにスネ夫がのび太を追いかけ回す等)。
エピソードとしての解説
野球の試合で失敗してしまったのび太はジャイアンに殴られてしまう。「ジャイアンさえいなければ…」と言いながら泣き出すのび太を見たドラえもんは「この道具で邪魔者は消してしまえ。住み心地の良い世界にしようじゃないか」と言いながら「どくさいスイッチ」を取り出す。
道具を受け取ったものの、のび太は「いくら憎いとは言っても、消しちゃうのは可哀そうだよ」と思い、どくさいスイッチを使用することに躊躇する。しかしジャイアンと遭遇してしまい、「さっきの続きだ!」と言いながら殴りかかってきた為、のび太は自分の身を守る為にどくさいスイッチを使用し、ジャイアンを消し去ってしまう。
その後、のび太は「大変なことをしてしまった」と後悔する。そこにしずかがやって来て、彼女から何があったかを尋ねられたのび太は「ジャイアンを消してしまった」と言うのだが、彼女は「ジャイアン?誰のこと?」と言う。
のび太は慌ててジャイアンのことを説明するが、しずかはまるでジャイアンのことを知らないという。その後、先生が歩いて来てのび太はジャイアンのことを話すも、やはり彼も「そんな子はクラスにいないし、今までいたことが無い」と言う。
そこでのび太は剛田家へ行き、ジャイアンの母ちゃんにも質問するが、やはり「そんな子はうちにいない」と言われてしまう。
すると今度はスネ夫がやって来て、先程までのジャイアンのようにのび太を追いかけ回す。そして、のび太はまた自分の身を守る為にどくさいスイッチを使用し、スネ夫を消し去ってしまう。
これ以上、スイッチを使うのはまずいと考えたのび太は大慌てで自宅へ戻り、ドラえもんに相談する。しかし、ドラえもんは「消えた2人を元に戻して欲しい?無理だよ。これは手品じゃないんだ。2人のことは忘れるんだね」と言う。
のび太は「恐ろしい道具だ。カッとなるとつい押したくなっちゃうよ」と考えていると、いつの間にか昼寝をしてしまう。
そして、のび太は夢の中でしずかやママからバカにされ、挙句の果てにはドラえもんからも馬鹿にされる。のび太は悪夢にうなされながら「誰もかれも消えちゃえ!」と叫び、うっかりどくさいスイッチを押してしまう。
直後、のび太は目を覚ますのだが、家の中が不気味な程に静かになっていた。外に飛び出したのび太は他の家に呼び掛け回るのだが、誰も顔を出さない。「タケコプター」で空を飛んで確認しても、やはり町には誰もいない。のび太は自分が全人類を消し去ってしまったことに気付く。
しかし開き直ったのび太は自分1人だけの世界を楽しむことにする。最初は漫画もゲームもお菓子も自分だけで独占出来ると喜んだが、1人でいることに孤独を感じるようになっていく。
夜になると電気が止まってしまい、家の中はもちろん町も真っ暗になってしまう。のび太は暗闇の中で絶望し、「ジャイアンでも良いから出てきてよ…」と呟く。すると「気にいらないからと言って次々に消していけば、こんなことになっちゃうんだよ。分かった?」という声が響く。そこにはドラえもんが立っており、彼はのび太に「実はこの道具、独裁者を懲らしめる為の発明だったんだ」と説明しつつ、消えてしまった人類を元に戻した。
後日、ドラえもんはのび太を連れて野球の練習を始める。ジャイアンとスネ夫がのび太を冷やかすのだが、それを聞いたのび太は「周りがうるさいってことは楽しいことだね」と言い、その様子を見たドラえもんは優しく微笑むのだった。
関連タグ
独裁スイッチ(表記ゆれ)
銀河鉄道999:「誰もかれも消えちゃえ!」を、惑星単位で本当に実行してしまった狂気の独裁者が登場する。