概要
『ドラえもん』に登場するジャイアン(剛田武)の実家かつ雑貨店。この名称はのぶドラ版での名前であり、日テレ版だと「正直屋」、わさドラ版では「剛田商店」となっている。原作では名称不明。
現代の視点で「雑貨店」というとおしゃれ小物を売っているかのようなイメージもあるが、この場合は昭和の時代によくあった「身の回りのものを何でも取り扱う店」である(わさドラ版で名称が曖昧にされたのはそんな時代の流れを反映したものかもしれない)。
食料品から生活雑貨まで取り揃えており、わさドラ版のオリジナル回「こんなしずかちゃんイヤ!」ではギフト用の雑貨(石鹸の詰め合わせ)もある模様。配達も携わっており、ジャイアンや彼の母ちゃんが自転車で出かけることがあるが、ジャイアンは店番や配達をサボることもある。
ドラえもんの中でも、というより藤子作品全体でもかなり珍しい「共働き兼専業主婦ではない家庭」である。
建物は2階建ての木造で、わさドラ版では看板建築(大正~昭和初期に東京で流行した正面のみ西洋風にした建物のこと)の様式となっている。
ジャイアン曰く「ボロ家」だそうだが、オリジナル回である「ジャイアンの家を大改造」では、この家は非常に良く出来ており(22世紀でもお目にかかれないほどの出来の良さ)、きちんと手入れすれば100年以上は持つとされている。(理論上はセワシの時代でもそのまま存在できる可能性が高い)
実際に、ジャイアンが大人になったときにはスーパーと実家を兼業しており(それぞれ「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」と2014年版「のび太のおよめさん」より)、ノビスケの世代でも木造のまま健在していた。
「のび太の結婚前夜」では、のび太のバチェラー・パーティー会場とされた。
ちなみに、ぴょんぴょん版「ドラミちゃん」では、ジャイ子の運命を良い方向に変えるためにドラミが居候した事もあった。単行本化はされていないため、ストーリーを見るのは難しい。
一部の読者からは同作者別作品のジャイアンと同じポジションの少年の実家と混同され、八百屋と勘違いされることがある。
ただし原作者以外の手による学習漫画などでは、あえてなのか監修ミスなのかは不明だが実際に八百屋設定が採用されている場合もある。
この場合、ジャイアン自身に家業の影響で野菜の生育や市場に詳しいキャラ付けがされ、学習内容に生かされることになる。
ちなみに原作設定では、藤子・F・不二雄のアシスタントをしていた三谷幸広が訊いたところ乾物屋とのこと。原作ではジャイアンが卵を配達するシーンがあるが、連載当時は卵も乾物屋で扱っていた。
ただ「ジャストホンネ」の回では八百屋よろしく野菜が並んでいるシーンがあるので(執筆の手が足りず別チームに任せた結果描かれてしまったもの)、原作の視点で見ても八百屋というのは間違いではないといえる。
家族構成
家族4人とペットの犬が1匹住んでいる。親族は揃って体格が良く、格闘技の技術を持っている者もいる。
剛田武(ジャイアン)
第1子で6月15日生まれ。
乱暴者でよく周りの子供達をいじめているが、義理人情に厚く心の友の為に自ら進んで前に立つ事もある。意外にも彼は少女趣味の部分もある。歌と料理が趣味だが評判は悪い。
劇場版では「がんばれ!ジャイアン!!」というスピンオフ作品が存在している。
将来は両親から店の経営を引き継ぎ、雑貨店を「スーパージャイアンズ」というスーパーマーケットにまで発展させる。
ジャイ子
第2子で小学3年生(わさドラ「のび太の熱血運動会」より)。兄と違って穏やかな性格をしている。
漫画家を目指しており、「クリスチーネ剛田」というペンネームを持つ。ドラえもんによれば、本来のび太は彼女と結婚するはずだったが、ドラえもんの介入で阻止され将来は漫画家となっている(のぶドラ版「さきどりカプセル」より)。意外にも料理も得意であり、カレーをスパイスの段階から試食をしつつ美味しく作っている。
藤子・F・不二雄氏によれば、実際に名前に掛けたいじめが起きないようにと本名を明かしていない(本当は後々に描く予定だった)。
なお、日テレ版では全く登場しない。
母ちゃん
店番は基本的に彼女が担当しており、店の経営や経理は彼女がしていると思われる。ジャイアンがかなり恐れる肝っ玉母さん。下の名前は不明。
腕っぷしが強く、ジャイアンが何かやらかした後には彼女によるお仕置きを受けるのがオチになっている事も多い。その一方で子供達を思う気持ちも大きく、ジャイアンやジャイ子のことは大事な子供だと思っている。料理上手であり、カレーや鍋料理の腕前は天下一品とされている。
ちなみに妹(ジャイアンの母方の叔母)がおり、同様にジャイアンの弱点でもある。ちなみに彼女も「ポチ」という名前の大型犬を飼っている。
なお、日テレ版では本編で既に故人の為、全く登場しない。
父ちゃん
仕入れの仕事なのかあまり家にいない父親。名前は原作共にテレ朝版では明記がないが、日テレ版では「小助」と設定され、前述の通り母、娘が登場しないので、父子家庭で育った事になっている。(また、名前の通り体格は小柄で腕力も弱い設定。)
妻に比べると甘く、彼女にしつけが厳しいと注意したこともある。家族のために映画館に連れて行ったり、お土産としてたい焼きを買ったりしたこともある。その一方で彼も力が強く、相撲では誰にも負けないと自負していた。それでも不正は許さない厳格な性格であり、彼が相撲で負けた時は潔く認めたり、ジャイアンがコンピューターペンシルで不正をしたときには殴ったりしている。
その他
ジャイアンのペット。雑種犬で子犬の頃彼に拾われた。ジャイアンに無理をさせられているが彼を慕う気持ちは強い。
- 剛田ヤサシ
通称・ジャイチビ。ジャイアンの息子(のび太&スネ夫&出木杉とは違って妻の詳細は不明)。親とは対照的に気弱な性格をしており、のび太&しずかの息子であるノビスケにいじめられている。
- おばさん
「おはなしバッジ」にて登場した、ジャイアンの母の妹。のび太が思わず「サル」と呼んでしまっただけで胸ぐらを掴み、お詫びのきび団子を全部嬉々として道端で食べるなど目に付く所は少々あるが、根は善人であり弱い者いじめをするジャイアンを叱り、彼が友人達から奪った玩具も返させる等姉によく似た性質を持つ。尚、剛田家を探訪した理由は洋服生地を姉に渡す為であった。
- ポチ
「おはなしバッジ」に登場。ジャイアンのおばさんの飼い犬で、のび太のきび団子を見るなり飛びついて食べるなど意地汚い所があるものの、のび太をいじめていたジャイアンに唸り、「花咲か爺さん」の犬のようにのび太に10円が埋まっている場所を教えるなど、義理堅い性格のようだ。
- おじさん
「ジャイアン反省・のび太は迷惑」で登場(父方か母方のどっちかは不明)。柔道十段の実力を持ち、素手で熊と戦った経験を持つ。真の強さとはなんなのかをジャイアンに教えている。
その他、「しかしユーレイはでた!」にて住職をしているというおじさんが名前のみ登場した。
- いとこ
「大きくなってジャイアンをやっつけろ」「なんでもそうじゅう機」「ペタンコアイロン」で登場(こちらも具体的な血縁関係は不明、ただし「剛田」姓である模様)。大学生で花子という彼女がいる。性格はジャイアンに似ていて、格闘技や武道を特技としている。
ジャイアンの所に遊びに来ることも。