ドラえもん・のび太・しずか・スネ夫はこれが開催されることを知るとよほどのことがない限りどんな手を使ってでも逃れようとする。
概要
ジャイアンリサイタルとは、藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』の登場人物・ジャイアン(剛田武)が開催・主演するショーであり、ドラえもんのエピソードのきっかけとなる出来事の一つ。
彼自身は善意の気持ちでやっているのだが、その歌い手が壊滅的な声量と声質である為に周りにとってはありがた迷惑、もとい災害となっている。
なお、TC8巻収録「キャンデー舐めて歌手になろう」での描写から音程そのものはきちんととれている模様。あくまで声質と声量の問題であって、音程、音感、リズム感自体はある。
主に神成さん宅の隣の、いつもの空き地で開催される(稀に河川敷等が会場になるケースもある)。
聴衆として、ドラえもんやのび太はもちろんのこと、しずかやスネ夫等の近所の子供達が男女年齢問わず強制的に参加させられる。場合によっては入場料を取られ、ジャイアンが賄う料理(ジャイアンシチュー等)を強引に食べさせられることもある。
勿論この地獄から逃れたい子供達は居留守や仮病等を用いて逃れようとするのだが、たとえ逃れられても後にそれが発覚した際にはもれなく鉄拳制裁が下される。誰かがチケットやそれを配る役目を主催者に押し付けられた場合は、押しつけられた人物が周囲から非難される始末。
リサイタルが始まると周辺家屋の窓が割れ、飛んでるカラスやスズメが気絶する大惨事となるが、神成さんが抗議して来たことはなく、近所の住人が苦情を言って来たり迷惑そうにしている様子が描かれることは基本的にない(ただし下記の「おそだアメ」では、真夜中にジャイアンの歌声が響いた際、近所の住人が抗議しに向かう様子が描かれている)。
ちなみに、ジャイアンリサイタルによる被害を科学的に考察した動画があったが、それによると、もっぱら開催地となる空き地の隣にいる神成さんはその爆音で意識を失うことは免れないことはもちろん、近所の住民も騒音被害でタダでは済まない。下記の通り、TV番組を通じて放送された際に、全国規模で犠牲者やTVの故障を頻発させたことがあるのも納得である。
作中では、ネズミ撃退用の音響兵器に利用されたことがある。下記の『魔界大冒険』に至ってはジャイアンの歌声で敵キャラクターを退けたことがある。まさにしずかのバイオリンと並ぶ、超音声破壊兵器である。
このため、ドラえもんたちにとっては自分たちにも相当なダメージを背負うという諸刃の剣ではあるものの、敵に与えるダメージも相当であり、状況によってはドラえもんたち側から歌うようにお願いすることもある。
例として、2011年放送の誕生日スペシャルでは、黒幕によって王蟲型の謎の巨大ワームに飲み込まれた際に、幸いにもまだ消化される前であったこともあり、機転を利かせたのび太が脱出のためにジャイアンに歌ってと頼み、ジャイアンが歌った結果、宇宙生物は苦しみ、飲み込んだ全員を吐き出したため、無事に脱出に成功した。
その一方で、劇中でジャイアンの歌が全国放送された際にはあまりの酷さに、とある家では「死んだばあちゃんが生き返った」という事態が発生しており、死亡した直後の人間をよみがえらせてしまうという殺人兵器なんだか超強引蘇生兵器なのかよくわからない側面もある。
原作版では既存の楽曲(「およげ!たいやきくん」等)の他には、自身の少女趣味の資質もあって「乙女の愛の夢」を代表するような恋愛に関するオリジナル曲も多い。楽譜や作曲はこなせる方だが、作詞に問題がある場合も多々ある。
原作版で行われたジャイアンリサイタル一覧
なお、これらはジャイアン側が集客、会場の設営等を行ったもののみを挙げており、歌っているだけのシーンや歌が元凶となった事態ならもっとたくさんある点に留意。
収録刊 | 作品名 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|
大全集1巻 | ドラえもんの歌 | 完遂 | ドラえもんが現代に来てから初のリサイタル。スネ夫の余計なひと言でアンコールになるが「音の消えるマイク」の使用で事なきを得る。しかし、話は思いもよらない方向に向かう事に… |
TC8巻 | キャンデーなめて歌手になろう | 完遂 | キャンデーの作用で綺麗な声になった。しかしその後TV出演を行った際にはキャンデーを早く舐めすぎてしまい、全国規模で犠牲者やTVの故障を頻発させた。それだけでなく、水田わさび版アニメ「キャンディーなめて歌手になろう」(2012年版)では、ジャイアンの歌が全国放送で流れた際、誰が叫んだかは不明だが「死んだ婆ちゃんが生き返った!」という台詞が飛び出している。 |
TC10巻 | おそだアメ | 完遂 | 声が良くなる飴と吹き込まれて大量に食べた結果、ドラえもん達は全く聞かずに済むも、真夜中に町中にあの歌が轟き、剛田商店に抗議が殺到した。 |
TC14巻 | 念録マイク | 中断 | 風邪で声が出ないにも拘らずテープレコーダーと口パクでリサイタルを行うも、ひみつ道具での介入によりジャイアンが激怒してテープとテープレコーダーを破壊し中断(TCに掲載された描き下ろしでは、その後テープでがんじがらめになって動けなくなったジャイアンの姿を拝める)。 |
TC16巻 | 音のない世界 | 中断 | のび太が眼鏡を外した為、ジャイアンが追いかけて中断。音痴な歌の文字は何故かそれを見ただけで吐き気を催させるという離れ業を披露している。 |
TC18巻 | スパイ衛星でさぐれ | 未遂 | 偶然このことを知ったのび太が止めさせようと奔走し、幸運にもジャイアンがリサイタルの入場券を配るために、嘘をついておつかいをサボった証拠を入手。その写真を突きつけ、「やめないとさっき嘘ついたことをおばさんに教えるぞ」と脅迫して中止に追い込んだ。 |
TC24巻 | ジャイアンリサイタルを楽しむ方法 | 完遂 | ヤメラレンという中毒になる薬で、ジャイアンの歌中毒になったことで、完遂どころかアンコール。ただし、彼ら二人はその薬の副作用として禁断症状が出る事態に。 |
TC28巻 | 地平線テープ | 完遂? | いつもの4人相手に即席リサイタル。 |
TC29巻 | あいつを固めちゃえ | 中断 | ひみつ道具でジャイアンが静止している間に観客が全員逃走。 |
TC30巻 | ジャイアンテレビに出る! | 完遂 | 真夜中に電波ジャックしてリサイタル。しかしドラえもんのミスによりのび太の友達はその番組を見ずに済んだことで難を逃れるが、のび太達の担任は偶然その番組を見て気絶した。なお、大山アニメ版では深夜族が増えた時代的観点から、何人もの視聴者から追い回されるオチとなっている。 |
TC32巻 | 腹話ロボット | 中断 | のび太に話術で丸め込まれ、中断。 |
TC33巻 | フィーバー!!ジャイアンF・C | 未遂 | ジャイアン自身がファンに揉みくちゃにされボロボロになって急遽中止。 |
TC35巻 | ま夜中に山びこ山が! | 十中八九中止 | リハーサルの音がひみつ道具によりまたも真夜中に再生され、ジャイアンは母ちゃんに家を追い出され、町中が3時間も迷惑を被った。なお、この作品では唯一、自分自身が一瞬、自分の歌を「ひどい歌」と客観評価している。 |
TC38巻 | またもジャイアンコンサート | 完遂 | ひみつ道具で音が聞こえなくなり事なきを得る。 |
TC39巻 | ジャストホンネ | 未遂 | ひみつ道具のせいで母ちゃんにリサイタルの件を白状してしまう。勿論怒鳴られて中止させられた上に、しばらく店番をやらされる羽目になった。 |
TC40巻 | ふつうの男の子にもどらない | 完遂 | ニセの引退コンサートを行うがドラえもんとスネ夫の引退コンサートにあるまじき発言で激怒。同時に踏みつけたひみつ道具が起こした誤作動でテンションが上がってしまい引退を取り消す。 |
TC41巻 | 恐怖のディナーショー | 未遂 | ジャイアンが自分の料理を味見してひっくり返った為中止。 |
TC43巻 | かしきり電話 | 完遂? | 自宅で母ちゃんとジャイ子相手に開催することに。 |
TC43巻 | 食べて歌ってバイオ花見 | 中断 | のび太の部屋にあったカラオケセットを見つけて即席リサイタルを決行するものの、帰って来たのび太のママに外から怒鳴られて中断。 |
TCプラス2巻 | 身代わりテレビ | 中断 | 嫌なことを忘れようという目的で、特別サービスとして決行。しかし、母ちゃんに「身代わりテレビ」越しで怒鳴られて強制終了。 |
アニオリエピソードでのジャイアンリサイタル一覧
種別 | 作品名 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|
中編 | 未来を守れ! のび太VSアリ軍団(大山のぶ代版アニメ) | 撃破 | 襲い掛かって来たアリ人間を次々と撃破。 |
中編 | ジャイアンの夏休み(大山版アニメ) | 中止 | ストーリー序盤は上記の「ふつうの男の子にもどらない」を元にしているが、そちらとは違い「さとりヘルメット」(「ホンネ吸いだしポンプ」ではない)を使用して観客の苦情を読み取った為、ジャイアンは落胆して中止となった。 |
中編 | ドラえもんVSドラキュラ(水田版アニメ) | 撃破 | しずかのバイオリンとのデュエットでドラキュラロボを破壊し、スピーカーで22世紀に広まるドラキュラウイルスを全滅させた(その後、しずかと共演でリサイタルを催し、他のメンツが苦悶する羽目に)。 |
中編 | ジャイアンが1000人!?(水田版アニメ) | 未遂→一部完遂 | 宇宙人によって生み出されたコピージャイアン1000人とのバースデーリサイタルを決行するも、ドラえもんの「ヒトマネロボット」が変身した1000人のジャイアンの母ちゃんの登場によりめでたく終了。しかしジャイアンを可哀想に思ったのび太の介入でいつもの4人相手にリサイタルを催した。 |
中編 | 新曲発表!ジャイアンにボエボエ?(水田版アニメ) | 完遂 | たか子の走り高跳びを応援する為、必死に新曲を作り披露した。また、たか子は後述のベティと同様、彼の歌を心から称賛した数少ない人物である(ただし、ジャイアンの歌を聞いても平気だったその理由は前に飼っていた犬の鳴き声とジャイアンの歌声が似ていたからと言う何とも言えないものではあった)。 |
短編 | おぼっちゃマンボ(水田版アニメ) | 中断 | スネ夫の歌手デビューリサイタルを乗っとるも、「ヒットマイク」がオーバーヒートして大爆発。 |
短編 | ドラえもんやめます(水田版アニメ) | 中断 | ドラえもんに「辞ニンジン」を食べさせられて歌手を辞任する羽目に。 |
短編 | とびだす伝記電気(水田版アニメ) | 一部完遂 | 正確にはリサイタルでなく、ベートーヴェンの「運命」から直感で作詞した即興曲の披露。道具で召喚されたベートーヴェンの指揮の横で歌っていた。(運命発表時のベートーヴェンは聴覚障害を発症しているが、聴こえていたのかジャイアンの歌に驚いていた)ファンの間で有名な「しろめしー、うめぼしー」はこれのこと。序盤が終わったタイミングでスネ夫がやめさせた。 |
短編 | フェスティバルーン(水田版アニメ) | 中断 | スネ夫が「フェスティバルーン」で実現させた「スネ夫マンボフェスティバル」を乗っ取る形で「ジャイアンロックフェス」を開催するも、同じくフェスティバルーンの効果で強制終了(ただしその際、皆が自分のやりたい祭りを書いた紙を一斉にインプットした為、様々な祭りが同時進行されることになった)。 |
短編 | ジャイアンVSメカジャイアン(水田版アニメ) | 撃破 | メカジャイアンの音痴攻撃を破りオーバーヒートさせ勝利。しかし意気投合してしまった。 |
短編 | 捜査ごっこセット(水田版アニメ) | 完遂 | リサイタル用のマイクを壊した犯人を探していたが、実はジャイ子が懐中電灯を使用する為にマイクの電池を抜いていただけと判明し、お詫びの即席リサイタルが決行されてしまった。 |
短編 | プラ酢とマイナ酢(水田版アニメ) | 中断 | ドラえもんとのび太がスネ夫に騙されてジャイアンの新曲即席リサイタルに無理矢理参加させられるも「プラ酢」で土管を増やし、その場から逃走。 |
短編 | 一文字変えて遊んじゃおう(水田版アニメ) | 中断 | 「かしらモジール」によってジャイアン(名前は「たけし」)がこけしに変化、歌えなくなった隙にドラえもんとのび太以外全員逃走(その後、チルチルがかしらモジールを剥がそうとしたので、ドラえもんとのび太も慌てて逃げ出す)。 |
ED | あばよ2021!ジャイアンリサイタル(水田版アニメ) | 完遂 | 映画主題歌を熱唱。モブの観客は番組内企画で募集した。約24万件の内当選者はたったの12名と、倍率がとんでもなく高い。 |
イベント | 木村昴の『ジャイアン スーパーリサイタル』 | 完遂 | ジャイアンのデビューアルバム『ジャイアンのスーパーリサイタル』の発売を記念し、ジャイアンの中の人によって現実界でジャイアンリサイタルが開催された。このイベントにはしずかの中の人とドラえもんも駆けつけた(当初はしずかの中の人ではなくスネ夫の中の人が登壇する予定だったが諸事情により変更された)。 |
大長編版・映画版での戦果
種別 | 作品名 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|
大長編 | 恐竜 | 悪化 | ティラノサウルスが恐竜の鳴き声と勘違いしてやって来て一行が大ピンチに。 |
大長編 | 魔界大冒険 | 撃破 | 人魚の曲で操られつつも「俺のほうが上手い」と歌い、人魚と魔獣ツノクジラが全力で逃げた。 |
大長編 | 日本誕生 | 未遂 | 歓迎の宴で原住民が披露した歌声に感激し、お礼に一曲披露しようとしたが、物語の舞台が古代だったこともあったためか、「それだけはやめろ!」「20世紀の恥!!」と必死に制止された。 |
大長編 | 南海大冒険 | 撃破 | 敵怪獣に苦戦する味方の怪人岩男の援護の為に応援歌を歌い、敵を撃破した(ただし岩男までが粉々になった)。尚、この作品に登場したベティと言う少女に男気共々その歌声を惚れこまれると言う珍事が起きた。彼の歌を本気で賞賛した数少ない人物である。更に大長編版では「こんな素敵な唄始めて聞いたよ!痺れが止まらない!!」と言いながら嬉し涙を流して絶賛しており、その様子を見たジャイアンが2番を歌おうとする事態になった。 |
大長編 | ふしぎ風使い | 失敗 | 悪霊に乗っ取られたスネ夫を救うべく歌う。ある程度効き目はあったが完遂ならず。 |
「敵を(傷つけずに)撃退する」という一点で考えるなら、のび太と鉄人兵団やのび太と竜の騎士で防戦に使えば大量の敵を追い払う非殺傷兵器として効果的だったとも考えられるが、何故か行われていない。前者は敵がロボットであったこと、後者は「恐竜」での反省を踏まえたことが原因であろうか。
TVCM
CM元企業 | ジャイアンを演じた人物 | エピソード名 | 備考 |
---|---|---|---|
トヨタ株式会社 | 小川直也 | 「ジャイアンとジャイ子の芸術の秋」編 | のび太達が30歳という設定のCMの中で小川直也演じるジャイアンが自分のスーパー「ジャイアンズ」で懲りもなくリサイタルを開く。当然ドラえもんやのび太含む買い物客は全員逃亡。リサイタルの傍らで前田敦子演じるジャイ子はノリノリだった(ただし上記の「かしきり電話」では、母ちゃんと共に嫌な顔をしながら耳を塞いでいるが)。ちなみにジャイアンが歌う曲は「ヘビーローテーション」。 |
UGA | 木村昴 | - | いつものようにリサイタルを開いて歌い出すが、突如としてイケボを披露した事で喝采を浴びる。なお、この時ジャイアンが歌った曲は「俺の鼻と白い花」というCM用のオリジナル曲。その音質がオレを変えた。 |
ソフトバンク | 八村塁 | - | 八村塁演じる30年後のジャイアンが、現代からタイムスリップしてきた白戸家やのび太達の前で即席リサイタルを行うが・・・ |
周囲からの評価
「音痴の怪獣が化けて出たような声」「熱を出して寝込んだ奴がいる」(「ドラえもんの歌」)
「脳味噌がむずむずする」「これも公害の一種だよな」「わーよかったよかった、終わってよかった」(「キャンデーなめて歌手になろう」)
「誰だ!こんな夜中にへたくそな歌を!俺の歌だ!」(「ま夜中に山びこ山が!」)
「なんでジャイアン自身はあのすさまじい歌にけろっとしていられるんだろ」「当たり前だろ、フグが自分の毒で死ぬのか?」(「ジャイアン殺人事件」)
「みなさん猛毒の歌が流れています。消毒が終わるまで外に出ないでください。」(「ドッキリビデオ」)
「ジャイアンの歌は痺れる。痺れて気が遠くなって熱が出る。ジャイアンの歌でいい所は終わったところだ」「この世を脅かすのは核兵器とジャイアンの歌だ。世界平和のために核兵器とジャイアンの歌を追放しよう」(「ジャイアンへのホットなレター」)
「野球の応援かと思った」「ジャイアンのは歌じゃなくて怪獣の叫び声だよ」「ウシガエルの大群が攻めてきたのか」「ジャイアンの歌が上手くなったら奇跡だ」(『ドラえもんの学習シリーズ 歌とピアノがうまくなる』)
「最悪の場合、秩序の騎空団につかまるかも……」「確認しておきたいんだけど、ジャイアンの歌に秩序ってあると思う?」「ない」「メロディもリズムもセンスもない」「あの歌を聴いて体調を崩さない人がいるとは思えない……どうにかしてやめさせないと……」(『ドラえもん のび太の空飛ぶ船』)
「オエエ〜。はきけがする」「さ、さむけが……」「ひどさもここまでくると立派な自然破壊だよ!」(『ドラえもん のび太の恐竜2006DS』)
アニメ版でのレパートリー
水田版に移行してからは、中の人の都合もあるのか、キャラソンが激増。まだまだ止まることはないだろう。
- おれはジャイアンさまだ!:大山版より、彼のイメージテーマとなっている。水田版では長らくリメイクされていなかったが、2022年、遂に実現した。
- そこのけ!ジャイアンさまだ:水田版より(以下も同じ)、彼のイメージテーマとなっている。ジャイアンが怒った時のBGMとしても頻繁に使われている。
- ジャイアンのリサイタル:ギターを鳴らして始まる演歌調の曲。歌詞はないので現実世界では劇伴音楽扱いだが、原作でも出てきた「オイラのハートの切なさは〜」という歌詞がよく当てはめられる。
- ジャイアンにボエボエ:作中では最も頻度が多い
- たけしのズンドコ節:オリジナルエピソード「たけしのズンドコ誕生日」で登場。期間限定で「テレ朝サウンド」のみ配信されていた
- ありがとう、オーレ!:オリジナルエピソード「スランプ!ジャイアン愛の新曲」で登場。こちらは「テレ朝サウンド」の他音楽配信サイトでも常時配信されている
- 友達:『新・大魔境』で登場。ジャイアンにしては珍しくシリアスな曲
- ジャイアントドリーム:2022年版「シンガーソングライター」で登場。作詞は水田ジャイアンの中の人。
他キャラクターの歌事情
「歌=ジャイアン」という方程式が成り立っている影響で他のキャラクターがネタにされることは少ないが、原作版・アニメ版共に他のキャラが歌うネタが描かれることもそれなりにある。アニメ版ではジャイアン含め5人のイメージ曲を模したBGMが所々流れる演出がなされている。
また、大山版では「ワンパク三人組」というのび太&ジャイアン&スネ夫のトリオ曲が、水田版ではドラえもんを含めたカルテットで「Moonlight Blue」と、しずかを含めたクインテットで「Ding!Dong!クリスマスの魔法」、「ハッピー☆ラッキー・バースデー!」というキャラソンが存在する。
また、下記の通り、スネ夫以外の他のキャラクターも歌、音楽に関してはロクでもないどころか、ジャイアンと同等かそれ以上の側面を持っていることも多い。下記は、その一覧である。
ドラえもん
「食べて歌ってバイオ花見」ではのび太に軽く「音痴だなあ」と言われる程度でそこまで酷評されていない。しかし「ドラえもんの歌」ではドラえもん本人に虫が混入して挙動不審になってしまい、その影響でジャイアン以上の音痴となってしまった挙げ句、真夜中に子供達を集めてリサイタルを催そうとしていた(セワシの介入によりめでたく中止となったが。)。大全集20巻収録「ドラQパーマン」でもドラえもんが「ドラえもんのうた」を歌った際、傍で聞いていたQ太郎とミツ夫は「ウーッ!まいったまいった!」と言いながら耳を塞いでいる(ただし水田版アニメオリジナルエピソード「青い月夜のリサイタル」等、作品によっては普通に歌っていることもある)。
スピンオフ作品『ザ・ドラえもんズスペシャル』では楽器も非常に下手という設定(ただしTCカラー作品集5巻収録「キャンプ」では、ドラえもんはハーモニカを普通に弾いており、TCプラス6巻収録「ペタリ甲板」でも、ドラえもんはウクレレを普通に弾いている。それだけでなく、水田版アニメオリジナルエピソード「結成!のびーとるず」でも、ドラえもんは「無生物さいみんメガフォン」を使用して楽器に変化させた日用品を普通に奏でている。その為、原作版及びアニメ版には楽器が苦手という設定は存在しない)。
2016年版「ぼく、マリちゃんだよ」では「トッカエ・バー」でアイドルと入れ替わった状態で歌を歌ったのだが、やはり音痴ということで口パクを余儀なくされた。アイドルと比較するのは可哀想ではあるのだが…
キャラソンとしては「ぼくドラえもん」、「まんまる ボクがドラえもん」等多数存在している。主人公だけあってジャイアン以上の曲数となっており、水田版の彼のBGMもかなり多い。
のび太
TC13巻収録「ちく電スーツ」ではスネ夫から「ジャイアンより酷い」と言われており、TC8巻収録「ぼく、マリちゃんだよ」でも周囲の人々から酷評されている。TC11巻収録「テレビ局をはじめたよ」でもジャイアン達から「下手くそな歌」と言われており(ただしこちらは本来はスピンオフ作品『ドラミちゃん』の登場人物・のび太郎の歌唱力であり、『ドラえもん』に収録された際にのび太と差し替えられたものだが)、TC0巻収録「未来から来たドラえもん」でものび太が歌っていた際、ママから「のびちゃん、何を唸っているの」と心配されてしまっている(ちなみにママの歌唱力については「おそだアメ」にて、ドラえもんとのび太が「上手い」と評している)。これらの描写から、のび太の歌唱力はあまり高くないと断言出来る(流石にジャイアンや暴走時のドラえもんほど酷いという訳ではなく、周囲に物理的な被害が出たことはない。それだけでなく上記の「青い月夜のリサイタル」等、作品によっては普通に歌っていることもある)。
「のんきなのび太くん」、「のび太くん0点」の2曲が存在しており、後者は合いの手としてドラえもんも登場している。ただし水田版ではBGMが使われる頻度は5人の中で最も低いが、大山版では逆に使用頻度が非常に多い。
しずか
何かと歌にまつわるエピソードが多い男性陣とは打って変わって、しずかの歌にまつわるエピソードは皆無に等しい(「食べて歌ってバイオ花見」では、カラオケの際はマイクを離さないほど歌うことを楽しむ様子が描かれている。それだけでなくドラえもんとのび太は彼女の歌を普通に聞いている為、歌唱力は特に問題ない模様)。
しかし、彼女のバイオリンの腕はジャイアンの歌に負けず劣らずの酷さであり、のび太に「ジャイアンといい勝負」と言わしめている(TC33巻収録「鏡の中の世界」、TC43巻収録「へたうまスプレー」、水田版アニメオリジナルエピソード「序章・新魔界大冒険」等。ただしTC13巻収録「もどりライト」では、彼女はバイオリンを普通にひいている)。むしろ、単なるリズムの取れてなさ、音の外しっぷりは、うるさく性質が悪いものの音は外しておらずリズムの取れているジャイアンの歌以上であり、尚且つジャイアンと違って自覚ゼロ(山びこ山の件でジャイアンは自分の歌を「下手くそ」と評しており、尚且つ自分のものと分かった瞬間非常に恥ずかしそうにしている。これに対し、しずかがバイオリンの下手さを認識しているシーンは一切ない。)。ぶっちゃけ、改善しない以上ジャイアンに文句を言えないだろう。
声優が歌うキャラソンは「おとなりのプリンセス」の1曲のみだが、ジャイアンと並んで使用される場面がかなり多い。
大山版では「しずかちゃんのうた」というイメージソングが存在しているが、他の4人と違って中の人が携わっていない(=野村道子氏が歌っていない)。ただし、「地平線テープ」では彼女がこの曲を口ずさんでいるシーンが存在している。
ちなみに彼女はデュエット以上の曲にも携わっておらず、今の中の人であるかかずゆみ氏が出演してようやく「しずかが歌う曲」が登場した。
スネ夫
大山版アニメ「テレビ局をはじめたよ」でスネ夫が歌自慢に出演するほどに歌が上手いという設定が設けられて以来、ジャイアンとは対照的に歌が上手い設定が存在している(上記エピソードは元々スピンオフ作品『ドラミちゃん』の登場人物・ズル木〈木鳥高夫〉がその役目を担っていたが、ズル木はアニメに登場していない為、役割がスネ夫に差し替えられている)。
水田版に入ってからはそれが顕著に現れており、特に今の中の人である関智一がアニソン歌手を担っていることや大山版時代から携わっている事もあって、劇中ではスネ夫が口ずさんでいるシーンも多く描かれている。
「スネ夫のうた」、「スネ夫のおぼっちゃマンボ」の2曲が存在している。
前者は「ヘラヘラポッポ ヘラポッポ」という中毒性の高い歌詞が特徴であり(スネ夫にとっては歌詞の意味が分からないらしく「なんだこりゃ」と言っている)、後者は「おぼっちゃマンボ」というオリジナルエピソードで初披露され、そのBGMはスネ夫のテーマだけにあらずイベントシーン時にも時々流れている。
下記の通り、ジャイアンと合同で「フレンド・オブ・ザ・ハ~ト」を歌うことになる。この通り、歌は上手くまたそれ以外の問題点もリコーダーを吹けない(しかも音声で害をもたらすことはなかった)程度しか見られないことから音楽に関しては主要5人の中では最もまともで無害である。むしろ、何かしらの問題点のある4人から(特にジャイアンとしずか)、モブ、サブキャラクター共々最も音楽の被害を受けている人物と言える。サブキャラクター共々耳が心配である。
パロディ
余談
- このジャイアンリサイタルには元ネタとされる噺が落語にある。演目「寝床」がそれで、浄瑠璃好きの旦那が奉公人や店子らに無理やり聴かせる(しかも聴かされた人物は気を失う、命を失うなど惨憺たる有様に)というものである。なお、浄瑠璃は一段語るのに一時間ぐらいは要するので、それこそ下手だとリサイタルどころじゃない(素人浄瑠璃が流行した頃には下手な浄瑠璃を揶揄する川柳もいっぱい作られた)。なお、作者の藤子.Fは大の落語好きでも知られており、漫画制作中もしばしばBGM代わりに聴いていたなど、愛聴テープが川崎の藤子.F.不二雄ミュージアムに展示されている。
- 一方で、藤子不二雄作品において、最初に音痴設定が与えられたのはQ太郎であり、彼の歌声は家族が皆外出したくなるほど、空き地で歌えば騒音、異音公害で警察から注意を受けるほどだった。ただし、音痴の風邪ひきがまがえるという設定で、テレビ出演にて聞こえた声で家族みんなが「ぴったりだ」と評するなど、大声さえ出さなければ人畜無害の、普通に愛嬌のある音程が外れた声のようである。
- 未来における大人に成長したジャイアンは、歌が下手なのは変わらないがある程度改善している模様。TC25巻収録「のび太の結婚前夜」ではのび太と出木杉が平気で聴いていたり(ただしスネ夫は苦手意識が強い為か両手で耳を塞いでいた)、何より周囲に損害が出ていない(派生作品を含めれば『STAND BY ME ドラえもん 2』で歌った際は、子供時代と同様に周囲へ被害を出している)。
- 大山版でのジャイアンリサイタルシーンにおける挿入歌「おれはジャイアンさまだ!」の歌詞は、担当声優のたてかべ和也の手によるもの。歌のシーンで、「アドリブで歌って」と要求された際に、とっさに出た歌詞をそのまま書き下ろした。
- 水田版オリジナルエピソード「奇跡のデュエット!ジャイ&スネ」では、スネ夫と共にデュエットを組んでカラオケ大会に出るエピソードとなっているが、事前に「アンキパン」で楽譜を覚えているものの問題なく歌えているシーンが存在している(ただし落選)。曲名は「フレンド・オブ・ザ・ハ~ト」であり、直訳すると「心の友」となる。
- 水田版アニメオリジナルエピソード「未来の迷宮おかし城」でも、しずかやスネ夫と共にラップ(曲名不詳)を披露するシーンが描かれたが、こちらでも問題なく歌えている。
- 2019年9月6日の告知アニメーション「ドラえもんのお引越し!?」では、オープニングが新しくなると聞いてジャイアンが「土曜でどうよ」なる曲を妄想していたが詳細は不明。
- かつてはコナミの音ゲー『ポップンミュージック』にも収録されたが、そのジャンル名はまんま「ジャイアンリサイタル」だった(現在は削除済み)。たてかべ氏本人歌唱で、ボーカルがそのままボタン音になっているため下手なプレイをすると原作さながらの音痴を披露する羽目になるギミックが仕込まれていた。担当キャラはニャミで、この時の服装と風貌がまんまジャイアンだった。LOSEアニメではジャイアンのママに扮したミミも登場する。
- 現在のジャイアン役である木村昴氏によると、学生時代の文化祭でたてかべ氏が学校の近くに住んでいたらしく、遊びに来ていたという。すると体育館でたてかべ氏が熱唱している光景が!!まさかのリアル・ジャイアンリサイタルが発生したのである。
- 『グランブルーファンタジー』とのコラボイベント『ドラえもん のび太の空飛ぶ船』では、ドラえもん達の歓迎会を兼ねてジャイアンリサイタルが行われることになり、その歌声が披露されてしまった。
- ハドソンから発売されたファミコン版『ドラえもん』では、第2ステージの魔境編でジャイアンがいる場合に限り、一度だけだが2コントローラーのマイクに音声を吹き込む(某伝説のクソゲーのように本当にジャイアンリサイタルをしなくてもよい)と、画面上のボスを含むありとあらゆる敵を一撃で葬り去ることができる。一応ドラえもんと(同行している場合)スネ夫には被害は出ない。ただし、マイクのないニューファミコンでは使用できない。
- しずか役のかかずゆみ氏はラジオ番組にて「木村昴くんは実際にはとても歌が上手い、それなのにいつも下手に歌うことも出来て毎回一回でOKを出しています」と語っており、木村氏がいかに演技も歌も上手で、それでもジャイアンを演じることの凄さがわかる。