曖昧さ回避
概要
アメリカ合衆国および周辺国原産の体長が11~18㎝、体重500~600gという大型のカエルで、オスの背は暗緑色、メスは褐色で共に黒斑がある。オタマジャクシも相当大きい(長い尻尾も入れればだが大きなものは15cmに迫る。また、本種のオタマジャクシは巨大に成長するために、多くのカエルと違ってオタマジャクシのまま越冬し、孵化の翌年の夏にカエルになる)。
流れが穏やかな水域に生息しており、夜行性で強い警戒心をもつため暗所を好む。
「ブオー、ブオー」という牛の鳴き声をおもわせる声で鳴くため、英名はブルフロッグ(牛蛙)で和名もそれに準じる。稀に「ニャー」と鳴く個体もいる。探偵!ナイトスクープでの調査では調査した大量のウシガエルの内103匹目で確認された事から相当稀である事がわかる。
貪欲と言っていい程の食欲の持ち主であり、(カエル全般の特徴ではあるが)目の前で動く呑み込めそうな大きさのものには基本的に何でも飛びついて食べようとする悪食。水中、水面、陸上と場所を選ばず活動して捕食を行う。成長しきった大型の成体ともなれば、あらゆる昆虫はじめとする節足動物は無論の事、アメリカザリガニの様な甲殻類やカタツムリなどの軟体動物、果ては同種も含めた自分より小さなカエルといった両生類から、小さければカエルの天敵とされる蛇や亀などの爬虫類までをも捕食するし、機会があれば干ばつなどで水溜まりから動けなくなったりした魚類や、巣から落ちた小鳥の雛だったり(時には水を飲みに来た成体の小鳥すらも狙って飛び掛かったりもする)、ネズミなどの小型哺乳類をも食べる事があるらしい。オタマジャクシのうちは他のカエル同様に雑食であり、カエルになると身体の大きさに合わせて餌動物を捕食しだす。
勿論、自然界で無敵ではなく、オタマジャクシや幼体は比較的小型のため他のカエル同様に頻繁に他の多種多様な肉食・雑食動物に捕食されるし(前述したように同種からも捕食される)、成長した成体もアオサギ等の水辺の肉食大型鳥類やイタチやタヌキ等のカエルを好む中型哺乳類には捕食される(本種が警戒心が強くて夜間活動が主なのも、こういった天敵がいるため)。しかし、他の小型動物に対し大変な脅威になることは確実で、繁殖力が強い事もあって(1回の産卵で産む卵は4000個以上ともされる驚異の数)、天敵の存在だけでは到底抑止できない。
更に水辺がなくては生きていけないとはいえ、魚と違って陸上活動が充分可能な上、その巨大な脚からわかるように運動能力は非常に高く、素早い跳躍や泳ぎは十八番。そのため、水辺伝いに急速に住処を広げられるばかりでなく、環境変化への耐性も非常に強く、開発や都市化が進行した環境だろうと生き延びる。棲んでいる主な動物がもはやアメリカザリガニしかいない半ばドブ川のような環境だろうと本種なら十分に生活・繁殖ができる(アメリカザリガニは植物、昆虫やイトミミズ、更にウシガエルの卵・成長していないオタマジャクシなどを手当たり次第に食べ、共食いも頻繁にする。ザリガニ同様に何でも食べる雑食のオタマジャクシから成長したウシガエルはそのアメリカザリカニを中心に動物なら手当たり次第食べ、やはり共食いを頻繁にする。永久機関の完成である。これであらゆる水場を彼等だけで征してしまう事が可能)。
このような性質のため、日本だけでなく、かつて食用目的で導入された中南米、欧州、アジア各地などでも定着し、その猛威を大いに振るっている。
日本には1918年に食用ガエルとして導入され養殖されるようになり、国内で消費および海外輸出されていたが、フランス料理や中華料理(どちらもトノサマガエル類を伝統的に食べる)で利用される以外には、独特の臭いや姿のため日本食文化には定着しなかった(後述するように一応、食味は鶏肉に近い。尚、ウシガエル以前から日本でも在来のアカガエルなどを食べる習慣が地域によってはあったが、珍味や非常食以上のものではなかったようである)。
しかし、養殖場から逃げ出したり廃棄された個体が繁殖し日本の生態系に悪影響をおよぼしたため、現在では流通は制限されており2005年に特定外来生物に指定されている。そのため許可なく飼育する事は厳禁(生きたままの移送も禁止である。許可が無い場合は捕まえたら必ず止めを刺そう)。
なお現在でも流通が規制されておらず、ペットとして飼育可能なアフリカウシガエルは名前に反しかなり遠縁の種。とはいえ成長すればウシガエル以上に大型化する上、しっかりした歯もあるので万が一噛まれたら危険なため、仮に飼育を検討するならその点をしっかり注意し、間違っても手に負えなくなったからと逃がそうなどとは考えないように。
調理
食用として導入されただけあって可食部位は少ないが(後肢の発達した筋肉が主に食べられる)十分美味な模様。
味はササミに近く、脂が少なくさっぱりとしている。炒めものやフライにすると丁度いい。姿揚げにして食べた人もいる
ザ!鉄腕!DASH!!でも「グリル厄介」にて捕獲し、調理を依頼している。
尚、カエルに限らず多くの野生動物は人間にとって危険な寄生虫や病原体をもっていることがある。生の個体に触ったら手(および包丁やまな板等の調理器具)はしっかり洗い、生食は絶対にやめよう。
関連動画
前述のように飼育や生きたままの移送はできないが、捕まえたのを締めて食う分には自由。
こちらはアフリカウシガエル。動画の通り噛まれれば出血することもあるので注意。
食生活次第だが、この通り成長速度もすさまじい上に育ってからの寿命も長い。飼育する際にはスペースなどをしっかり考慮しておくこと。
関連タグ
ニョロトノ…中国語(広東語)で「牛蛙君」
アメリカザリガニ…ウシガエルの養殖の際に餌とするために輸入された個体が逃げ出し、その子孫が日本の生態系に悪影響をおよぼしている。実際、北米現地でもウシガエルの餌の一つではある。ウシガエル以上に何でも食べる悪食であるため、餌として飼う際も飼育が容易とみなされたため輸入された。又、アメリカザリガニもウシガエル同様に人間の食用にもできる。