概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。別名「無生物さいみんメガフォン」。初登場エピソードはTC18巻収録「ドライブはそうじ機に乗って」。
無生物に催眠術をかけることが出来るひみつ道具。物に向かってメガホンで「君は○○だ」と呼びかけると、その物が呼びかけた物と同じ性質を持つようになる。
例えば鏡に向かって「君はテレビだ」と呼びかければ、鏡がテレビと同じ機能を持つようになり、鏡面にテレビ番組が映し出され、更に引き出しの取っ手を回せばチャンネルを変えることが出来るようになる。
命を持たない物であれば何にでも催眠をかけることが出来る上に、かけられる催眠の内容に制限は存在しない。原作版では掃除機をスーパーカー(時速300km以上で走行可能)にしたり、伝記を漫画にして面白くしたり、剃刀とカレンダーを電話にする等、様々な使い方をしている。
他にも野球ボールに「君はうさぎだ」と催眠をかけてボールがあちこちに跳ね回るようにする等、無生物に命を吹き込むことも出来る。それだけでなく、2階の窓に「君は1階の窓だ」と催眠をかければ1階の外に繋がる窓に変えることも可能。
また、催眠の内容を細かく指定した場合は正確に反映される。上記の初登場エピソードでは、机に「君は自動ピアノだ」と催眠をかけた際、ちゃんと自動で音楽を奏でるピアノになっている。更に、現実に存在しない物の性質を持たせることも可能。実際にドラえもんやのび太はこの道具で座布団を空飛ぶ絨毯に変えたり、箒を空飛ぶ箒に変えている。
ただし、催眠のかかりやすさは物によって差が出る場合がある。TC40巻収録「空とぶマンガ本」では、複数の段ボールに対し「君は風船だ」と催眠をかけて軽くしようとしたのだが、1個だけ催眠がかかりづらい段ボールがあり、のび太が何度も催眠をかけることでようやく風船だと思い込ませることに成功した。
また、TC26巻収録「魔女っ子しずちゃん」では、源家の箒に「君は空飛ぶ箒だ」と催眠をかけた際、箒だけがどこかへ飛び去ってしまった。その後、野比家の箒に同じ催眠をかけたのだが、こちらはどこかへ飛び去ることはなかった。
派生作品
2010年版「ドライブはそうじ機に乗って」では自動車教習所の練習コース(2021年版「ドライブはそうじ機に乗って」では普通の道路)に「君はサーキット場だ」と催眠をかけ、外観を含めたコース全てをサーキット場に変える様子が描かれている。
それだけでなく、水田わさび版アニメオリジナルエピソード「結成!のびーとるず」の作中では、既に「君はエレキギターだ」と催眠をかけた箒に対し、後から「君は自分で演奏も出来るんだ」と催眠をかけても問題無く自動で演奏するエレキギターになっており、追加の催眠も反映させることが出来る様子が描かれている。
その一方、水田版アニメオリジナルエピソード「南極ペンギンを救え!」では、巨大な氷山に対し「君は風船だ」と催眠をかけたのだが、氷山が大き過ぎるせいで催眠が一部にしかかからず、氷山全体を軽くすることは出来なかった(しかし上記の通り2010年版「ドライブはそうじ機に乗って」では、自動車教習所の広いコース内でメガホンを使用した際、教習所全体が自動的にサーキット場に変化している。また、原作版では巨大な物体に催眠をかけたケースは存在しない)。
大長編及び映画『南海大冒険』では、しずかが岩に催眠をかけ、自分達を敵から守ってくれる為に戦うゴーレムに変える様子が描かれている。
『決定版ドラえもん大事典』では、ドラえもんがこの道具を使用して鏡を「タイムテレビ」に変えており、『ドラえもん なぜなに探検隊 2』では、悪役がこの道具を使用して機関車を「タイムマシン」に変えている。
総括
上記の通り、原作版短編・アニメ版・大長編・映画版・派生作品のほぼ全ての場面で万能振りを見せており、催眠をかけると言うより、もはや物体を自分が望む物に変える道具として使用されている。
思わず「催眠って何だっけ?」と問いたくなるほど高性能な代物であり、使い方次第では「ソノウソホント」、「ウソ800」、「あらかじめ日記」、「しあわせトランプ」、「魔法事典」、「アトカラホント」等と同様に、自分の望みを叶える道具として活用出来ると言えるだろう。
関連道具
- 無生物しきぼう
この指揮棒を振ると、周囲の物体(無生物)を自分の思うが儘に操ることが出来る。
例えば玩具の車に対して振りかざせば、まるで本物の車の如く自動的に動き出すようになる。
原作版では風船にのび太の似顔絵を描き、服と靴を用意して人間のように動かすことで、のび太の代わりにおつかいに行かせるという荒業を行っている。
また、1度に動かせる無生物の数に制限は無く、複数の物を同時に操ることも出来る。
- コレヨリメガホン
水田版アニメオリジナルエピソード「そして、みんなイモになる」に登場したひみつ道具。
このメガホンを使用すると、どんな物でも好きな物と置き換えることが出来る。例えばバットに向かって「バットより大根」と言えば、バットが大根に変化する。
作中ではドラえもんやのび太がこの道具を使用してポップコーンをドラ焼きに変えたり、教科書を漫画に変えていた。
それだけでなく、この道具は上記の「無生物さいみんメガホン」及び「無生物しきぼう」とは違い生物に対しても有効。作中では焼き芋を売っていた男性が普通のメガホンと間違えてこの道具を拾ってしまい、そのまま「何より美味しいお芋だよ~」と言い続けた結果、のび太の町に住む人々や剛田家で飼われているムク、骨川家で飼われているチルチルが焼き芋の姿に変わってしまい、最終的にドラえもん達も焼き芋の姿になってしまった(なお芋に変わったドラえもん達の姿はどことなく、彼に似ている)。