概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場回はTC3巻収録「ミチビキエンゼル」。
天使の人形型のひみつ道具で、片手にはめて何か相談をすると、その者がどのような行動を取れば最善の結果となるかを教えてくれる。また、ミチビキエンゼルが話す言葉は使用者以外には聞こえない。
ただし、ミチビキエンゼルは基本的に使用者のみが得をする答えしか教えてくれない。その為、時には使用者以外の他人に迷惑をかけてしまうことがある。
作中での描写で例えるなら…
のび太「いつまでも家に居座っちゃしずかちゃんに迷惑だ。何かいい方法はない?」
ミチビキエンゼル「アカンベエしなさい」
(数秒後)
のび太「しずかちゃんやママを怒らせちゃったじゃないか!」
ミチビキエンゼル「ですがこれで帰れますよ」
更に厄介なのは、1度はめたら使用者の意志で外すことが出来ず、外す為には誰か別の人に外してもらう必要があるという仕様である。また、指示に逆らおうとすると噛みついたり殴りかかったりして妨害してくる。
エピソードとしての解説
風邪をひいたドラえもんのところに、のび太から電話がかかってきた。ドラえもんがかけつけてみると、のび太は明日テストがあるが、しずかから遊びに来るように誘われたので、帰って勉強するかしずかの家に行くか迷っているという。呆れたドラえもんは大きなくしゃみをすると、そこで渡すべきかどうか少し悩みながらものび太に「ミチビキエンゼル」を手渡し、それに何でも相談するように言う。
さっそくミチビキエンゼルは「勉強は夜でもできるが、しずかちゃんと遊べるのは今だけだから」としずかの家に行くように言う。しばらくしてのび太が分かれ道にさしかかると、エンゼルは左側の道を行くように指示するが、のび太は近道だからと言って右側の道を行こうとする。しかしそこでのび太はばったりジャイアンとスネ夫に出会い、強引に野球に誘われてしまう。
エンゼルはこの場は野球に行き、途中で抜けるように言い、のび太がエンゼルの言う通りに行動すると守備で活躍する。しかしのび太が打席に立ちエンゼルの指示通りにバットを振ると、のび太の打ったボールが茂みの中に隠れていた犬に当たり、犬が暴れこんで野球の試合は滅茶苦茶になってしまう。
そのすきを見てのび太はしずかの家に行くが、しずかと遊んでいる途中でもエンゼルはのび太の行動にいろいろ口出しをする。さらにエンゼルはのび太に明日のテストのために帰るように言い出し、しずかの母親から夕食を食べていくように勧められても、のび太にアカンベエをするように言う。その様子を見たしずかは怒ってしまい、おせっかいなエンゼルのことを疎ましく思うようになったのび太もエンゼルを手から外そうとするが、エンゼルはのび太に噛みついて離れようとしない。
のび太が帰宅してドラえもんに文句を言おうとすると、ドラえもんは自分の体を分解していた。ドラえもんはねじが1本足りなくなっていて、このままでは自分は壊れてしまうと言う。先ほどのび太と話していて大きなくしゃみをしたときに、ねじを吐き出してしまったのだ。
そこでのび太は「今は、ドラえもんのほうがだいじだ」「自分のことは自分できめるよ」と言い、エンゼルの制止を振り切ってねじを探しに行くが、そこでばったりジャイアンに出会う。ジャイアンは先ほど野球の試合を滅茶苦茶にしたことを理由にのび太を殴ろうとするが、そこでエンゼルに気づくとのび太の手からエンゼルを外し自分の手につける。のび太はようやくエンゼルから解放されてほっとするとともに、間もなくねじも見つかり家に帰ってドラえもんと喜び合う。
翌日ドラえもんとのび太は、ジャイアンがエンゼルのおせっかいぶりに困っているのを見ても、「とったほうがいいかどうかまようなあ」と言うのだった。
ちなみに、ジャイアンは最初エンゼルを右手につけているが、最後のコマではエンゼルを左手につけている。
ゲーム作品では
『対決ひみつ道具!!』(ゲームボーイ)
ゲーム開始時点でドラえもんはほとんどのひみつ道具を失っているのだが、彼の手元に残ったミチビキエンゼルは名前通りドラえもん(プレイヤー)を導いてくれる。
原作ではイマイチ役に立たなかったが、この作品ではまともに活躍している。
『時の宝玉』(スーパーファミコン)
手にはめる道具ではなく、タイムマシンの入り口があるエリアのどこかに単独で浮かんでいる。
話しかけると次に向かうべき場所やそこへ行くためのヒントをくれる。
アイテムというより町の施設に近い。
『SOS!おとぎの国』(プレイステーション)
ミスした後に残機を教える役。
『のび太の町SOS!』(NINTENDO64)
アドベンチャー面で登場し、次にすることを教えてくれるのだが、内容が具体的すぎてヒントどころか答えを言っているに等しい場面も多い。
原作とはまた違った意味でお節介な道具になってしまっている。
『緑の巨人伝DS』(ニンテンドーDS)
補助系ひみつ道具として登場し、使用すると一定時間アイテムの場所を教えてくれる。
指示に従わないと怒るという原作再現も(ペナルティはない)。
関連道具
- みちび機
TC13巻収録「七時に何かがおこる」にて登場。
鳥居型のひみつ道具。何か悩んでいる時、その悩みを言いながらボタンを押すと、悩みを解決する為にどうすべきかが書かれた紙が飛び出して来る。
具体的な理由までは書かれていないが、一見乱暴なやり方だったとしても、その通りに従えば必ず最善の形で問題が解決する。
作中では、みちび機の指示に従ってジャイアンを蹴飛ばすと、彼の喉に詰まっていた飴が出て来てジャイアンに感謝されたり、0点を取ったことで叱られたくないのび太が使った際は「午後7時にテストのことを打ち明けろ」と指示されたので、それまで押入れに隠れているとパパの0点の答案が落ちて、それを見られたパパはのび太を叱れなかった。
- なるほどロボット
大山のぶ代版アニメオリジナルエピソード「なるほどロボット」にて登場。
自我を持つロボットで、困っていることや悩みを相談すると、それを解決する為の方法を具体的に教えてくれる(出木杉曰く「情報処理と状況判断能力に長けている」)。また、上記や下記の道具と違い、必要に応じてロボットから質問される場合もある。
作中では、のび太がホワイトデーにしずかへ用意するプレゼントをどうするか悩んでいた際、手持ちの1000円としずかの特性(お菓子作りが得意・将来のび太と結婚する)から、家庭的で女の子らしいプレゼントとして花柄のエプロンを提案した。
他にも、ジャイアンの「乙女の愛の串団子」という意味不明な歌を酷評したり、ジャイ子の「傷だらけの純情」という漫画にイケメン主人公を登場させれば良い(ジャイ子自身もそれに悩んでいた)とアドバイスした。
- カウンセリングノート
同アニメオリジナルエピソード「カウンセリングノート」にて登場。
ノートパソコン型のひみつ道具。付属のタッチペンで、何か困っていることや悩み事を書くと、解決のヒントを画面に映し出してくれる。
場合によっては若干遠回しな表現でヒントが表示されることもあるが(作中では、山に行ったスネ夫を探す際、「つづじ狩りにいく」と表示された)、最終的にはベストな解決法となり(巨大な飛行機ラジコンが壊れた為に直してもらおうとしたり、新しいラジコンを出してもらおうとしても、いずれも「正直に白状して謝る」という旨のヒントが表示された)、円満に解決することが出来る。
上記の通り、困った時に解決まで導いてくれるひみつ道具は数多く存在するが、いずれもデメリットが一切無い。その為、ミチビキエンゼルの立場を奪っていると言えるだろう。