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のび太と緑の巨人伝

のびたとみどりのきょじんでん

『のび太と緑の巨人伝』とは、アニメ映画ドラえもんシリーズの第28作。
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概要編集

2008年に公開された映画ドラえもん28作目。

また、第2期3作目にして初のオリジナル映画作品でもある。


てんとう虫コミック33巻に収録された「さらばキー坊」を原案としており、同エピソードの主要キャラクターであるキー坊に焦点を当てているが、ストーリーや舞台などは完全オリジナルとなっている。


ストーリー編集

ある日、のび太は不法投棄されたゴミの中から生えた苗木を見つける。ドラえもんが「植物自動化液」を使用し、苗木を自由に動けるようにしてあげた。その苗木はキー坊と名付けられ、やがて野比家の一員として親しまれていった。


しかし、裏山で遊んでいたドラえもん達は植物型の宇宙人が住む緑の星「グリン(漫画版の名称)」に飛ばされてしまい、そこで地球の植物を救うために人類を滅ぼす計画が進んでいる事を知る。更にキー坊は計画の要である「緑の巨人」を復活させるための生贄として攫われてしまう。計画を阻止すべく地球へ戻ったドラえもん達だったが、既に地球全土は緑に覆い尽くされていた。


果たしてドラえもん達は、キー坊と地球を救うことが出来るのか。


ゲストキャラクター編集

キー坊編集

キー坊

CV:吉越拓矢

のび太によって拾われた苗木が「植物自動化液」によって動けるようになった姿。

幼いので向こう見ずに歩き回り、迷子になったり窮地に陥ることが多い。

物語終盤ではシラーたちの手で「緑の巨人」の生贄として利用されてしまう。


リーレ編集

リーレさん

CV:堀北真希渡辺菜生子(幼少期)

緑の星の女王にして全宇宙の植物型宇宙人が集う同盟組織「全宇宙植物議会」の総長を務める少女。植物型の宇宙人だが容姿は人間に似ている。

幼い頃に両親を失った傷心とそれにより若くして総長の役職を背負う事になった窮屈さの反動でワガママな性格であり、言動もひねくれている。

全宇宙の植物星人の意見を取りまとめる使命を持っているが、上記の責任から逃れたい気持ちもあってその大任を自覚しておらず、議会ではシラーに言われるがまま発言している。


長老ジィ編集

CV:三宅裕司

緑の星に住むキノコのような老人。

老いてはいるものの思慮深い賢者であり、不思議な力を操る神出鬼没の存在。

シラーの陰謀とそれがもたらす結果を危惧しており、ドラえもん達に協力的な姿勢を取る。


シラー編集

CV:大塚周夫

リーレの代わりに緑の星の実権を握る大臣(一方でリーレが女王としての自覚に乏しいことを嘆いてもいるが)。

地球の植物を救うための遠征計画を主張しているが、それに満足せず人類を滅ぼそうと企んでおり、その為ならば同じ植物であるキー坊を「緑の巨人」の生贄にする事も辞さない過激さを持つ。


パルナ編集

CV:有田哲平

シラーの配下でグリンピア兵を率いる指揮官。


ジョーロの女の子編集

CV:松元環季

野比家付近に住んでいる幼い女の子。キー坊と仲良くなり水遊びに興じていた。

物語終盤、緑の星の攻撃で彼女が殺されたと誤解したキー坊は生まれて初めて激怒し、その怒りが緑の巨人を覚醒させてしまう。


ドラえもん映画史上に残る奇作編集

監督の渡辺歩は第1期映画シリーズから作画監督として参加しており、監督としても「のび太の結婚前夜」「おばあちゃんの思い出」など短編作品の評価が非常に高い。

前作の「のび太の恐竜2006」も評価が良く、芝山努の後継として長期監督になると思われていたが………


まず最初の綻びは藤子プロの提示した原案シナリオに監督の渡辺歩が難色を示した事だった。

原案シナリオに沿ったコミカライズ版はひみつ道具を活かしたバトルや動物と植物の共生に関する描写が多い。これに対して渡辺監督は「エコロジーをテーマにしているにもかかわらず、プロットが安直すぎるうえにキー坊が登場する意味がない」と批判している)。


なぜここまで変更点が多いかと言うと今作は第2期ドラえもんの映画で第1期のリメイク映画ではなく初オリジナル作品の点だった。

藤子プロと渡辺との間に「ドラえもん映画」とはこうであるという思いが対立した結果、きちんとした決定稿が仕上がる前に映画作業を開始した(この時点で既にきな臭い)。


しかし原案を拒否した渡辺監督も自身の思想に折り合いがつけられず、中心テーマであるはずのエコロジーの前に「戦争とは」「個人の大切なモノ」というテーマも考え出してしまい風呂敷を広げ始めてしまった。

ブレ出したテーマと監督自身も着地点を見つけられないまま完成した映画本編は抽象的なストーリー展開に終始せざるを得ず、試写会での反応も散々なものだったという。そのため渡辺監督は後に『アニメスタイル002』誌にて、本作を失敗作と評している。

渡辺監督も「二度とドラえもん映画の監督をやらないと思った」ほどに追い詰められており、実際に次作のメカデザインを担当した後にドラえもん映画から離れている。


監督自身のお墨付きまであることから、ランキングでは最下位に置かれやすい作品であり、専用のランクを作っているレビューもあるほど。

しかしレビューサイトでは好評の見方もある他、この映画はあくまでも「わけがわからない」だけ。不快感を煽ってくるタイプの映画や、華々しさのない映画よりも評価を上にしている人も結構多い。

というわけで、満場一致の最下位というわけではなかったりする。一番いいのは、自分で映画を見て判断することだろう。


漫画版編集

岡田康則月刊コロコロコミック2008年2月号・3月号の特別別冊付録に掲載され、2020年8月7日に描き下ろし30ページを加えた単行本が発売された。


映画版が複雑になりすぎたのに対し、漫画版は分かりやすく描かれている。


小学館ジュニア文庫編集

涌井学が手掛けたもので2023年11月22日に発売。


「緑の巨人とは一体何だったのか!?小説ならではの解釈で今、問い直す」のキャッチフレーズが表すように映画版と漫画版を合わせた展開が描かれ、映画版の中盤からエピローグ直前などは大部分が置き換えられており、小説であることを活かした心理描写も細かく描かれている。


関連タグ編集

映画ドラえもん キー坊 大長編映画作品

環境問題


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