概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードは藤子・F・不二雄大全集7巻収録「桃太郎印のきびだんご」。
桃の絵の上にひらがなで「きびだんご」（上記の初登場エピソード及び『竜の騎士』では「日本一」）と書かれた網袋に数十個の黍団子が入っており、この団子を食べさせた動物は必ず人間に懐き、言うことを何でも聞くようになる。
なお、映画『ぼく、桃太郎のなんなのさ』にてドラえもんはこの道具の名前の由来である『おとぎ話の桃太郎』を知らなかった事が判明した。
犬やライオン等の一般的な動物だけでなく、恐竜等の大型動物や人間にも有効（実際に上記の初登場エピソード及びTCプラス4巻収録「動物くんれん屋」では人間に対しても効果を発揮している）。ただし人間の場合は他者に食べさせた場合のみ効果を発揮し、自分で食べた場合は効果を発揮しない（TC16巻収録「宇宙ターザン」の作中にて、のび太が自分でこの団子を食べたのだが、その際は効果が表れていなかった）。
参考として、原作版以外の書籍では「人間には効果がない」と説明されていることもあれば（1991年発売『ドラえもんのひみつ道具使い方事典3』、1998年発売『最新ドラえもんひみつ百科1』）、原作版と同様に「人間にも有効」と説明及び描写されていることもあり（2001年発売『決定版ドラえもん大事典』、2013年発売『ドラえもんまんがひみつ道具百科2』）、設定が統一されていない。
原作版初期（上記の「動物くんれん屋」）における有効時間は30分だったが、『恐竜』等で再登場した際、少なくとも1日以上は効果が続くようになっている。また、宇宙ターザンでは、恐竜たちを手懐けるために使用しているが、効果は恒久的に持続している（あるいは宇宙ターザン番組終了まで秘密裏で、ドラえもんが与えていたか）。
一方で、TC17巻収録『モアよ、ドードーよ、永遠に』では、騒がしくなった動物たちに対し、のび太が「きびだんごの効き目が切れてきたかな？」と発言していることから、持続性に個体差や見た目は同じでも、持続性の差違があるのかも知れない。
また、ドラえもん曰く「どんな動物でも食べる」とのことで、TC30巻収録「野生ペット小屋」では、ドラえもんとのび太が小象に牛乳を飲ませようとした際、この道具を牛乳に溶かして象でも飲みやすいミルクにしている。
ちなみに人間が食べた際の味は、上記の初登場エピソードではしずかが「美味しい」と言っている。派生作品を含めれば、2006年版「宇宙ターザン」（水田わさび版アニメ）ではのび太が「案外美味しい」と言っており、上記の『ドラえもんまんがひみつ道具百科2』ではジャイアンが「これは美味い」と言っている。
派生作品
スピンオフ作品『ザ・ドラえもんズスペシャル ロボット養成学校編』収録「がんばれ！チビクワ」では、ドラ・ザ・キッドがコクワガタにこの黍団子を食べさせる様子が描かれている。
『ドラえもん』を題材としたゲーム作品『のび太と3つの精霊石』では、異世界の動物（地球上に存在しない生物）に対しても効果を発揮している。
『魔界のダンジョン』では消費アイテムとして登場しており、使用すると敵を混乱状態（見当違いの方向へ移動及び攻撃してしまう）にすることが出来る。それだけでなく、この作品では通常の魔物（生物）に限らずロボット（無生物）タイプの敵や幽霊及びアンデッドタイプの敵に対しても効果を発揮している。
関連道具
- おしり印のきびだんご
『南海大冒険』に登場したひみつ道具。
外観は「桃太郎印のきびだんご」と非常に似ているが、オリジナルが桃の絵に対し、こちらは尻の絵になっている。
効果もオリジナルと全く異なり、この団子を食べた動物は一目散にトイレへ駆け込んで行く。要するに下剤である。
また、上記の「桃太郎印のきびだんご」以外にも、対象を自分の思うがままに操ることが出来るひみつ道具は数多く存在する。
- オーケーマイク
マイク型のひみつ道具。
このマイクで相手に何かを命令すると、その相手に命令通りの行動を取らせることが出来る。
上記の「命れいじゅう」のライター版と言えるひみつ道具。詳細は項目を参照。
- 命れいじゅう
ピストル型のひみつ道具。
相手にやらせたいことを紙に書き、それを弾に詰めて相手を撃つと、撃たれた相手は紙に書かれた通りの行動をしてしまう。
- たましいふきこみ銃
銃型のひみつ道具。
自分の魂の半分を相手に吹き込むことが出来る。魂を吹き込まれた相手は意識を失い、自分の思い通りに操ることが出来るようになる。
魂を吹き込んだ相手の体を操って何かをやらせることはもちろん、喋って欲しい内容を自由に喋らせることも出来る。また、魂が吹き込まれた相手を運動させたり怪我させてしまったとしても、自分が痛みや疲労を感じることはない。
操っている相手が見たものを感じ取ることも可能で、作中ではのび太がスネ夫に自分の魂を吹き込み、のび太自身は空き地で昼寝をしつつスネ夫の身体を操ってジャイアンを自分の所まで案内させていた。
- シテクレジットカード
カード型のひみつ道具。
してほしいことをカードに書き込み、相手のポケット等に忍び込ませると、その相手はカードに書き込まれた内容を実行する。カードを抜き取れば効果を取り消すことが可能。
- こころふきこみマイク
マイク型のひみつ道具。
上記の「オーケーマイク」、「シナリオライター」、「命れいじゅう」の完全上位互換。
使い方及び効果はオーケーマイクとほぼ同じだが、こちらはマイクで指示した内容を相手の心に直接吹き込むことにより、上記の道具と比べて相手は指示された内容を心から実行したいと考えて行う点が異なる。
それだけでなく、相手は「道具で命令されて（道具の効果で）嫌々実行した」とは考えず「自分がやりたいと思ったから実行した」と考える為、道具で命令されたという自覚もない。
ただしマイクで吹き込んだことを相手が「実行したくない」と考えることもあり、その場合は同じ指示内容を何度も吹き込まなければならない。
- あなただけの物ガス
スプレー型のひみつ道具。
このガスを物に吹き付けると、それを自分だけの物にすることが出来る。例えば漫画にガスを吹き付けた場合、使用者以外の人間がその漫画を読もうとすると、漫画が空を飛んで逃げたりページを固く閉じてしまい、他人はその漫画を絶対に読めなくなってしまう。
また、このガスは人間に対しても有効。ガスを吹き付けられた者は使用者の傍から離れないようになり、使用者以外の人間とは必要以上に会話しなくなる。
- ペットホイッスル
大山のぶ代版アニメオリジナルひみつ道具。
ホイッスルとボタン型の受信機がセットになっており、ペットにしたい物に受信機を取り付けてホイッスルを吹くと、その物がペットになり動き出す。
上記の「あなただけの物ガス」と同様に、この道具は人間に対しても有効。ペットになった人間は使用者の言うことを何でも聞くようになるが、使用者がその人間から遠ざかろうとすると「捨てないで！」と縋り付いて来てしまう。
