概要
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』のエピソードの1つ。及び1981年の夏休みに公開された映画作品。
『小学四年生』1975年9月号の「ドラとバケルともうひとつ」(同じく藤子・F・不二雄の漫画バケルくんとの合体企画。1975年4月号から1976年3月号まで掲載)にて、全3部作として掲載された。
タイトルは、雑誌発表当時ヒットしていたダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の歌詞の中の、「アンタ あの娘(こ)の何んなのさ」という一節をもじったものと思われる。
劇場用作品ではバケルは登場しない為、ドラえもんとのび太はしずかとジャイアンとスネ夫と行動を共にし、ドラえもん以外の4人が桃太郎一行に扮する。
21エモンとの同時上映作品でもあり、ドラえもん一行が21エモンの時代に間違ってきてしまった際にニアミスするシーンも見られる。
『STANDBYMEドラえもん』が公開されるまでは映画ドラえもん唯一の夏休み映画だった。メインとなる21エモンの併映作品の位置付けのため、映画のナンバリングには含まれず、上映時間も46分と大長編に比べて短い。
ストーリー
夏休み。のび太は宿題で自分の住む町の歴史を調べることになった。そこでドラえもんは「タイムカメラ」を使い、昔の情報を集めていくが、そこで桃太郎の姿を見る。
一方、町に1人のオランダ人が現れ、家に代々伝わる写真をドラえもん達に見せるが、そこにも桃太郎の姿が写っていた。
ドラえもん達は真相を知るべく、当時の時代に向かう。
ゲストキャラクター
オランダ人
声優 - 桑原たけし
のび太のママが出会ったオランダ人。先祖代々受け継いだという写真のような不思議な絵に、日本の侍らしき人物(=桃太郎)が写っていることから、その謎を解くため日本へ来た。642年前にドラえもん達に助けられたオランダの船長の子孫(なお、1338年当時は今日でいうところの「オランダ」はまだ存在していなかった)であり、方向音痴は先祖譲りである。
オニ
声優 - 大宮悌二
鬼が島に住み、村人から人間を襲う妖怪と思われていた。その正体はオランダの船長であり、方向音痴でスペインに向かう最中に嵐で乗組員と散り散りになり、島に流れ着いた。助けを呼ぶも、当時は鉄砲伝来からはるか前の時代であった故に、ヨーロッパ人を見たこともない当時の村人に恐れられて「鬼」と勘違いされて石や竹槍などを投げられ、自分の身を守るために鬼になりすましたという悲劇がある。オランダには妻と子供がおり、恋しがっていた。
最終的にドラえもんのどこでもドアで無事故郷へ帰還。この時に桃太郎一行に扮したドラえもん達の写真を貰い、それが先述のオランダ人の家に先祖代々受け継がれる事となった。
村人
声優 - 野本礼三、西尾徳、沢りつお、井上和彦
鬼が島のそばの村に住む村人。
この作品における『全ての悲劇の元凶』と言える排他的な連中。
おじいさん、おばあさん
声優 - 加藤正之、千々松幸子
登場ひみつ道具
タイムカメラと現像機
時間を遡って写真を撮ることができるカメラで、自律飛行機能がついている。現像機はこのカメラのコントローラーも兼ねており、時間を設定して写真を撮影、その場で写真を発行する。
この物語のキーアイテムともよべる道具。
タイムマシン
毎度おなじみの時間を移動するメカで、642年前(延元2年)に飛んだ。映画ではのび太の恐竜の設定を踏まえ、整備の際にパワーアップされた事により五人乗っても平気になったことが語られている。映画オリジナル展開として間違って未来に飛んでしまう一幕も。
モグラ手袋
地中を素早く掘り進められる手袋。落とし穴から脱出する際に使用された。
モモボート
桃型の1人乗りボートで、内部には操縦席がある。
三台(映画では五台)存在し、のび太の乗ったものがお婆さんによって拾われる。
タケコプター
毎度おなじみ空中移動手段。
のび太の捜索に使われるが、飛行中に一行を鬼の仲間と誤解した村人達に投石や竹槍で攻撃されたため、やむなく付近の神社に着陸する形で以後使用されなくなる。
ボート(名称不明)
鬼ヶ島への移動に使われた。正式名称は謎。
ライト(名称不明)
鬼ヶ島にて探索を行う際に登場。こちらも正式名称は謎。
以下は原作のみに登場した、なぜそれ以外の大長編で使わなかったのかという曰くつきの兵器類。
熱線銃
「ネズミとばくだん」にも登場した鉄筋製のビルを1発で消し飛ばし煙にしてしまう恐るべき破壊兵器。鬼相手の対抗手段としてドラえもんが取り出したが当然実際に使用されることはなかった。
映画では未登場。
光線銃
銃身がラッパ型の武器で、こちらはTC7巻『石器時代の王さまに!』に実戦登場しておりマンモスを一撃で撃退するなど、一人の鬼相手としてはとんでもない威力である。熱線銃同様、原作では未使用に終わる。
そして、やはり映画では未登場。
原子核破壊砲
最早説明不要。文字通りに捉えるなら細胞核を攻撃して物質を原子レベルで分解する道具だろうか。鬼が相手とは言え、こんなガチの決戦兵器を子供に持たせるドラえもんはイカれているとしか言いようがない。
例によって、映画では未登場。他2つと違い、これだけ他の回に登場したことがないので威力は全く不明。
ほんやくコンニャク
映画版のみ登場。オランダ語の翻訳に利用される。なお、原作ではバケルがオランダ人に変身して通訳するので登場しなかった。
動物変身ビスケット
映画版のみ登場。スネ夫が犬に変身して人の匂いを辿り、村を発見するのに役立った他、これをジャイアンと静香も使用したことにより犬、猿、雉が揃うこととなった。原作ではバケル君の変身人形がこの立ち回りなため、未登場。
主題歌
オープニングテーマ「ぼくドラえもん」
作詞 - 藤子・F・不二雄 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大山のぶ代、こおろぎ'73(コロムビア・レコード)
エンディングテーマ「青い空はポケットさ」
作詞 - 高田ひろお / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大杉久美子(コロムビア・レコード)
挿入歌「ドラえもんのうた」
作詞 - 楠部工 / 作曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 大杉久美子
リメイク版
2008年3月7日放送。 題名も「ぼく、桃太郎のなんなのさ2008」となっていた。当然バケルくんは出ない他、21エモンも出てこず、果てには映画に出ていたのび太のパパもママも出てこなくなっている上に、ストーリーも一部の展開が大幅に違うなど相違点があるが、鬼の優しさが顕著になっていたり、モモボートがフルーツボートとして数種類登場し、のび太が乗ったのが桃型だったなど、これはこれで面白い1作に仕上がっている。
関連タグ
オーガポン:このポケモンが登場するポケモンSVのDLCエピソードには、本作のように「鬼の正体は日本に漂流してきた外国人」説が基になったそのエピソードのキーパーソンの一族に口伝された伝承が登場している。