いてて、やめろってば。悪かった、おれのまけだ。ゆるせ。
『かったよぼく…』
『みたろ、ドラえもん。かったんだよ、ぼく1人で。もう安心して帰れるだろ、ドラえもん。』
ここでは原作エピソード「さようなら、ドラえもん」及び映画『帰ってきたドラえもん』の前半部、『STAND BY ME ドラえもん』のクライマックス部分について解説する。「帰ってきたドラえもん」についてはリンク先を参照。
概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』のエピソードの一つ。
TC6巻収録(雑誌掲載時は「みらいの世界へ帰る」というサブタイトルだった)
描かれた経緯は「帰ってきたドラえもん」に譲るが、その事もあって、気合が違うストーリーは感涙必至。納得の感動がある。
アニメ版はいずれも後日談である「帰ってきたドラえもん」とのセットで放送されており、2009年版以外は「帰ってきたドラえもん」のサブタイトルが用いられている。
ちなみに「帰ってきたドラえもん」でも紹介されているがのび太が言った「ぼく一人の力で君に勝たないとドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!」という名言はこちらのエピソードが原典となっている。映画版とは違い、原作版では「ぼくだけの力で、きみに勝たないと……」「ドラえもんが 安心して……」「帰れないんだ!」と、3コマを使ったズーム表現で描かれており、息も絶え絶えになりながら、のび太の決意と必死さが強調されている。
ストーリー
いつものようにジャイアンから逃げ帰るのび太。ドラえもんはのび太からひみつ道具をねだられたが珍しく厳しい表情で「一人で出来ない喧嘩ならするな!」と言い、そして淋しげな表情でのび太に背を向ける。
その態度を疑問に思ったのび太から事情を聴かれたドラえもんは、近日中に未来の世界に帰らなくてはならないことを打ち明ける。
突然告げられた別れに戸惑うのび太だったがパパやママの説得もあり、渋々受け入れる。
そしてついに別れの夜がやって来る。野比家ではドラえもんへの感謝を込めた送別会が開かれた。明日にはドラえもんは未来に帰る。残された時間を大切にしたいと考えたドラえもんとのび太は「朝までお話しよう」と最後の思い出として夜の散歩へ向かう。
夜道を歩きながらも、ドラえもんはのび太のことを心配していた。ドラえもんは「出来ることなら帰りたくない。君のことが心配で…。一人で宿題をやれる?ジャイアンやスネ夫に意地悪されてもやり返せる?」と、のび太を想う気持ちを口にした。
だが、のび太の「馬鹿にするな!一人でちゃんとやれるよ。約束する!」という力強い返事を聞いたドラえもんは感涙し、その涙を見せたくなかった為に「ちょっと、その辺を散歩して来る」と言いながら、のび太の元を離れて行った。
のび太はドラえもんの心情を察し、空き地で彼を待つことにした。すると眠ったままのジャイアンがフラフラと歩いている姿を目撃する。時々寝ぼけて夜中に散歩する夢遊癖があるジャイアンは、「よくも見たな、ゆるせねえ!」と凄みながら、のび太に迫ってきた。
思わずドラえもんに助けを求めようとしたのび太だったが、途中で自分自身の口を紡ぎつつ、ジャイアンと共に土管の陰に隠れる。
のび太の声が聞こえた気がしたドラえもんは空き地へ引き返すが、のび太の姿は無い。ドラえもんはそのままのび太を探しに行ってしまい、それを見計らったのび太は…。
「喧嘩なら、ドラえもん抜きでやろう」
この言葉にジャイアンの目が獰猛に輝いた。
ジャイアン「ほほう……偉いな、お前。そうこなくっちゃ」
のび太の一世一代の戦いが始まる……!
アニメ版1981年1月3日放送分
- 冒頭でのび太がジャイアンや原作では未登場だったスネ夫たちとメンコで遊んでおり、それをドラえもんが遠くから寂し気に見つめながら帰宅
- 送別会は原作では居間で行われたが本作ではリビングで行われ、原作ではうつむいたままだったのび太もドラえもんにどら焼きを勧める姿を見せる
- 夜の散歩はタケコプターを使っての飛行となり、のび太がドラえもんに約束する場所も道路から銭湯の煙突の上に変更
- のび太がジャイアンと遭遇・ケンカする場所が空き地から公園に変更され、夢遊病状態のジャイアンをのび太がからかうシーンも描かれる
短編映画版
- 冒頭でドラえもんが「桜を観れて良かった」と呟くシーンがあり、この桜は後半で重要な意味を持たせた
- のび助の登場シーンは会社から帰宅後になっており、押し入れに閉じこもるのび太に祖母が亡くなったときもそうだったことを語り、のび太は押し入れにあったダルマを見て、ダルマのように1人で起き上がる約束を思い出し、その際に幼少時ののび太とのび太の祖母も登場する
- のび太は送別会に途中から参加し、ドラえもんとどら焼きで乾杯するシーンも描かれる
- ねむらなくてもつかれない薬は未使用
- ジャイアンの夢遊病が寝付けなかったことからの夜の散歩に変更
- のび太がドラえもんに約束する場所とジャイアンとの決闘場所が空き地から公園に変更され、決闘中に雨が降り、ジャイアンは負けを認めながらも「覚えてろ」とも発言し、こちらも後半の伏線になった
- ドラえもんがタイムマシンで帰るシーンが描かれる
アニメ版2009年3月20日放送分
- サブタイトルが原作同様のものとなる
- 冒頭において、ジャイアンがのび太に怒った理由が学校の給食でジャイアンの顔に米粒が付いたことを指摘し、原作では未登場だったしずかやスネ夫たちと共に笑ったためとされた
- ドラえもんとの別れを受け入れらないのび太は外に飛び出してしまい、追ってきたのび助がのび太を説得すると短編映画に似た展開が描かれる
- 夜の散歩が送別会を終えた直後に変更され、それに伴い、ねむらなくてもつかれない薬はカットされ、ジャイアンの夢遊病も夜の配達に変更
- のび太とジャイアンの決闘の最中に雪が再び降り始めると短編映画の雨を思わせる描写がされる
- のび太が眠ったのを見届けた後、ドラえもんがタイムふろしきでのび太の眼鏡を直す
- 机だけでなく、ドラえもんがいた押し入れも元に戻っていることが描かれる
STAND BY ME版
- これまでは不明だったドラえもんが未来に帰還する理由がのび太を幸せにする成し遂げプログラムが終わったためとされた
- 送別会と夜の散歩はカットされ、のび太とジャイアンの決闘はのび太が夕方に家を飛び出した直後に行われた
アニメ版2021年12月31日放送分
2009年版の再放送であるが「給食のシーン」と「のび太が坂を滑り落ちるシーン」がカットされた
pixivタグとして
映画『帰ってきたドラえもん』前半部や『STAND BY ME ドラえもん』クライマックス部分の原作に当たる為、これらの作品にも本タグが追加されていることがある。
ただし、現状では「さようならドラえもん」(読点が無い方)がタグとして利用されている作品が多い。
また、「のび太が自らジャイアンに挑むも傷だらけになる」というショッキングな場面と、「傷付いたのび太を前にジャイアンが負けを認める」という場面が存在する為、これらの単独シーンを表現した作品やパロディとして描いた作品にも上記のエピソードのタグが追加されていることもある。
関連タグ
ドラえもん未来へ帰る、ドラえもんがいなくなっちゃう!?:上記の「さようなら、ドラえもん」とは別に描かれた最終回。後者は日本テレビ版アニメにて映像化されている。