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概要編集

漫画「ドラえもん」のTC第20巻に収録されたエピソード『超大作特撮映画「宇宙大魔神」』の作中で主人公のドラえもんが扮する正義のヒーローの名前で、登場エピソード自体の俗称でもある。初出は小学館「小学四年生」誌1979年11月号。


なお「ウラドラマン」は作中で出木杉の作った映画タイトルでもなければエピソード名でもなく、前述の通り本来はドラえもんが演じる正義のヒーロー役の名前であるが、アニメ2期のエピソードタイトルが『SF超大作映画ウラドラマン』となっている。


名前からもわかる通りウルトラマンパロディである(デザイン的にはウルトラセブンに近いが)。なお「ウラドラ」自体は麻雀用語でもある。


また、原作漫画を多く読んだ人ならご存じだろうが、「ドラえもん」にはこれ以外にもウルトラシリーズのパロディが多く「ウルトラヒーロー」「ウルトラセブンイレブン」「ウルトラワン(体はほぼウルトラセブン)」というエピソードや誰がどこからどう見てもウルトラマンにしか見えないヒーローが登場するなど現代基準なら著作権的に完全にアウトなレベルの物があるどころか、ウルトラマンがそのまんまカードに描かれていたことまである。


このエピソードはこれまで3回アニメ化されているが、いずれも特番での放送で話数にはカウントされていない。ちなみに2020年大晦日の、わさドラ版での2度目のアニメ化の際は、何の因果か本家ウルトラシリーズの作品である「ウルトラマンR/B」のシリーズ構成も手掛けた伊藤公志氏が脚本を担当した。


pixivのタグでは、スネ夫がデザインしたしずかの没衣装(後述)にこのタグが使われることが多い。


あらすじ編集

ある日、暇を持て余し「イージー特撮カメラ」で「自分が巨大なドラ焼きの上ではしゃぐ」という内容の動画を作っていたドラえもん。

それを見ていたのび太は「このカメラで映画を作りたい」と言い出し、しずかを誘いに行く。するとたまたま同席していた出木杉が俄然興味を示した。


出木杉は以前から「8ミリで映画を撮りたい」と考えていて既に脚本も書いたという。

ドラえもんたちもそれに関心を示し、かくして「宇宙大魔神と少年レンジャー部隊の対決」を軸にしたSF映画『宇宙大魔神』の制作がスタート。


撮影スタジオはポップ地下室、ミニチュアセットの製作はポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ、動くミニチュアはラジコン粘土、空やジャングルの背景は立体映写機ひみつ道具を使用し、キャストにはスネ夫に安雄とはる夫も加わり、撮影は盛り上がっていく。


主役のウラドラマンは、ドラえもんが「僕がやる、嫌だと言うなら道具は使わせない!」スポンサー特権を行使してドラえもんがやることに決定。

宇宙大魔王の戦艦に街が破壊されて逃げ惑うシーンや、小高い丘に逃れて炎上する街を見ながら怒りと悔しさに震えるシーン(ジャイアンの被害に遭った時をイメージして演技)など、順調に撮影は進んでいた。


そんな中、「映画を乗っ取られるから絶対呼ぶまい」と誰もが言っていたジャイアンが偶然ロケ撮影の現場にいて鉢合わせする形になったため、咄嗟にスネ夫が「今撮ってる映画に主演で出てほしいと思ってた」と取り繕い、撮影に加えることに。

この時点で残る役は悪者の「宇宙大魔王」しかないのだが、誰もが「悪役なんて引き受ける訳がない」と考えたことから、主役と嘘をついてジャイアンに宇宙大魔王役をやらせることにした。


事あるごとに「ここでヒーローの俺の出番か!」と乱入しようとする彼を宥めつつ撮影を続行するが、ついに痺れを切らして怒り出してしまう(大事な用事があるため、早く帰らないと母ちゃんに怒られるとのこと)。そのため彼の出演シーンだけ先にまとめて撮ることにして、最後に倒されるシーンも「ヒーローにもピンチに陥る所がないと盛り上がらないから」と丸め込んで撮影したのだった。


コスチューム編集

スネ夫が少年レンジャー部隊の制服の衣装デザインを担当したのだが、その際、女性メンバーのしずかの制服のみ2種類のデザイン案が用意された。


撮影に採用された物は他のメンバーと同様のデザインでミニスカートのスーツだったが、最初に出されて没となったデザインはヘソ出しで露出度の高いレオタード風の物(どちらかというと悪の組織のセクシーな女幹部に近い感じ)。「ウラドラマンの力で瞬時に制服姿にチェンジする」という設定で、きせかえカメラによって皆の見ている前で着替えさせられたしずかは「キャッ、何よこれ!」と悲鳴を上げた後、怒ってスネ夫をボコボコにした。

アニメのぶドラ版アニメわさドラ版
センシティブな作品センシティブな作品
胸のパーツが丸いのが特徴胸のパーツが星形なのが特徴
原作
少年レインジャー部隊・女性用制服(初期デザイン)
胸のパーツが星形、グローブとチョーカーが黒くブーツが白い

スネ夫曰く「だってSFによくそんなのあるじゃないw」とのことだが、スネ夫は一体どんなSF作品を観ていたのだろうか。

ちなみにのび太の感想はというと「あれはあれでいいと思うけどな」とのことで、これにはドラえもんや出木杉たちすらも全員納得するほど。


劇中キャスト&スタッフ編集

監督・脚本・演技指導及び少年レンジャー部隊隊員 - 出木杉

衣装デザイン及び少年レンジャー部隊隊員 - 骨川スネ夫

撮影機材提供及びウラドラマン - ドラえもん

人材スカウト(ジャイアン以外)及び少年レンジャー部隊隊員 - 野比のび太

少年レンジャー部隊隊員 - 安雄はる夫

ジオラマ作成及び少年レンジャー部隊女子隊員 - 源静香

宇宙大魔王 - ※ジャイアン

宇宙大魔王の手下及び宇宙戦艦など - ラジコン粘土で作成した人形を使用


※彼自身は何の役かを把握していない。

アニメ版ではこれに加え、数名のモブの子供たちも少年レンジャー部隊の隊員役で出演している。



最後編集

映画製作は無事に終了したが、当然ジャイアンに見せられる訳がないので、ドラえもんたちは彼に内緒で試写会を始める。当の映画自体もなかなかいい出来だった。


しかし内容がクライマックスに差しかかった所で、「なんで俺を呼ばないんだ!」と目ざとく見つけてきたジャイアンが怒りの形相で押しかけてきて、一緒に試聴を始めてしまう。

そして最後まで観終えたジャイアンは騙されて悪役をやらされていたことを悟り、


  • 「殺してやる!」(原作)
  • 「許せ~ん!」「今度会ったらギッタギタの目に合わしてやる〜!」「覚えてろ〜〜!」(のぶドラ版)
  • 「てめえら、全員」「ぶっ飛ば~~すっ!」(わさドラ版1回目)
  • 「お前ら~!」「ギッタギタにしてやるーっ!」(わさドラ版2回目)

と涙を流しながら怒鳴った。しかし他の面々はとっくに逃亡しており、誰もいない部屋に一人残された彼は、ぶつける宛てのない怒りに暴れ回るのだった。

ドラえもん一行に都合の良いように利用されて無碍に扱われる理不尽な仕打ち(しかも誰にも公平に接する出木杉にすら)をされた為、怒り狂うのは正当であろう。ジャイアンによくいじめられるのび太らだが、結局はどっちもどっちである。



アニメにおける原作との主な相違点編集

のぶドラ編集

1991年1月4日の正月特番「お正月だよ!ドラえもん」内で放送。

  • サブタイトルは『SF超大作ウラドラマン』。
  • 映画のタイトルが『-S・F- ウラドラマン』になった。
  • ドラえもんがウラドラマンを演じることになったのはしずかの推薦で、他の子供たちも納得していた。
  • 出木杉は終始監督に撤し、映画には出演していない(逃げ惑うシーンの撮影のみ出演している)。
  • 少年レンジャー部隊の制服のカラーリングは、上が黄色で下と襟周りが水色。
  • 宇宙大魔王の戦艦と城のデザインがをモチーフとした物になっている。
  • のび太たちがお互いのことを、珍しく褒め合う描写があった。
  • ジャイアンに見つかってしまい、出演依頼で誤魔化す際にジャイアンが「もちろん俺が正義の味方だろうな?」といつもの図々しさを発揮して自分から主役を名乗り出る形に変更。
  • 試写会場はポップ地下室のスタジオ内で行われ、映写前にどこからか試写会の事を聞いたらしいジャイアンが上機嫌で現れ、スネ夫が咄嗟に特別席と称して自分の座っていた座布団を差し出す展開になっている。
  • 原作ではいつの間にか姿を眩ましていたドラえもんたちが、こっそり逃げるシーンを追加。
  • 原作同様に、宇宙大魔王に拉致されたしずかを、少年レンジャー部隊の他のメンバーが助けるシーンがない。


わさドラ版(1回目)編集

2008年3月21日の特番「ドラえもん 感動の映画3時間スペシャル」内で放送。試写会場は原作に準じている。

  • サブタイトルは『特撮ウラドラマン』。
  • 映画のタイトルが『宇宙大魔王』になった。
  • このバージョンのみ、イージー特撮カメラが「イージー特撮ビデオ」という名称。
  • このバージョンのみ、ドラえもんは台本を読みながら演技をしている。
  • 少年レンジャー部隊の制服のカラーリングは、水色の地に黄色(しずかのみ赤色)のアクセント。
  • 宇宙大魔王の拠点の惑星に乗り込む少年レンジャー部隊の宇宙船に「グランドアーク号」という名前がつけられているほか、少年レンジャー部隊が操縦する船内のシーンや、宇宙船が宇宙大魔王の拠点の惑星から攻撃されるシーンも加えられた(このシーンでは出木杉は艦長席に座っている)。
  • クライマックスは宇宙大魔王と同サイズに巨大化したウラドラマンが駆けつけ(前のバージョンでは等身大のまま)、激闘の末に少年レンジャー部隊全員が結集したエネルギーを拳に受けてウラドラパンチを放ち、宇宙大魔王を倒す。
  • 宇宙大魔王が高笑いするシーンが映画の冒頭でも使われ、より悪役らしさが出ていた。
  • ジャイアンは前バージョン同様に映写前に押しかけるほか、その場面と怒りの形相がより迫力のある物になっている。
  • 映画シーンが約8分と、一本のアニメ本編の尺をかけてノーカットで上映。
  • 宇宙大魔王の手下の怪物が喋っており、宇宙大魔王は拉致したしずかを食べようとする際にケチャップマスタードをかけるシーンが追加された。

わさドラ版(2回目)編集

2020年12月31日の年末特番「大みそかだよ!ドラえもん1時間スペシャル」内で放送。サブタイトル及び映画のタイトルは原作に準じている。

  • 宇宙大魔王の城のシーンで立ちこめる霧をドライアイスで表現する、ミニチュア製造カメラで作成されたセット用のミニチュアに質感を出すためのウェザリングを施す、宇宙大魔王の戦艦の攻撃で街が破壊されるシーンで三味線(特撮用の発火スイッチの一種)を駆使するなど、スネ吉直伝のジオラマテクニックを見せるスネ夫に他の子供たちが感心するシーンがある。
  • 少年レンジャー部隊の制服のカラーリングは、オレンジ色の地に赤色のアクセント。
  • ドラえもんのアドリブのセリフがやたら長く、他の子供たちに突っ込まれる。
  • しずかの没衣装のシーンがカットされているほか、正式採用された衣装もスカートの下にグレーのタイツが付いた(原作やアニメのこれまでのバージョンでは生足)。
  • 前バージョン同様に映画の冒頭にも宇宙大魔王の高笑いのシーンがあるが、撮影の際に「宇宙大魔王が戦艦内の玉座に座っているシーン」とより具体的に表現された(もちろんジャイアンに対しては「悪者のアジトを宇宙戦艦で攻撃するシーン」と称している)。
  • 宇宙大魔王の衣装を着たジャイアンが、しばらく怪しみながらもダークヒーローか、俺様にピッタリだな!」と上機嫌になるシーンがある。
  • クライマックスの宇宙大魔王と少年レンジャー部隊の決戦シーンでは、少年レンジャー部隊のメンバーが背中に装着するロケット型の飛行ユニットを使用している(原作及びアニメのこれまでのバージョンではタケコプターを使用)。
  • 試写会場はスネ夫の家のシアタールームで行われ、ジャイアンの乱入後にはスネ夫が咄嗟にジャイアンを最前列に座らせた後、全員がこっそり逃げている。




備考編集

キテレツ大百科」にも内容・展開が酷似した『宇宙怪魔人』というエピソードがある。こちらでは発明品の一つ「夢幻灯」を用いており、コロ助がロボットヒーロー・グランコロに扮し、ブタゴリラ「正義のヒーロー・スーパー仮面の役」と丸め込んで宇宙怪魔人役を演じさせていた(なお共に扮装は自作である)。

宇宙怪魔人に捕まり食べられそうになるヒロイン役はみよ子が演じたが、彼女は最初は「地球を守るために大暴れする変身ヒロイン物の主人公」をやりたがっていた。また悲鳴を上げて怖がる演技が大根すぎるため、撮影の際はコロ助が毛虫を見せて悲鳴を上げさせていた。

バトルシーンではコロ助演じるグランコロのいきなりの跳び蹴りにブタゴリラが激怒、「これは映画ナリ!」と必死に叫ぶコロ助を追い回した挙げ句のしかかって「どうだ、正義はいつも勝つのだ!」と言いつつボコボコに叩きのめし、キテレツが撮影しながら「困ったなぁ。正義のロボットが逃げてちゃ見せ場が台なしだ」と呆れつつ「一応このまま撮っておいて、後で考えるか」と呟いていた。

最後は「ドラえもん」とは一味異なり、ブタゴリラが自分が主役と思い込んだまま率先して試写会に他の子供たちを誘うが映画の内容を見て大激怒、キテレツ&コロ助と殴り合いの喧嘩になり、それを他の子供たちが「あっ、こっちで続きをやってる」とのんきに見ているという物だった。


そしてこちらの初出は「こどもの光」誌1976年5月号で、実はこちらの方が先だったりする。またこのエピソードもアニメ化されている(1988年5月15日放送の第8話『宇宙怪魔人ブタゴリラ』で、こちらも「ドラえもん」より早い)が、アニメでは以下の違いがある。

  • 映画の話を聞かされたみよ子が、ノリノリで自作の変身ヒロインの扮装をしてくるシーンがある。
  • 主役と思い込まされたブタゴリラの演じるヒーローの名前が「マスクメロン」に変わっている。またコロ助を追い回した挙げ句のしかかって叩きのめすシーンが、転んでうつぶせに倒れたコロ助に馬乗りになる形に変わっている。
  • 最後が「ドラえもん」と同様に、ブタゴリラに内緒で試写会を始めた所にブタゴリラが「ひどいじゃんか。主役の俺をおいて上映会やるなんて」と押しかけてくる展開になっている。その後の喧嘩のシーンも、「許さねぇぞ!」と怒鳴るブタゴリラからキテレツ&コロ助が周りに「(映画の)続きじゃないよ!」「そうナリ!助けてくれナリ!」と助けを求めつつ逃げる形に変わっている。

他に「ポコニャン」にも『けっさく映画をつくる』という似たようなエピソードがある。こちらはポコニャンがガラクタから作った映写機能つきのビデオカメラが出てくる話で、ヒヒ山はこれで自分を主人公にした「マッチ売りの少女」のような映画を撮ろうと考えてラッキョに撮影してもらうが、ちょうど近くで火事が起きるなど偶然に偶然が重なった結果「放火魔が捕まるまでのドキュメンタリー」のような映画になってしまい、ラッキョは怒ったヒヒ山にボコボコにされる、という内容だった。


関連タグ編集

ドラえもん

ドラえもんのエピソード一覧

ウルトラマン


マットアロー1号発進命令…同じウルトラマンをモチーフにしたDAICON FILM作品。ちなみにウラドラマンの約4年後発表である。


関連リンク編集

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