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概要

藤子・F・不二雄原作の漫画『ドラえもん』のエピソードの一つ。長らく、「小学四年生」1971年3月号にしか掲載されていなかった貴重な最終回の一つであったが、現在は「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん」第1巻に収録されている。

また、他の最終回と違って映像化はされていない。


ちなみに、このような最終回が描かれたのは、1971年当時は「小学五年生」「小学六年生」に『ドラえもん』が連載されていなかったためである。その翌年の「小学四年生」3月号に、同じ最終回である「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」が掲載されたのも同じ理由による。


ストーリー

ある晩、のび太が寝ているとざわざわと物音がし始めた。

物音に気付いたのび太が顔を起こすと、人が壁をすり抜け部屋に現れるという光景を見た。


翌朝、昨晩の光景は夢だったのかと思いながら一階に降りると、ママから呼びつけられて壁に落書きがしてあったことを叱られるが、のび太は落書きの件は全く知らないので否定する。

今度はパパがマージャンの大会の優勝賞品のライターが無くなったと騒いでやってきた。


3人は「この頃いろんなものがよくなくなる」と顔を見合わせており、その様子を浮かない顔でドラえもんが眺め、「とうとうこの辺にも現れたか」とつぶやく。


その後、ドラえもんとのび太がおやつのどら焼きを食べようとするも、ドラえもんはやっぱり浮かない表情で悩んでいる。

その時、壁の中から見知らぬ子どもがドラえもんのどら焼きを盗み取って壁の中に消えていくのをのび太が目撃する。


のび太はその様子に驚くが、今まで黙り込んでいたドラえもんが突然顔色を変えてのび太に「もし自分がいなくなっても一人でやっていけるか」と問いかける。その問いに対してのび太は、「君がいなくちゃダメ」だと自信なく返す。


直後、見知らぬ人たちがどかどかと部屋の中に入り込んできた。

その人たちを連れてきた男は未来世界の時間観光旅行会社のガイド・カバキチカバタと名乗る。

ドラえもんは、「(過去の人間に迷惑をかけないように)人目につかないように観光するのが規則」だと注意するも、ガイドは「それじゃお客は満足しなくなってきた」とヘラヘラと返した。


観光客はガイドの指示で勝手にのび太の家を歩き回り、のび太たちは慌てて止めようとするも観光客は四次元移動で動いている為壁の中を行ったり来たりしてなかなか捕まえられない。


そして、ママが庭で洗濯物を干していると突然ママの体が浮かび上がり物置の方へ誘導される。

物置の陰から男が現れ、下宿させてもらうと要求する。

ママは断ろうとするも、男は銃を取り出してママに突きつける。


一方、他の観光客は入浴中のパパを貧相な体だとなじりつつ勝手に眺めたり、とある金持ちの男は一方的に金(おそらく未来のお金)を差し出してパパの着替えの服を持ち逃げしたり、カップルが家の柱に落書きしたり、親子連れがのび太のノートを見てボロクソにけなすとやりたい放題のはた迷惑な行動をとる。


そして、先ほどママに下宿を要求した男がピストルを片手に再び現れる。

ガイドは、「さすがにピストルはやめなさい」と注意するも、男は怒り出して自分は全国指名手配犯の殺し屋・ジャックであることと未来世界で逃げ場が無くなったので過去の世界に逃亡してきたことを明かし、観光客や野比一家を皆殺しにすると脅迫してきた。


だが、そこにタイムパトロールがやってきて殺し屋ジャックを気絶させて逮捕していった。


観光客や殺し屋が未来世界へ帰っていったことで家は再び静かになるが、のび太は今回の一件で「時間観光旅行なんて迷惑だ」と憤慨する。

そこにのび太の子孫のセワシがやってきて、タイムマシンで旅行する人が増えて過去の人間に迷惑をかけることが多くなったから、今後一切の時間旅行を禁止する『時間旅行規制法』が制定されたことを伝える。


無論、その法律はドラえもんにも適用されるのでドラえもんも未来へ帰らないといけなくなる。


のび太は慌ててドラえもんを引き留めようとするも、ドラえもんは厳しくのび太を一喝しつつセワシとともにのび太の成長をほめた。


「ぼくが来たころからみると、ずっとましになっているからね。」

「そう、元気になったし、からだも強くなった。頭もすこーしはよくなった。」


やがて、引き上げの合図がのび太の机の引き出しから鳴ったため、ドラえもんとのび太の別れの時がやってきた。

のび太はドラえもんの手を握って別れを告げるも、帰る直前になってドラえもんは抑え込んでいた悲しみを爆発させるように泣いて暴れだした。


「いやだぁ」

「のび太くんとわかれるのはいやだあ」


セワシは慌てて暴れるドラえもんを押さえつけて引き出しの中に戻って未来へと帰っていった。

のび太は、ドラえもんがいなくなった部屋で一人彼の名をつぶやく。


後日、机で宿題をしていたのび太は机の引き出しを開けて、ドラえもんのことを思い出していた。


つくえの引き出しは、ただのひきだしにもどりました。でも……、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。


その他・余談

このエピソードはあまりにも後味が悪い結末のため、現在に至るまで一切映像化はされておらず、されたとしても大幅な改変が行われる可能性がある、と指摘される事がある。

また、水田版では「のび太くんさようなら! ドラえもん未来に帰る…」という非常によく似たサブタイトルの話が存在しているが、この回は「ションボリ、ドラえもん」、「ハツメイカーで大発明」の話を統合させたもので、本記事の最終回とは一切関係無い。


本エピソードは現代的に言えば観光公害(オーバーツーリズム)をテーマとして扱った作品といえる。

観光客の「旅の恥はかき棄て」と言わんばかりの身勝手な行動が現地の環境やその場で生活する人々の日常の安全を脅かし、当人が築いた努力や絆が、全く無関係の第三者の気まぐれな(下手をすれば悪気の無い善意の)行動によって壊される、という状況は現実でも十分にありえる事である。似たようなことは300年前にあった

その意味でも本作の内容は、現代でも十分に通用する……というか、むしろ現代の方が痛烈な皮肉や社会批判として通用しうるかもしれないと言われる事がある。


関連タグ

ドラえもん ドラえもんのエピソード一覧 バッドエンド


さようなら、ドラえもん:最終回エピソード

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