概要
「オーバーツーリズム」とは、観光客が特定の地域に過剰に集まることで、地域住民や自然環境に悪影響を及ぼす社会問題。
観光公害とも訳される。
イタリア、ギリシャ、フランスなど欧州の都市でしばしば問題になっていたが、近年は円安による訪日外国人(インバウンド)の増加で、日本でも深刻化している(特に京都や鎌倉)。
解説
観光地の経済は観光客が来てくれなければ成り立たないが、キャパシティ以上の観光客が押し寄せてしまうとパンクしてしまう(人混みや交通渋滞、トイレの長蛇の行列など)。ましてや、観光と無関係に生計を立てている人々が普通に生活している農村や住宅街だと、よそ者や外国人が押し寄せること自体が不快に思われがちである。
日本においては、街角にごみ箱が異様に少ない、通勤ラッシュの満員電車、鉄道車両に荷物スペースが無い・有料など、諸外国では考えられないインフラの貧弱さという要因もあり、駅や電車内で大荷物を抱えて右往左往する外国人客が冷たい目で見られてしまうことも多い。
たとえ日本人だろうが観光地でも無い場所に物見遊山のよそ者が大量に押し寄せたり、私有地に侵入したりする者が出れば軋轢が生じうる。聖地巡礼などで訪れたオタクが人家を覗く、無遠慮に写真を撮るなどの観光公害が発生することがある。
行政による対策として、国は入国者への「国際観光旅客税」の徴収、各地の地方自治体は宿泊客への「観光税」を徴収することで、観光インフラを充実させるための財源に充てることにしている。現在の観光税の徴収水準は観光客を十分に減らすほどの額ではないが、財政難に苦しむ京都市は「1泊1万円」の観光税を打ち出し、オーバーツーリズムの削減と、一般財源への流用(かつての大型公共事業の負債の穴埋め)を狙っている。