概要
交通機関が発達した現代とは異なり「東海道中膝栗毛」など「旅行」という経験がそれこそ希少であった時代、 旅慣れていない庶民に対して、旅においての失敗は決して恥ずかしくはないよ!というある種の励ましの意味合いが含まれていた。
- 転じて、恥知らずな言動を行った者自身が使う開き直り、あるいはそれを垣間見た第三者からの皮肉。
現在においては後者の用法の方が多くなっている。本稿では後者の意味において記す。
事例
日本
日本では戦後の高度経済成長期より長らく団体旅行が主流だったということもあり、行楽シーズンになると温泉などの観光地で身内ノリ全開の乱痴気騒ぎを繰り広げる集団がそこかしこに見られていた。
下手に金を持ってしまったバブル期には、その調子で海外旅行にも繰り出すようになり世界各地に恥を振り撒いたほか、ブランド品を買い漁るなど絵に描いたような成金も現れて一層横暴に振舞ったと伝わる。
中国
日清戦争の前夜である明治時代、当時「東洋一の堅艦」と畏怖された戦艦「定遠」「鎮遠」が修理のために長崎に寄港(ドイツから輸入したはいいが、艦だけで整備できるドックが国内に無かった)した際に、無断で上陸した数百人の水兵が棍棒や刀剣を片手に市内で窃盗や暴行に走って警官や地元住民と衝突し、死傷者多数を出すという事件を起こしている(長崎事件)。
「恩を仇で返す」とはこのことである。
時は流れて2010年代、改革開放政策を経た急激な経済成長を遂げて裕福な民間人が増えると、かつての日本人の後追いをするかのように世界中に繰り出し狼藉を働くようになっている。
「爆買い」というワードが広まったのもこの頃。文化の違い(?)からか、日用品なども大量に買い占めたり、下手をするとそれを元手に商売を始める(事実上の「転売ヤー」)といった、よりアグレッシブな輩も現れ、「ありがた迷惑」にも程がある状況を呈した。
ついでに、「小便座で大をする」とか「『金欠になったから』とホテルのロビーに居座り寝起きしようとする」といった奇行と言える域の言動も一時期はかなり報告されていた。
イギリス
時は幕末、「大名行列が通る際には下馬して道を譲らねばならない」という日本の常識を理解しないイギリス人4人が、薩摩藩の一行に掻き捨てならぬ切り捨てにされた一件が有名である(生麦事件)。
この件は二国間の武力衝突の引き金にまでなっており、「滞在先の人間を怒らせるととどうなるか」の反面教師として現在まで語り継がれている。
十字軍
そもそもが宗教戦争の名を借りた侵略という側面が色濃くあるのだが、聖地エルサレムの各遺跡には遠征軍の残した落書きが壁一面に残されており、その大義名分すら碌に信じられていなかったことを後世に伝えている。