概要
古くより「人間は意図してかせずにかは問わず、単に迷惑な行為から社会全体に破滅的影響を及ぼす行為まで様々な愚行を繰り広げる」ことをテーマにした作品は数多く作られてきており、特にどの作品が「人間は愚か」という言葉の原典であるかは確認しがたい。アニメなどの感想において「人間は愚か」という言葉は以前より時折用いられていたが、特にこの言葉がSNS等での感想中に頻出したのが2021年冬アニメの一作として話題を席巻した『PUIPUIモルカー』である。
『モルカー』において、
信号待ち中のながら運転で渋滞を引き起こす(第1話)
飼いネコを炎天下の車内に放置する(第3話)
ゴミをモルカーに食べさせる (第4話)
……などなど、自動車・交通マナーをめぐってトラブルを引き起こす人間キャラクターが多く登場したことから、視聴後の感想の中に「人間は愚か」という言葉が頻繁に見られた。
愚かな登場人物に対して憤るものから、現実の人間社会を振り返って嘆くもの、
「モルカーちゃんごめんね……愚かな人類は滅ぶね……(泣)」
「でもモルカーは人間が好きだから、人類が滅亡したらプイプイ泣いちゃうんだろうな……」
と、放送中さまざまな反応があった。
モルカー世界の人間
上述のメインテーマとなる人間を除いても、警察の出動がやたら早い(犯罪対処に手慣れている)、「ポイ捨て禁止」と立て看板が掲げられている場所にゴミが山積みになっているなど治安の悪さが垣間見えたこともこうした評価に拍車をかけた。
しかし、明確にトラブルを引き起こしたりモルカーに迷惑をかける人間が登場したのは主にシリーズ前半までであり、作品全体としては「愚かな人間も愚かでない人間もいる」といったテイストでまとまっている。
そのためネット上での「人間は愚か」という反応も、シリーズが終盤へ向かうにつれ鳴りを潜めていった。
現実世界の人間への問いかけ
中盤から終盤にかけては画面越しの我々に対し悪意を問う展開も見られた。
シロモショックを受け視聴者はゾンビと化したシロモを哀れみ、「早く治ってほしい」といった感想を抱いた。しかしシロモはその後の回でゾンビの姿のまま日常を過ごし、他のモルカーも彼を恐れたり避けたりはしない。無意識のうちに姿で差別していたのは我々人間だったのではないかと己を見直す人もいたとか。
10話の予告では痛車に改造され泣くアビーが写し出されたことにより、運転手への憤りを表明する視聴者もいた。しかし(アビーの思い通りとはならなかったとはいえ)運転手はアビーのことを可愛がっており、痛車への改造も愛車だからこその行為であった。それに、ネタバレとなるので詳しくは書けないもののアビーも「ヒーロー」と呼べる活躍を10話でした。オタクへの差別心、また「ステレオタイプのヒーロー像」を視聴者が持っていたのではないかと問いかけているという考察もある。
Pixivにおいて
上記作品に限らず、トラブルメーカーの登場する作品や人間の愚かさが垣間見える作品に対してタグが付けられている。
余談
モルカー放映とほぼ同時期に映画がやっていた事や、その作中での一部の人間キャラクターのやらかしとその結果最悪のヴィランが誕生するという惨状。そして作中描かれファンの間にも浸透していた人間など矮小な虫けらで偉大な怪獣達の足元にも及ばないという思想と上手く噛み合った為か、アメリカの怪獣映画シリーズモンスターバースシリーズの界隈においても一時期多様された事がある。
しかし、その前作にて自然や地球に大損害を与える引き金を引いたのはこの単語を言う側であろう人間というのはなんとも皮肉だろう。
関連タグ
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