概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC7巻収録「帰ってきたドラえもん」。
ドラえもんが22世紀に帰ってしばらく経った後、野比のび太は骨川スネ夫とジャイアンの「ドラえもんの姿を見た」というエイプリルフールの嘘に騙される。
その時のび太は、ドラえもんが帰る直前に置いていったドラえもん型の箱と言われた事を思い出した。
「ぼくが行った後で、我慢出来ない事があったら、これを開け。その時、君に必要な物が出てくる」
のび太がそれを開けると、「ウソ800」という薬とその効果が書かれたメモが入っていた。メモによると「これを飲んでしゃべると、しゃべったことが全部ウソになる」効果らしい。
そしてそれを飲んだのび太が、ジャイアンとスネ夫の前で「今日はいい天気だ」と言うと突然の土砂降りで2人はずぶ濡れになる。さらに「君は犬に噛まれない」と言われたスネ夫は野良犬に激しく追い回され、「君はね、ママに褒められるね。嫌というほど」と言われたジャイアンはカンカンな母ちゃんに「やめろよ母ちゃん、暴力反対！いでで…」と訴えながら引きずられていった。のび太は見事2人に仕返ししたのであった。
しかし一時的に気は晴れたものの、やはり寂しさが込み上げてきた。家に帰ったのび太はママに「ドラちゃんいた？」と聞かれるも、「ドラえもんがいるわけないでしょ」と返す。
「ドラえもんは帰ってこないんだから」、「もう、二度と会えないんだから」と寂しさ紛れに独り言を呟き、自分の部屋の扉を開けた瞬間、のび太にとって予想外の出来事が起きた。
部屋の中には正真正銘のドラえもんがいたのだ。
「実に不思議なんだけど、急にまたこっちに来てもいい事になった」と言うドラえもんだったが、部屋に転がっていた「ウソ800」の空容器を見て、理由を把握した。「ウソ800」の効果がまだ続いていた為に、のび太の何気ない独り言が奇跡を起こしたのだ。
嬉し泣きしてドラえもんを抱きしめつつも、
「嬉しくない！これからまたずうっとドラえもんと一緒に暮らさない！」
（訳：嬉しい！これからもずっとドラえもんと一緒に暮らしたい！）
とウソを言って喜びを表すのび太。こうしてドラえもんとのび太は再び一緒に暮らす事になったのだった。
ちなみに原作版では上記の通り、ドラえもんは何故のび太の元へ戻って良いことになったかは当初分かっておらず、飲み干したウソ800を見て状況を理解しているが、劇場版では、帰る時点でウソ800の効力によるものだと把握していた事に変更された。また劇場版では上記の台詞に加えて「ぜったい別れたい！」（絶対に別れたくない）、「ドラえもんなんて大っ嫌い！」（ドラえもん大好き！）と言っている。
効果
これを飲んで喋ったことは全て嘘になる。言い換えれば喋った内容と反対のことが即座に実現する。原作版では実現させた内容を取り消す方法は不明だが、劇場版では「今のは本当」と言えば取り消すことが出来る仕様になっている。
効果はそれだけだがひみつ道具の中でも破格の効果を持つ代物と言える。上記の通り、作中では未来へ戻ったドラえもんを現代へ呼び寄せている。このことから分かる通り、ウソ800の効果は時間を超えて作用する。それどころか何らかの理由で現代に滞在出来なくなったドラえもんが、再びのび太の元で暮らせるようになったほどである。
喋った内容と反対のことが実現するということは自分が実現させたい願望と反対の内容を喋り続ければあらゆる望みを叶えることも可能。だが、この道具を手に入れたのび太は「ドラえもんが帰ったなんて、僕にとっては一番残酷なウソだ。あいつら、許せない！」と怒りを見せながらも最終的にはジャイアンとスネ夫に軽い仕返しをしただけであり、乱用等は一切していない。
本作を基にした短編映画のラストにて、ジャイアンとスネ夫が謝罪に来たのは作中でははっきりとは描かれなかったものの、二人の嘘に騙されて傷つくのび太を慰めた源静香に叱られたこともあるであろうが何よりものび太の情けがあったからこそ、自分達の行いが一線を越えていたと反省できた結果と言える。
参考として『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』では、ウソ800には「森羅万象強制逆転エキス」が含有されており、この成分によって服用者から「うその指令」が発せられ、宇宙のあらゆることに対し、服用者が話した内容と反対の出来事が起こると解説されている。ちなみに同書によればウソ800の有効時間は75分間との事。ただし効果が切れた後も、実現させた内容は取り消さない限り永久に続く（実際にドラえもんはその後のエピソードでものび太の元を去っていない）。
一方であべこべに言わないといけないため非常に調整が難しく、上記のシーンでもし「ドラえもんと暮らしたい」と口走ってしまったらドラえもんは再び帰ってしまう可能性さえあるなど言葉を真意とは真逆にいうからこそのデメリットを持つ。
言った言葉自体が嘘と見做されるために本当の出来事にしてしまう道具「ソノウソホント」と比べると若干扱いづらいと思われる
余談
公式書籍でもこの道具の性能について触れられており、「他の道具が必要なくなる究極のひみつ道具」、「ドラえもんの存在さえ脅かしかねない危険な道具」と紹介されている。
名前の元ネタは嘘八百から。この言葉は昔からある（八百とはあまた、甚だという意味）。
関連タグ
地獄先生ぬ～べ～：このエピソードをオマージュした展開がある。
