ここでは『ドラえもん』のひみつ道具について記述する。『侍戦隊シンケンジャー』のアヤカシについてはアベコンベ(シンケンジャー)を参照。
概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC4巻収録「アベコンベ」。
矢印が繋がった棒のような外観で、これで触った物は働きや性質、外見等が逆転する。
使用用途に困っていたドラえもんが珍しくのび太に相談しており(実際にのび太は作中で色々なひみつ道具を上手く活用している)、ドラえもんは「捨てたほうが良い」と酷評していたが、のび太は「上手く使えばきっと役に立つ」と述べている。
実際にドラえもんとのび太が出鱈目に使用していくと、
- 消しゴムで消せばノートが汚れる
- 扇風機から熱風が出る
- 物干し竿の真上のみ雨が降る
- タバコが吸えば吸うほど長くなる
- 掃除機がゴミを逆噴射する
- 髭剃りで髭を剃ると髭が伸びる
- 冷蔵庫から熱風が出る
- 風船が鉄球並みに重くなる
- 車を持ち運びながら走る
- ドラえもんの頭部が真逆になり挙動不審になる
- 警官が泥棒に追いかけられる
- 金魚鉢に猫が入り、金魚が歯をむき出して追いかけてくる
- 犬が人間の散歩をしている
- のび太の頭が良くなる
- 鉛筆削りに入れた鉛筆が伸びる(2010年版)
- スネ夫の髪型が真逆になる(同上)
- ジャイアンが殴られたがる(同上)
等の効果が見られた。
実際にのび太が言った通り、上記の中には有用な逆転効果が表れている。勉強が苦手な人に使用すれば誰でも頭脳明晰になれるし、消耗品の場合は使用すればするほど逆にストックが増える為(上記の初登場エピソードでは、アベコンベで触れた煙草をのび太のパパが吸った際、煙草は短くなるどころか逆に長くなっていく様子が描かれている)、消耗品の節約にもなる。
それだけでなく、上記の通りドラえもんもアベコンベの影響を受けている為、この道具は22世紀の技術で開発されたロボットに対しても効果を発揮する。
ただし頭を差されたドラえもん・のび太・スネ夫で逆転効果が異なる為、どのように逆転するかはランダムらしい。下記の通り、自分の狙い通りの効果が表れるかどうかは作品によってブレがあり、「のび太を天才にする」という行為は、上記の初登場エピソードではドラえもんの狙い通りになったが、「天才のび太の飛行船ゆうえんち」では偶然が生み出した結果になっている。
派生作品
大山のぶ代版アニメオリジナルエピソード「リトマス人生試験紙」では、アベコンベがひみつ道具に対しても効果を発揮する様子が描かれている(原作版ではひみつ道具に対して使用したことはないが、上記の通り22世紀の技術で開発されたドラえもんはこの道具の影響を受けている)。
作中では、口に咥えて何か質問をすると、赤色か青色を表示してその質問の結果がどうなるかを教えてくれるひみつ道具「リトマス人生試験紙」が登場する。
良い結果なら青色が表示され、悪い結果なら赤色が表示されるのだが、ドラえもんがリトマス人生試験紙に対してアベコンベを使用すると、試験紙の効果が真逆になった(良い結果なら赤色が表示され、悪い結果なら青色が表示される効果になった)。
すなわち大山版アニメにおけるアベコンベは「ビッグライト」を「スモールライト」として活用したり(逆も然り)、「連発型不運光線銃」(この光線を浴びた人は不運な出来事が連続して起こるようになる)を「連発型幸運光線銃」にする等、あらゆる可能性を秘めた道具と言える。
水田わさび版アニメオリジナルエピソード「天才のび太の飛行船ゆうえんち」では、アベコンベがキーアイテムになっている。作中では、偶然頭を触ったことで天才になったのび太が、ドラえもんの誕生日を祝う為に飛行船遊園地を設計し、そこでドラえもん達が冒険を繰り広げるエピソードになっている。
このエピソードにおけるのび太は、アベコンベで天才になっていた時の記憶は無い(上記の原作エピソードにおけるのび太は、天才になっている間の記憶は失われていない)。ドラえもんがもう1度アベコンベでのび太を天才にしようとしたのだが、原作エピソードにおけるドラえもんのようにのび太の頭部が逆になってしまった(ただしのび太が挙動不審になることは無かった)。その際、ドラえもんは「(差す)角度が違うのかな?」と述べていた。
関連道具
- あべこべクリーム
軟膏型のひみつ道具。
「Abekobe」と書かれたクリームで、これを塗ると熱い物に触ると冷たく感じ、冷たい物に触ると温かく感じるようになる。また、暑い場所にいると寒く感じ、寒い場所にいると暑く感じるようになる。それだけでなく、ドラえもんのようなロボットや魔法の絨毯等の無生物に対しても効果を発揮する。
「感じられる」と説明されているものの、実際には感覚だけが逆転している訳ではなく、クリームを塗ったドラえもんとのび太が熱々に沸かした風呂に入った際は氷漬けになってしまったり、上記の通り魔法の絨毯に塗った際は魔界星の炎による炎上を免れている。
ただし塗り過ぎると効果が過剰に表れてしまい、雪に触れただけで火傷したり、上記のように入浴するだけで氷漬けになってしまう。その際は塗ったクリームを拭き取る等で肌から落とすと効果を弱くすることが出来る。
原作版におけるクリームの有効時間は不明。派生作品を含めれば、2013年版「雪でアッチッチ」(水田版アニメ)では「クリームの効果は24時間続く」と説明されている。
- コベアベ
笛型のひみつ道具。
この笛を吹くと、周囲の人物は自分がやろうとしていたことと反対の行動を取るようになる。例えば新品のバットでスネ夫を殴ろうとしているジャイアンがこの笛の音を聞いた場合、スネ夫に「このバット、お前にやるよ。俺を殴ってくれ」と、バットをプレゼントした上でそれで自分を殴ってくれと勧めてしまい、強盗がこの笛の音を聞いた場合、物品を奪うのではなく自分の持ち物を他人に渡したり、警察へ自首しに行ってしまう。
- アベコベマイク
マイク型のひみつ道具。
小さな声は非常に大きく、大きな声は非常に小さく再生されるマイク。
作中ではリサイタルを開こうとしたジャイアンに対し、ドラえもんが「高性能マイク」と嘘をついて渡した(試しにジャイアンが小さく呟いたら、その声が非常に大きく再生された為、ジャイアンはドラえもんの言葉を疑わずにマイクを受け取った)。