概要
主に現役としての地位や身分を離れたり退いたりする事である。
会社員のように定年のある仕事は決められた年齢がくれば職場を退くことになるが、芸能•スポーツ・自営業や職人系など、明確な定年のない仕事は、基本的に自らの判断で進退を決めることになる。引退を決断する理由は人それぞれである。
女性の場合、結婚や出産を機会に専業主婦になるなどして辞める者もいる。
職業により
アスリート
スポーツ選手では怪我・病気により活動続行が困難になったり、加齢による成績・体力の衰えや、モチベーションの低下などで引退を決める人が最も多い。アスリートは結果が出せなくなると比例して世間のバッシングも大きくなるため、若手選手に試合で負けることで、所謂世代交代という形で引退に追い込まれるパターンも多い。
しかしながら勝負師の血が疼くのだろう、全盛期の活躍は無理だとわかっていても「挑戦したい」という理由から、引退を撤回して現役復帰する人も結構いる。
アスリートの場合、予め引退予告や会見を行うケースが多く、最後の試合は引退試合とされる。
大相撲の場合は、引退決定後の断髪式が引退セレモニーとして有名である。かつては協会に残る場合は引退、残らない場合は廃業と呼んでいたが、今は引退で統一している。
引退後は指導者、解説者、チームや競技団体の運営などなど選手引退後も競技に関わる場合と、芸能や実業など競技にあまり関係のない分野に進む場合とに大別される。
競走馬
競走馬もアスリートと同じく、怪我や加齢によるパフォーマンスの低下により引退となるが、成績により繁殖(種牡馬・繁殖牝馬)に回る場合と、乗馬・誘導馬になる場合がある。前者で種牡馬の場合、成績や血統によっては高額シンジケートが組まれる場合がある(ディープインパクトなど)。更に加齢や病気などにより繁殖が困難になると「種牡馬引退」「繁殖牝馬引退」となる。
将棋・囲碁
将棋・囲碁はどちらもいわゆる「マインドスポーツ」であり、日本のおいてプロ競技団体が存在するが、引退制度は大きく異る。
将棋の場合、「順位戦」という名人を決める棋戦で一定の成績をあげられなくなった場合引退となるが、囲碁の場合は特に引退の規定はない。将棋では加藤一二三が77歳まで現役を続け最高齢となったが順位戦の規定により引退、囲碁は杉内雅男が97歳で亡くなるまで現役を続けた。
芸能人
タレントやミュージシャン・バンドなどは、人気の低下や売れないことによる生活苦での転職、所属事務所やレコード会社との契約満了、所属グループの解散・活動休止などを機に芸能界を引退する者も多い。
また、10代のアイドルや子役などは「学業専念」「進路を芸能界以外に変更する」を理由に、進学などのタイミングで引退を表明する者も多い。
稀に刑事事件で逮捕されたり、謝っては済まされないような致命的なスキャンダルにより、所属会社を解雇され、そのまま移籍先の事務所もなく引退となる場合もある。
芸能系は不規則な生活も手伝い持病の悪化による引退は少なくなく、ロックバンド系だとヘルニアや声帯周辺の悪化、声優だと加齢により声が出なくなるなどして辞めるものもいる。
作家
小説家や漫画家やアニメーターなどは、明確な引退(絶筆)表明をすることは少なく、筆力の衰えにより仕事が入らなくなったり、掲載誌の廃刊などを機会に、いつのまにか姿を消す者が大半である。商業活動のみを辞め、同人やwebのみのアマチュアに戻る者も少なくない。
一部の有名映画監督や作家など、まれに引退宣言を行う者もいる。
宮崎駿の引退会見は、一作完成させるごとの恒例行事化してしまったが、本人はその時は辞めるつもりなのである。筒井康隆なども一時期断筆宣言したのだが、結局復帰している。
引退後に一線に復帰する場所がある人は一握りである。
政治家
国会議員や地方首長など、次期選挙への不出馬表明や落選による引退がある。国会議員の場合、選挙区を自らの子弟に継承する、いわゆる「世襲」も見られる(小泉純一郎→小泉進次郎など)。この場合選挙区だけでなく支持母体や後援団体、場合によっては政治資金などを継承する場合もあり(いわゆる「地盤・看板・鞄」)、しばしば批判の対象となる。
鉄道車両
老朽化などにより、運用を終了することを引退と呼ぶこともある。
引退後は廃車解体されることが多いが、他の鉄道会社へ転用することもあれば、保存されることもある。