てんとう虫コミックス第41巻収録。
雑誌掲載時のタイトルは「ジャイアンのディナーショー」
あらすじ
夏休みのある日、町の子供たちが何かを噂したかと思ったら蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
その様子を不思議かつ不穏に思ったのび太の家にジャイアンが「剛田武ファンクラブの会長さんはいますか?」と訪れ、ある恐ろしい企画を見せた。
それは今日(8月10日)の夕方5時、ジャイアンのリサイタルと料理を堪能できるという悪夢のようなディナーショーだった。しかもマツ席100円、タケ席50円と金を取る始末。
勝手にファンクラブ会長にされた上チケット販売と会場設営を押し付けられたドラえもんとのび太は仕方なくチケットを売りに行くが、スネ夫は両親に今すぐ海外旅行に行こうと言って逃げようとしており、のび太が頼んでも「命にかかわる!断る!!」と突き返す。「今の言葉ジャイアンに言ってやろ!」とのび太は恫喝するも「いいとも!歌よりゲンコツの方がましだい!!」と完全に開き直られ諦めることに。
他の家に回ってもある者は「塾の合宿に行った」「氷水(かき氷)の食べ過ぎで四十度の熱を出した」「のび太が来たら留守だと言えと大声で居留守を使う」等様々な方法で逃げた。行く当てもないのび太はしずかちゃんの家に行くも、「信じられない!のび太さんがあたしにそんなものを……いいわ、これも運命と思って一枚買うわ」と彼女からまさかの泣き落とし攻撃を喰らってしまい、あえなく引き下がる。
空き地でノリノリでリハーサルを始めるジャイアンを尻目に、チケットが一枚も売れないことに途方に暮れる二人。しかし裏山で絵をかいていた出木杉と遭遇。この騒動を知らなかった出木杉は困惑しつつもチケットを購入してくれた。
それでも何とかディナーショーを止めようとジャイアンの天敵であるジャイアンの母ちゃんに頼もうと剛田家を訪問するとものすごい悪臭とマスクをしたジャイ子が出迎えた。なんでもジャイアンの両親は慰安旅行で温泉に行ってしまいしばらく帰ってこないためジャイアンが調子づき始めたのだという。
のび太が来たことを知ったジャイアンはチケットが足りなくなったらいつでも取りに来いと言って料理作りを再開する。作られていたのは味噌で味を調え、材料は沢庵、ジャム、セミの抜け殻と明らかにおかしい料理だった。
出木杉が台風が来れば中止になるかもしれないといったことで、ドラえもんはお天気ボックスを取り出し風速50mの大型台風を作り出した。
台風が近づいていることを知らせる為再び剛田家を訪れた3人だったがあまりの悪臭にジャイ子は逃げ出し犬のムクは失神。ジャイアンに台風の事を言っても「おれの声は風なんかに負けやしない」とまさかの雨天決行を宣言する。
もはやこれまでと覚悟を決めた3人はお医者さんカバン、耳バン、赤マムシドリンク、成田山のお守りと健康・開運グッズを総動員しディナーショーに臨んだ。
しかし開始時刻を過ぎてもジャイアンは現れなかった。3人が不思議に思っているとジャイ子がやってきて、ジャイアンが自分の料理を味見してひっくり返った為ディナーショーは緊急中止となったことを伝えた。
ジャイアンの自滅と言う形で難を逃れた3人は泣いて喜ぶのだった。